天皇杯決勝 G大阪×柏(国立)


 決勝前に親戚の家に挨拶に行ってから国立で向かったのだが、試合開始を13時と勘違いしていた為、12時過ぎに着くと未だそれ程スタンドは埋まっていなかった。一緒に観る友人達に新年の挨拶をしつつ時間を潰し、試合が始まると、柏は0トップの布陣が機能せず、ガンバが押し込む展開。久々に見る“ボランチ今野”は効いてたし、何よりパス回しが西野時代を彷彿とさせてとても降格したチームには思えなかった。というか12月以降になってようやくコンビネーションが深まってきたり、怪我人が復帰したりして意図するサッカーが出来るようになったと言うべきか。15分過ぎには二川の華麗な突破から倉田が絶好機を迎えるが、これはシュートが甘く、菅野にセーブされた。
 このような中で柏は前半中に水野→田中順也の交代策を敢行。何となく前半だけ様子を見るとか流れに身を任すのではなく、機能してないとみるや決断するネルシーニョの凄味を見た。それでこの数分後に取ったCKで先制してしまうのだから、さすがだ。
 先制後の柏は1点を守る方向にシフトしていく。ボール支配はガンバなのだが、エリア内には簡単に侵入させず、要所を抑えた守りで決定機は殆ど作らせない。そして時々ボールを奪うと一気にカウンターを仕掛けてガンバを牽制する。4年前も同じカードで天皇杯決勝を戦っていて、当時は柏はJ1中位、ガンバは上位常連という中で1−0とは言え完全にガンバの貫録勝ちだったのだが、今日はその真逆だった。柏はチームとして守る事も覚えて、J1で優勝した時より一段階成熟した印象。そのまま最後まで逃げ切って優勝した。
 柏の老獪さというか成熟度が目立った試合だったけど、一方で既に今のチームのピークは過ぎているとも思う。チームの成熟が深まり、全体の意思統一が成されていくと、大概守備面において効果が出て、押されてもメンバー全員が守り切れると信じてプレー出来るから、今日のような試合でも最後まで我慢して守り抜くことが出来る。それは8〜9年前のマリノスだったり、5年位前の浦和、あるいは3年位前の鹿島だったりするのだが、逆に言うとそれ以上の延び白も無く、主力の離脱や高齢化、マンネリ化etcで徐々に衰退していく。柏もそろそろかなと思うが、取れる時にタイトルを取るに越した事は無いのは勿論だ。J2、J1、スーパー杯、そして天皇杯と結果を出しているのだから、それは素晴らしい事。

 決勝のチケは毎年準決勝直後に完売してしまう為、準決前に買っておいたらこのようなカードとなった。マリノスは9年で7度の準決勝敗退だったか。最近はナビ杯でも天皇杯でも決勝でのコレオグラフィーが当たり前になっているが、マリノスは最後に出た決勝は01年のナビ杯で、未だ国立決勝でコレオを披露していない。クラブカラ―からして映える色なので、もし出たらかなりの出来栄えになりそうなのだが。ちなみに今年は柏がKASHIWAの文字の内、“ASIA”部分だけ途中から赤文字に変える演出だった。
 そうそう今日の国家独唱は青山テルマだったのだが、独唱中後ろには五輪招致関連で来ていた澤と吉田沙保里が控えていて、まるで保護者かSPかという佇まいで面白かった。