J1第28節 FC東京×磐田(味スタ)


 今節マリノスはアウェイでガンバだったが、19時開始で日帰り出来ないので等々力にでも行こうかと思っていたら前日に完売と。上位対決とは言えタイトルが掛かった訳では無いのに完売という辺り、そろそろフロンターレの集客力は等々力の収容(約25,000)を越えつつあるのだろう。こうなると三ツ沢開催時のマリノス同様に、試合や対戦相手の格が上がるほど常連客以外の「たまにはサッカー観に行くか」「いいカードだから行ってみよう」という層の行く余地が無くなってしまう。増築の話も出ているようだが(今のバック、両ゴール裏スタンドに3階席を建て増す方式で収容は35,000程度になるらしい)、施工は早くて2020年以降なんで少なくとも7~8年は今の状態が続く。

 と言う中で味スタへ行ったのだが、ここに行くのは今年初。着いたのは試合直前で、丁度席まで階段を上っている時にキックオフの笛が鳴った。席に着いた後、改めて場内を見渡すと、磐田サポの多さには驚いた。アウェイゴール裏の過半数を占めるというのはマリノスとほぼ同じ。やはりチームが好調だと遠征参加者も増えるのかなと思ったが、磐田や鹿島は2000年前後の黄金期故に首都圏でも結構サポが多い印象なので、そうした人々が再びスタジアムに来るようになった、という側面はあるかもしれない。
 そんな事を思いつつビジョンに映し出された両チームのスタメンを見て気付いたのだが、FC東京に五輪代表始め年代別代表で世界大会を経験した選手が多かった。

<今日のFC東京スタメン>
GK林 彰洋(07年U20W杯、ロンドン五輪バックアップメンバー)
DF丸山 祐市
  チャン・ヒョンス(11年U20W杯、リオ五輪
  徳永 悠平(03年U20W杯、アテネリオ五輪
MF室屋 成 (11年U17W杯、リオ五輪
  太田 宏介(07年U20W杯)
  高萩 洋次郎
  東 慶悟(ロンドン五輪
FW大久保 嘉人(アテネ五輪
  永井 謙佑(ロンドン五輪
  前田 遼一(01年U20、アテネ五輪バックアップメンバー)

 韓国代表チャン・ヒョンスを含めるとスタメンの過半数6名が五輪の正メンバー選出経験を持っており、年代別世界大会の正メンバー経験がない丸山、高萩にしてもA代表の経験はある。従ってユース時代から将来を嘱望され、成人してからも期待されて国際経験をそれなりに積んだ選手は多いのだが、現代表の主力や常連というと一人もいないが故に(林、高萩が呼ばれたり呼ばれなかったりという程度)、“B代表感”も同時に漂わせている。

 試合は開始からほぼ互角の展開だった。どちらもボールを繋ぐサッカーだったが、主導権を握る時間帯が交互に訪れて等しくチャンスが生まれるといったような状況、と言うと聞こえは良いのだが、実際はミスの応酬という要素が強かった。パスがずれて相手にボールを奪われても、すぐまた相手がパスミスしてくれるのでボールを奪い返せる、というシーンが何度もあり、どうも落ち着かない試合。典型的だったのは前半にあった磐田のCKで、中村俊輔のキックを東京のGK林が目測を誤ってボールをキャッチし損ねたのだが、目の前にこぼれてきたボールをボレーで合わせた川又のシュートはクロスバー直撃でゴールならず、というシーン。
 そういう中で決定機は個人の打開から生まれる事が多かった。磐田のアダイウトンが左サイドから切り込んでシュートを打てば、FC東京も永井がサイドライン際で相手をかわして中に切り込む、といった具合。ちなみに永井の突破は、この選手がそんな器用なプレーをするはずがないという先入観から最初大久保のプレーだと思ってしまった(苦笑)
 そうそう磐田の中村俊輔を観るのはこれで2試合目だが、トップ下と言いつつ状況に応じて最終ラインの前まで下がって組み立てに参加したり左右に開いて中を伺ったりと自由にポジション移動するプレーはマリノス時代と何ら変わりが無かった。やはりこの選手はポジションに囚われない自由な動きでこそ真骨頂と思ったが、サイドハーフに入った山田大記とのコンビネーションは今後の課題かもしれない。磐田復帰直後ということもあってかこれといったプレーは見せず途中交代となったが、観ていてどうも藤本淳吾と被るなと。藤本もマリノスで幾つかゴールを決めたものの全体的にはあまりインパクトを残せないまま移籍したが、中村とは同じレフティの中盤だけにバランスの取り方に注意が必要。名波からしたら自分と中村が代表で見せた関係を再現して欲しいという思いがあるのかもしれないが。

 試合は後半半ば過ぎからは東京が押すようになったが決め手を欠いてスコアレスドローで終了。実は今年の観戦でスコアレスはこれが初めて。マリノス戦でも引き分けは大体追い付かれての1-1だしな(苦笑)試合後は西調布まで歩いて京王線に乗車。調布駅までとなるとさすがに遠いが、ここまでは1kmもないのでいつも帰りに使っている。