WSD創刊300号

 予告で「(対談企画で)サリナスがあの元チームメイトと・・」と予告されててっきりグァルディオラかと思ってたんだが大外れ。そういえば100号の時は中田英だった。普段のインタビューよりも――親しい日本人記者、元選手よりも――人となりがよく出ていたし、あと、この人はプレーだけでなく観るのも好きなんだろうなという印象を持った。


 それはともかくとしてこの雑誌は94年創刊という事で、この年は自分が初めて意識して観るようになったW杯の年でもあるんだが、世界のサッカー界は大よそ93−94年辺りを境に時代が大きく変わったのではないかとずっと思ってきた。それは単に自分が本格的に観初める前と後の印象の差なのかもしれないが、丁度良い機会なので今日はそれを(自分の中で整理する意味も含め)書いていきたい。


 時代の変化―そう考える理由には次の3点がある。
1.ブラジルの時代の始まり
2.世代交代
3.日本と世界のリンク


1.ブラジルの時代
 94年W杯てブラジルが優勝したんだけど、この優勝を境にブラジルの格というかステータスがそれまでと大きく変わったように思う。優勝自体24年振りだった訳だが、その間は人材がいるのに何故かW杯で勝てず、色々試行錯誤してさらに迷走する国、という位置付け(丁度今のアルゼンチンと似ている。)だったのが、この優勝以降、ナイキのPR戦略も功を奏して「ブラジル」というブランドを他国よりワンランク高くなった。それは勿論ロナウドとかR・カルロスみたいなスターの存在があればこそなんだが、代表チームでありながら、「ナイキ・ブラジルワールドツアー」とか銘打って世界中で試合をこなす国は今でもこの国だけだ。90年代だけで親善試合で日本に3回も来たし。(95、97、99年)最近はイタリアやアルゼンチンと何故かロンドンで対戦するとか、ホーム&アウェイの概念を越えた興行団体になったんじゃないかとすら思う。


2.世代交代
 これは強豪国別に言うのが手っ取り早いか。
○フランス
 アメリカ大会で予選落ちして以降、パパン、カントナからジダンジョルカエフの時代になって、それまで勝負弱い国だったのが、手堅さを身に着けてW杯、EUROで優勝
イングランド
 同じく94年は予選敗退し、それを機に蹴って走るだけの選手が消えて、ベッカムみたいな基礎技術のある選手が入るようになり、その流れは今でも変わらない。まぁ未だ結果は出てないけど。
○オランダ
それまではV・バステンとかフリットの時代だったのが、ダービッツセードルフクライファート等の若いアヤックスの選手が台頭。
ポルトガル
 94年以降、R・コスタとかP・ソウザ、F・コウト、フィーゴ等がセリエAやリーガで活躍するようになる。
○ドイツ
 逆の意味で。完全にこの世代交代に失敗して、それが98〜2000年頃の暗黒時代になったとも言える。


3.日本と世界のリンク
 丁度カズがイタリアに行ったのも大きいんだが、個人的にはこの頃のV川崎のサッカーが印象強い。それまではJを見ててもハイテンションのまま蹴って走って、という感じで熱気は凄かったけど、覚えているのはゴールシーンばかりという内容だった。まぁ子供だから細かい内容なんて分からなかったのもあるが。極端な言い方をすればたまにTVで見る海外のサッカーと同じ競技とはとても思えなかったんだけど、94、5年頃だったかにTVでヴェルディのサッカーを見た時、しっかり足元で繋いで崩そうとする姿に初めて海外サッカーとの繋がり(つまりどちらも同じ「サッカー」なんだという意識)を実感するようになった。確か日本平で清水とやった試合だった気がする。