プレミア所属選手の現実

ザ・シークレット・フットボーラー
本書は匿名のプレミアリーグ所属選手がサッカー界の内情について語ったもの。高級紙ガーディアンに連載されていたコラムを書籍化したものらしい。自らの半生から監督、ファン、マスコミ、代理人らサッカーを取り巻く人々に対する現役選手の率直な思いを述べているが、例えばサッカー選手の高給批判への反論やバカンスでの“夜の遊び”、そして一選手としての苦悩など、匿名だからこその内容も含まれる。たださすがタブロイドでは無く高級紙連載だけあって、暴露本というよりは、著者の告白本といった趣が強く出ているように思う。

 このシークレットフットボーラーについては専門のサイトまで開設されて“正体探し”が行われており、作中の数多くの手掛かりからすぐ分かりそうなものだが、未だ明らかになっていない。
作中目に付いた手掛かりとしては
イングランド
・幼い頃、1986年W杯の選手カードを父親に勝って貰った(1970年代後半〜80年代前半の生まれ?)
・下部リーグでキャリアをスタート
・ロンドンのクラブでプレー経験有り
・プレミア昇格チームでのプレー経験有り
等等。
おそらくランパードルーニーみたいな代表の常連、主力選手では無く、代表経験が無いか、有ってもユース代表経験のみ、もしくはA代表数キャップ程度の選手、というのが想像される。

 そんな中で、作中後半にプレシーズンツアーで日本と韓国を訪れたと述べている個所が引っ掛かった。この10年の間、特に04〜05年辺りはバルサ、レアル、ユベントスなどリーガやセリエAの強豪が夏によく来日してたのだが、プレミアのクラブが来た記憶は無い。(今年はマンUアーセナルが来日するが。)親善試合で来日したプレミアのクラブなどあったかな、と記憶を辿る中でふと以前ボルトンが来日して川崎と対戦したのを思い出した。(証拠として当時のフロンタ公式サイトを。)丁度05年の強豪クラブ来日ラッシュの中で、何故か中堅クラブがやって来たので覚えていた。文中

日本に行った際には五つ星の美しいホテルに滞在した。(中略)そのすぐ向かいには気取らない感じの風俗宿があった。

という表現があるが、そう言えば川崎(駅)周辺には・・・。
 ただ作中には韓国にも行ったとある。代表レベルでは外国のチームが日本、韓国と対戦する場合がよくあるが、この年のボルトンの日程を調べると、日本の後はタイに行って帰国したらしい。なら違うか・・・と思いかけた所で、何も同じ年に訪れたとは限らない事に気が付いた。そこでまた色々調べてみると、韓国で開催されたピースカップの07年大会にボルトンが出場していた。 つまり05〜07年の間、ボルトンに所属し、上記条件を満たす選手こそがシークレットフットボーラーの有力候補ではないだろうか。
幸い?当時のボルトンにはイングランド人選手が少なく、該当するのは2名だった。その中の1人が昇格チームでのプレー経験があった。
 という事で、あくまで個人的な予想だが、シークレットフットボーラーはこの選手では無いかと思う。そうでなければ上記2名のもう1人であるこの選手。ただ後者はプレミア昇格クラブでのプレー経験が無いのがネックだが。

 まぁ例えこの謎のプレミア所属選手が誰であれ、本書の価値に影響するものでは無いのは言うまでも無い。