J1第26節 横浜M×柏(日産)


 台風が近付く中で時間が経つほどに雨脚が強まる中での試合。浴衣デーという事で浴衣姿の人が目立っていたが、ちょっと時期の設定を見誤っていたかなと思う。そもそも9月半ばは暑さも和らいで浴衣だと少し寒い位だと思うが、運不運の要素に左右される天候も9月は台風が多く、特に明日9/17は台風襲来の特異日らしいので、その辺のリスクの見積もりがどうだったか。8/26のFC東京戦なら時期的に良かったと思うが。
 今日も場内暗転したが、これまでと違って緩いラップ調の曲が流れてスクリーンに応援メッセージが表示される演出で、スタジアムはまるで結婚式でエンディングムービーが流れた時の様な空気を醸し出していた。試合直前のテンションを上げていく演出としてどうだったかは敢えて言うまい。

 試合について。前節を始め今季敗れた試合を振り返ると、マリノスはGKや最終ラインにプレスを掛けられるとそれをかわせず押し込まれてピンチを招く事が多い。マリノス守備陣は跳ね返す力はあるが繋ぎは器用では無いので、連動したプレスを掛けられると1試合に数度パスミス等で危険なシーンを作られてしまう。4月に柏に敗れた時もこの展開だった。
 今日も柏はクリスティアーノや伊東、ハモン・ロペスといった前の選手が積極的に寄せてきたのだが、前節の川崎と比較してそれほど組織立った動きではなく、逆にマリノスの前線が柏の守備陣に圧力を掛けるシーンが目立った。柏の最終ラインはなかなか前にボールを運べず、マリノスは中盤でボールを奪ってサイドから相手ゴールに近付いたのだが、前半9分にオーバーラップした山中のクロスが相手に当たった跳ね返りが齋藤の前にこぼれ、フリーだったこの選手がそのまま左45度からミドルを決めて先制。これでようやくリーグ戦初ゴールだが、毎シーズン1~2度決めるこの選手のゴラッソが今回出たという感じ。もしかしたら今季中にあと1度くらいドリブルで相手を抜き去って決めるゴールも見られるかもしれない。ただゴールを量産するにはやはり昨季のようにエリア内に飛び込んで味方のクロスにダイレクトで合わせるシーンを増やす必要があるように思う。前半はマリノスが押し気味の展開のまま、柏に殆どチャンスを作らせず終了した。柏はやはり最終ラインと前線の繋ぎに少し難があった。前回対戦した時にいた手島はその辺が上手かった印象なのだが、今日同じポジションにいたキム・ボギョンはボールを受けたら自分で前に仕掛けるのを好むので前が渋滞してしまい、バランスやボール回しが停滞していた。
 ただ後半は柏が押し込み、マリノスのサイドが空くようになって柏の両SBからのクロスが増え始める。マリノスもカウンターで山中のクロスにマルティノスがフリーで合わせるというシーンもあったのだが、これはミートせず。今日の山中は古巣相手故かいつも以上に激しいプレーだった。前半には弾丸FKも披露したし、このレベルのプレーを継続すれば代表の候補リストに入ってもおかしくない。
 後半の半ば以降は完全に柏が試合を支配し、マリノスは富樫→喜田で0トップ(天野が前線に)にして1点を守りに行ったのだが、押し込まれ具合がどうもホームの広島戦と被って仕方なかった。あの時は後半40分頃に同点に追い付かれたのだが、今日はアディショナルタイムまであと1~2分という時間にクリスティアーノにFKを決められた。クリスティアーノは前半にパク・ジョンスとの接触で出血し、その時から興奮状態で結構荒ぶってたのだが、それを警告、退場といったマイナスのベクトルに作用させず、こうしたプレーに昇華させたのはさすがだ。同点後、アディショナルタイムにはお互い1度ずつチャンスがあり、特にマルティノスのスルーパスに抜け出した齋藤がGKと1対1というシーンは1点ものだったが、中村が上手く手を伸ばして齋藤を倒さずボールを止めた。そのまま試合終了。
 目安として首位との勝点差が残り試合数以下なら逆転の芽はあり、マリノスは今節前までは残り9試合で8差だったのだが、これで残り8試合で10差。ACL出場圏内が現実的な目標になってきた。C大阪、鹿島とのホーム戦も残しているのでチャンスはあるが、ただ先制されると勝てない(リーグ戦6戦全敗で無得点)、ホームでの戦績は昨季より良いが(8勝5分1敗)、5分全てが追い付かれた試合というのを考えると上位を狙うには勝点差以上にハードルは高いようにも。