アジアカップレビュー(その1)

 アジアカップの振り返りは大会終了後にしようと思っていたが、それだとまだ先になってしまうし、また某所より私が大会前に述べた宇佐美選考外(武藤選出)の妥当性についての反省も要求されているので、その返答という意味でもこのタイミングに書いておく。

■武藤、清武、乾そして宇佐美
 武藤は大会を通じてプレー全般、特にシュートの場面においてクラブ(そして去年のベネズエラ戦の様に)で見せる思い切りの良さが無かった。ヨルダン戦ではアシストを決めたが、本来はもっとゴールに向かってプレーする選手で、UAE戦ではシュートこそ何本か放ったがどれも迷いが見られるものだった。ここでまた宇佐美との比較になるが、某氏によれば中位クラブでヌクヌクしている選手と3冠の立役者を比較するのがそもそも間違いだったらしいが、やはり宇佐美は今のプレースタイルをそのまま代表で再現出来るとは思えない。欧州から古巣(それも当時2部)に戻り、昇格、タイトル総なめに貢献した姿勢は素晴らしいが、それと代表で機能するかはまた別の話だ。ホンジュラス戦で内田が本田に対して後ろに戻らず敢えて前に残るように言い、それが縦パス1本に抜け出て決めた本田のゴールに繋がったという話があったが、それは本田ほど実績と信頼のある選手だからこそ可能なプレーであって、じゃあ宇佐美も同じ様に、とは行かない。繰り返すが、代表にはもう少し動きの幅を広げるか、去年以上(少なくとも倍の)ゴールを決めまくるのが必要と思う。
 武藤の話に戻るが、それでもゴールという結果を出せるタレントという意味で貴重な選手の一人である事には変わりない。今の日本には上手い選手はいても『点を取れて上手い選手』は少ないからだ。宇佐美は上記条件を満たせば即代表入りして欲しい位だし、マリノスの齋藤ももう少し点を取れたら(リーグで最低年間10点)、左FWの位置に丁度いい。単に上手さなら乾、清武が余程上回っているが、彼らはシュートの場面で何故か消極的になってしまう。今大会のTVの解説(テレ朝)では二人の動き出しの良さを讃える声がよく聴かれたが、それがゴール、アシストにどれだけ結び付いたのかっていう。ただ清武は小笠原がそうだったようにポジションを一列下げて司令塔的な位置に収まれば面白いかなとは思った。遠藤後の右足担当キッカーとしても貴重な戦力だし。まぁそうなると今度は柴崎と競合する事になるが。

■香川
 この選手はマンU2年目の2013年夏頃から大殺界に突入したんじゃないかっていう位暗中模索の時期が続いているが、周囲が色々背負わせ過ぎたのかなという気がする。アディ●スにしてみれば中村俊輔の次のシンボルとして位置付けたかったんだろうけど、まず10番は余計だったな。把握してる限り、そもそも中村と違って香川はクラブでも年代別代表でもそれまで10番を付けた事など無かった。一番似合うのはセレッソ8番継承者中の最有力選手って事でこの番号と思うんだが、本田の4番が定着してしまった以上他に10を付けるべき選手が居ないのも事実で。
 プレー的には視野の範囲が狭まったというか、好調時は半径30〜40メートル位を見通したプレーで周りの味方を使いつつゴールに飛び込んでいったのが、今は半径数メートル以内で上手いだけの選手になってしまっている。目の前の相手をかわしたり、抜いたりする事は出来るのだが、それが精一杯で肝心のフィニッシュの場面で冷静さ、余裕を欠くとでもいうか。まぁ今はクラブで落ち着いてプレーしてくれと言うしかない。今は残留争いでそれ所ではないが、残留さえ決まれば来季は(おそらく欧州カップに出る事無く)余裕のある日程でプレー出来るだろうから。勿論前提としてクラブに不可欠な戦力と見做される事が必要ではあるが。

 こんな感じで書いて行ったら長くなってしまいそうなので今日はこの辺りで続きはまた今週中にでも。先週末から断続的に寒気が来たり引いたりして体調が安定しない。