J1第34節 川崎×横浜M(等々力)

barcaw2013-12-07
 試合開始からマリノスはここ数試合と変わらない内容。後ろのパスはよく回るのだが、個々の動きが重く、走り込みや動き出しが遅れる為に、前にボールが通らない。前半で決定機と呼べるものは中村のロングパスに抜け出した小林がGK西部と1対1⇒さらにマルキーニョスが詰めるも西部がセーブ、というシーンくらい。一方の川崎は前節の新潟とはまた違う、人もボールも無駄なく動き、それにレナト、大久保、中村らの個人能力が上手く組み合わさってまぁ見事なサッカーだった。春頃に観た時はパスを繋ぐのが目的になっていたが、シーズンが深まるにつれて熟成されてきたという事か。カウンターでも遅攻でもボールを前に運んでシュートシーンを何度も作り出していた。
 という内容だったので前半を0−0で終えた時には、この試合もまた勝つならセットプレーで1−0パターン以外無いかなと。試合を迎えるまではマリノス勝利さえすれば他会場関係無く優勝という有利な立場だったが、この45分の内容、そしてこの時点で鹿島×広島が広島先制、大迫退場という状況によって逆にかなり追い込まれる事になった。
 そして後半9分に川崎が先制。川崎が自陣ゴール近くで中村(憲)が中村(俊)からボールを奪って速攻を仕掛ける。↑で書いたようにボール回しに無駄が無いからテンポ良くパスが前に通って大久保がフリーでシュートを撃てる状況になり、そのシュートを榎本が弾いた所に大島が詰めて中央に折り返し、そこに走り込んだレナトが流し込んだ。速攻を仕掛けてからゴールまでの一連の流れは本当にあっという間の出来事で、マリノスの選手は一応人は揃っていたが誰も付いて行けず。このゴールの起点になったのは中村(憲)なのだが、今日の川崎ではこの人が最も印象深い。細かいボールタッチやパスは好調時に比べてやや精度を欠いていたが、それ以上に豊富な運動量とコンタクトを厭わない献身性が素晴らしかった。
 前回も書いたが終盤のマリノスは先制するかされるかで大きく結果が変わる為、これで益々苦しい状況になった。少なくとも同点に追い付く為に前掛かりにならざるを得ないのだが、そこで空いた後ろのスペースを川崎に突かれる悪循環。後半半ばに交代で入った小林(悠)がまたカウンターが何たるかをよく分かっていて、スペースへの走り込みやドリブルでマリノスの守備を掻き回した。ライン際のドリブルで数人をかわしてシュートを撃ったシーンもあり、こんな器用な選手だったのかと。フロンタサポの友人が以前、大久保以外のFW陣では小林はレナト、中村のパスに付いていけるが矢島は厳しいと言っていたのだが、今日の小林のプレーと矢島が契約満了という数日前のニュースにとても納得。
 マリノスは後半30分に兵藤→佐藤で、この頃から手数を掛けずに放り込み始めた。フロンタ相手に現状取れる最善の手はこれしかない。ジェシは全盛期の中澤に繋ぎのセンスも加えた様なJ最高レベルのCBと思うが、それ以外のDF陣はこういうシンプルな放り込みに弱い。実際↑で述べた前半8分のマリノスの決定機でもSB登里はロングパスに対処し切れなかった訳で。で、残り15分程は川崎が引いたのもあるが、マリノスが押し込むようになる。この頃には広島が追加点を挙げており、もはや2点以上取って勝つしかない状況。何が何でもゴールが必要なのだから、ここはファビオを入れて前に張らせる形でも良かったと思うのだが、3枚目の交代カードは後半45分にドゥトラ→端戸という。交代時間の遅さもそうだが、この状況で最近出番の無い端戸を入れるとは。中村(俊)のFKやマルキーニョスのヘッドなど惜しいシーンは作り出したのだが、GK西部が好セーブを連発して全て防がれる。今日の西部はセーブもそうだが、キックの質や飛び出しのタイミングも良く、守備ではジェシと並ぶ活躍だった。そしてロスタイム5分の末、試合終了。

 試合後は何人かの選手が倒れ込んでいたが、後でTVで確認したら中村(俊)が倒れ込み、涙を流していたらしい。それがまたこの選手らしい所でもあるが、ホーム最終戦後のセレモニーで何も挨拶しなかったのが引っ掛かる。今日の試合直後にインタビューに答えていた川崎の中村(憲)、あるいは前節同じくホーム最終戦で挨拶した広島の佐藤などはクラブの中心選手としてピッチ内だけではなく、川崎なら地域に根差した活動、広島なら専スタ建設問題などで自分の言葉で発言し、牽引役となっているが、そんなリーダーが今のマリノスにはいない。中村(俊)はかつてシドニー五輪予選突破後のインタビューで(不本意な左サイド起用に対して)涙を見せた頃と変わらず、中澤もリーダーというよりかはそれを超越した長老の様な存在で、より俯瞰的、客観的な発言が最近目立つ。クラブ内の立場や年齢的には兵藤、栗原辺りがその役割を果たすべきなのだが、兵藤は優等生過ぎ、栗原は歳を取った元子役スターの如く、“期待の若手”から成長しきれないまま歳を重ねてしまった。個人的にはナビスコ鹿島戦での奈良輪のインタビューがとても印象的で、ユース出身でJFLも経験してるキャリア的にも素晴らしいリーダーになれる素質があると思ってるのだが、レギュラーでは無いのがなぁ。

 そんな感じで色々書いていたら長くなってしまった。長いリーグも今日で終わり。リーグ戦=マラソンのようなものだと何度か書いているが、例えるなら今季のマリノスは序盤からスパートを掛け(開幕6連勝)、その後ペースが落ちて先頭集団で抜きつ抜かれつを繰り返すものの、35km過ぎには一歩抜け出した。が、最後の給水ポイントでドリンクを取れず(レギュラーを脅かす控え選手の不在)、40km過ぎにスタミナ切れで一気にペースダウンして最後のトラックで広島にかわされた―――そんな感じか。42.195km走り終えた時点で先頭にいた者が優勝であり、やはりその意味でも広島が勝者に相応しい。マリノスは広島にH&Aで勝利、つまり勝点6の差を付けたが、それ以外で広島より勝点7劣った。8連敗中の大宮に負けた試合、終了間際に追い付かれたホーム甲府戦等々振り返ればこういう「あの時・・・」というシーンは幾つもあるが、それらを引っ包めてのリーグ戦な訳で。
 試合後は新丸子で打ち上げ。食べログの評点のみで選んだが(苦笑)、なかなかいい店だった。