さてMVPの発表なのだが、毎年12月第3〜4週の大半はこれに費やしてると言っても過言ではない(笑)今年も周りの友人に選考者になって貰ったのだが、去年の選考者50名は票の回収がハード過ぎたので(苦笑)今年は40名。ただ10名減でも例年通りクラブサポ、現役社会人プレーヤー、指導者、メディア、海外視点、他競技視点、データ分析視点と多様な見方が保証されている。今年も選考者数をキリの良い数に合わせる為に督促する中(苦笑)、対応して貰った友人諸兄には感謝する他無い。
【選考方法】
投票方法は例年通り各々ベスト5を選んで貰い1位:5pt〜5位:1ptでポイント化してその総合計で選出。仮にポイントが並んだ場合は1位票の多い方が上位、それでも並んだ場合は以下2位→3位・・・5位票の大小で決定。順位票すらも並んだ場合は両者同順位とする。なおこのルールはベスト5のみ適用し、6位以下でポイントが同じ場合は全て同順位と扱う。
【過去の受賞者】
2005年:中村(俊)
2006年:中村(俊)
2007年:中村(俊)
2008年:遠藤
※※※※※※※※※※※※【以降投票制】※※※※※※※※※※※※
2009年:長谷部 (2位岡崎、3位中村(憲)、4位本田、5位前田)
2010年:本田 (2位香川、3位長友、4位闘莉王、5位前田)
2011年:澤 (2位長友、3位清武、4位カズ、5位長谷部)
2012年:佐藤(寿)(2位長友、3位香川、4位吉田、5位カズ)
2013年:中村(俊)(2位柿谷、3位本田、4位大久保、5位西川)
2014年:遠藤 (2位本田、3位岡崎、4位内田、5位宇佐美)
では5位から発表。(太字は選考者コメント)
第5位
佐藤 寿人(広島):35pt
「ゴンの記録に並ぶ&年間1位、CS優勝の実績を鑑みて」票が集まり広島のエースストライカーが5位。「来シーズン早々に記録更新の期待もかかる」が、今季終盤にゴールペースが落ちたのは少し気がかりではある。単なる不運かそれとも衰えの兆しなのか。もしかしたら来季の途中には浅野と立場が入れ替わっている可能性もある。ただ「日本人としてこの人ほどお手本になるFWはいない」。こういったFWは本当に「キーパーやディフェンスとしては嫌だろうなと思う」。また一方でプレーはクリーンそのもので、「ゴール記録とともに警告が193試合ぶりというのも驚き」。個人的にはプレーだけでなく新スタジアム建設問題などで選手を代表して積極的に発言するなどリーダーらしい振る舞いが高評価。
第4位
青山 敏弘(広島):43pt
佐藤寿人に続き、「優勝チームのキャプテンであり中盤の要」がランク入り。「リーベル戦、広州戦では世界で戦えることを証明」するなど「特にシーズン終盤の大事な試合で見せた存在感、迫力は、サッカー選手として一段上のレベルに到達したことを証明した」。「個人的にはもっと代表で見たい」という声もあるが、往々にして同ポジションで競う相手があまりに巨大であるが故に才能の割に「代表には縁がない」選手がいる。青山は6歳上に遠藤と言う日本史上最高レベルの、しかも息の長い司令塔がいたのが不運だった。ただ遠藤と似てるのは、若い頃は同世代でトップでは無かった中で(稲本、小笠原、梶山の方が注目されていた)、20代後半から一気に台頭した点だな。なのでこれからが全盛期かもしれない。尚、「どこか長谷部的な雰囲気を感じるので著書を出したらイイ線行きそう。」、「この先引退したら、絶対NHKの解説」という声もあった(笑)さすがキャプテンと言うべきか、喋りも結構いけるんだよな。前主将の佐藤といい、リーダーの資質を持った選手が複数共存出来ているのも広島の強みだろうか。
第3位
武藤 嘉紀(FC東京→マインツ):53pt
「ドイツでいきなりレギュラー定着」し、「すぐに馴染んで結果を出し」ているなど「素晴らしい活躍を見せている」武藤が3位。「移籍して勢いのあったF東京が失速」するなど既にチームに影響を与えるレベルの選手であるのは間違いない。ただブンデス前半戦だけで7ゴールを挙げているとはいえ、チャンスを外すシーンも多かった。それを反映してか「サイドアタッカー、1トップ、2トップと様々な役回りをこなすことによって、もっと怖い選手になれる」、「まだまだ伸び代は十分あるはず」など今後の更なる成長を期待するコメントもまた多かった。またクラブだけでは無く「日本代表でもさらなるゴールを!」、「柳沢と高原の良いところを足しあわせた欠点の無い選手だが、その二人は既に武藤の年齢で代表戦で結果を出していた」等代表戦でも同等の活躍を期待する声も。
またこの選手は去年同様「イケメンのくせに(泥臭くゴールに向かう姿勢は期待大)」とか「学歴、家柄、ルックス全て完璧」、「完璧すぎて腹が立つ」とかプレー以外の要素も注目を浴びるのだが(苦笑)、それに加えて義父が衆院議員とかもはや∩(・ω・)∩するしかない。スポーツ界全体でもトップレベルでここまでの選手はいないと思う(笑)
第2位
香川 真司(ドルトムント):69pt
昨年は僅か4ptだった香川が69pt獲得して2位に。「得点感覚を失わないままゲームメイカーに転身し、新境地を開拓」の上、「サブでも結果が出るメンタリティ」を備えて「後半戦ではジョーカーとしての才能も開花」した。代表でも来年から始まる「最終予選を勝つには絶対に必要な存在」。
「日本人のアジリティの良さが全て詰まったターン、トラップ」とあるように、香川のプレースタイルは欧州のクラブから見た日本人選手の1つの類型で、香川より後に欧州(特にドイツ)に渡った攻撃的MFは全てこの選手の様な動きを期待されての移籍ではないかと思う。乾、清武、宇佐美、原口、長澤など(実際は勿論それぞれ特徴が異なるのだが)。大迫ですらドイツでは点を取って無いのに評価は高いという中盤の選手みたくなってるし。
「点を取らなきゃいけないというプレッシャーから解放されて、のびのびプレー出来ている」ものの、特に代表ではこの選手に色々背負わせ過ぎだと思う。過去何度か言ってるが、背番号10とか。子供の頃から10番しか付けてませんでした、という選手では無いのだから、セレッソ時代の8にしたら更にのびのび出来ると思うのだが・・。
「ドルトムントで香川の影響力を実感」という声もあったが、あのスタジアムは是非一度行ってみたいものだ。
2015年日本最優秀選手
大久保 嘉人(川崎):82pt
「何といっても、3年連続得点王!!」。「これは世界のリーグを見渡しても偉大なプレーヤーしか達成して」おらず、「素直に凄い」。もうこれに尽きる。「ミドルの意識も高く」、「ゴールを取る「型」を確立している」とFWとしてのプレーそのものについて評価するコメントも多かった。また「婦人の病気を気遣い子供3人と頭を丸めるなど家族思いの一面もみせ」るなど、「人間的な成長も評価」された一方で「個人的にあまり好きじゃないけど」、「発言さえもう少し控えたら代表も見えてくると思うのだが・・・」というコメントもあった。この様な評価の分かれるキャラクターこそこの人らしいというか、人間的な深みなのかなとも思う。「川崎でも若手へのダメ出し番長」となり相手にも闘志全開で向かっていくが(等々力のマリノス戦ではアデミウソンとやり合って退場もしている)、そういうタイプは日本では希少だけに重要な存在と思う。思えば同世代の闘莉王も似たタイプでよく自クラブや代表の若いDF達にダメ出しをしているが、彼らは南アで自国開催以外で初のW杯決勝T進出という結果を出している。この世代が引退して解説者や指導者になった時、今の日本リーグ時代〜日韓W杯世代の解説者とは発言の重みが変わってくるだろうと思う。
と言う訳で今年のMVPは大久保に決定。
6位以下は下記の通り。
6位:30pt
中村(俊)【横浜M】
7位:26pt
岡崎【マインツ→レスター】
8位:20pt
宇佐美【G大阪】、澤【INAC神戸】
10位:17pt
カズ【横浜FC】
11位:16pt
柏木【浦和】
12位:15pt
浅野【広島】
13位:14pt
森保【広島】
14位:12pt
井原【福岡】
15位:10pt
中澤【横浜M】
16位:9pt
長友【インテル・ミラノ】
17位:7pt
遠藤(保)【G大阪】
18位:6pt
城後【福岡】、金崎【鹿島】、武藤(雄)【浦和】
21位:5pt
千葉【広島】、東口、米倉【G大阪】、本田【ACミラン】、名波【磐田】
佐々木【女子代表】、神川【明治大】、土居【玉野光南】
29位:4pt
田川【品川CC】、家長【大宮】、長谷部【フランクフルト】
32位:3pt
槙野【浦和】、林(諒)【品川CC】、柏【広島】、南野【ザルツブルク】
36位:2pt
丹羽【G大阪】、田中【松本】、藤原【新潟シンガポール】、森重【FC東京】、小林(祐)【磐田】
遠藤(航)【湘南】、山口【C大阪→ハノーファー】
43位:1pt
永木【湘南】、柴崎【鹿島】、中村(航)【福岡】、林(卓)【広島】、齋藤【横浜M】、鈴木(隆)【水戸】
西川、鈴木(啓)【浦和】、江坂【群馬】、佐藤(優)【横浜M→新潟】、中山【沼津】、
中田(浩)【解説者】、時国【香港レンジャーズ】、落合【品川CC】、昭和師匠【ニコ動UP主】
・6位の中村俊輔は今季は前期の大半をケガで欠場し、最終的にリーグ戦19試合3得点という結果ながらこれほどの票を集めたのはその3点が全て代表GK相手の「圧巻のFK」であり「年齢を感じさせないゴール」だったからだろう。まさに「シーズン半分の稼働でもインパクト十分の出来」であり、FK精度は「やはり日本で最高!!」「テクニックや戦術眼、プレスキックの精度はいまも超一流」であり、「四十路が近付きながら未だ錆びつかない左足の精度はもはや国宝に認定されるべき」という声すらあるなど、その存在は現時点で既に向こう数十年語り継がれるであろう伝説の域に達している。
・浅野が五輪世代最多得票で12位。何より「途中出場からの活躍にはかなり将来性を感じ」るし、「後半15分過ぎにあのスピードはチート」。「久々にスーパーサブという言葉が相応しい選手」。
ただ「シーズン中盤から得点が伸びなかった」という声もあるように、リーグ戦では下位からの固め取りが多かった印象なのだが、CS、クラブW杯ではゴールを決め、更にレベルが上がった感もある。何より来月の五輪予選で爆発を。
・今年は例年より監督に票が入った。得票者は森保、井原、名波、佐々木、神川の5氏で合計41ptも。
■森保氏→「毎年有力選手を強奪されているのにも関わらず」、「4年間で3回目のJ1制覇、CS優勝を成し遂げた」
■井原氏→「あの戦力で昇格を成し遂げたのは見事」、「ネルシから学んだものは大きい」
■佐々木氏→「主要国際大会で三回連続決勝はあまりに偉業」
そして名波氏は磐田サポである某選考者から得票(笑)神川氏は明治大の監督で長友をSBにコンバートさせた人なのだが、来季からのJ3盛岡監督就任には驚いた。「監督就任ありがとうございます」と盛岡人から感謝のコメント。
・今年も引退する選手への惜別票。
■澤穂希
「お疲れ様でした。」、「レジェンドに対する敬意を表して」、「長い間日本の女子サッカーを牽引してきてくれてありがとう」
11年には当表彰のMVPにも選ばれた。投票制にした当初は男子選手への投票が前提のつもりで依頼する時も特に記載しなかったのだが、あの年は送られてきた皆の選考の中に軒並み澤の名があって、ついに1位を取ってしまった。なでしこのW杯優勝と同じくらい、あの投票の衝撃も忘れられない。
■鈴木隆行
やっぱこの選手と言えばあのベルギー戦の爪先シュートと咆哮が真っ先に思い出され、胸が熱くなる。「2002年のお礼をこめて、1票」
■鈴木啓太
「現役引退が寂しすぎる」
この選手は不思議な格好良さがあるんだな。ルックスだけでなくプレースタイルや生き様全て引っくるめた総合的な魅力とでも言うか。その点で福山雅治のファン心理に近いものがあるのではないかと思う。
キャリアの中では浦和でACL優勝して代表でもオシムに重用されていた07年が最も輝いていたと思う。逆にそれ以降は07年にあまりに多くの試合に出過ぎた反動で肉体的、精神的に疲弊したままプレーを続けていた―――そんな印象があるのだが、それもまたこの選手の醸し出す魅力の1つとすら言えるかもしれない。
・恒例の(?)謎の得票者紹介
■昭和師匠→ニコ動のサッカー動画UP主らしい。癖のあるユーザらしいが「じっくり試合を見る時間が無い自分には師匠の動画に助けられている。」
過去マスコットとか色々得票者を出してきたが、ついにネットユーザもか・・・。
■土居→この選手は唯一のユース年代での得票なのだが、選手権の岡山大会決勝で終了間際に決勝点となるゴラッソを決めた選手。
・友人チームからは3名得票
田川・林→「品川CCの点取り屋。1部昇格の立役者。特に田川のみなとみらい戦で見せた4ゴールは圧巻!」、「あんなシュート打ちたい(田川)」
落合→「キャプテンとして腐ることなくこのチームを一部に昇格させたのはオチがいたからであろう。これからも上を目指して活躍して欲しい」
来季はカテゴリが上がって厳しい舞台と思うが、また応援に行きたい。
・敢えて別枠で外国籍選手の名も挙がったのでコメント紹介。どちらもマリノスの選手だが(笑)
■ファビオ
「セットプレー、対人の強さはマリノスCBの伝統を見事に受け継ぐ」
まさか栗原をベンチに追いやるとは思わなかった。マリノスはずっと中澤の後継者としてほぼ毎年日本人の新人や中堅どころを補強しつつも殆どが数年で去って行った中で、まさか外国人CBがその第1候補になるとは分からないものだな。
■アデミウソン
「私の中ではプレイ&ファッション&日本愛で今年1番」
みなとみらい、鎌倉、スカイツリー、浅草、USJ等インスタにオフの観光写真をよくUPしていて、日本滞在を楽しんでいるのが伝わってきた(笑)以前も書いたが決定力さえ高まればネイマールとまではいかずともヴィリアン、コウチーニョ、オスカル級にはなれるはず。
長くなってしまったので&力尽きたので総評はまた後日という事で。