等々力でのこのカードは2年ぶり。たまたま行けなかった昨年が10年に一度あるかどうかという展開だったのはさておき(苦笑)、今季は2位と3位の直接対決という点で面白い試合になりそうだった。これまでの経験から言うとこのカードは先制した方が勝つのだが、試合前の予想としては前回の対戦のように川崎が攻めてマリノスが守り、マリノスがカウンターやセットプレーから先制すれば行けるかなというもの。特に前回の日産での対戦は、前半0-0で後半にマリノスのカウンター2発で2-0だったんで、今回も同じ展開になる可能性はあると思った。
そして試合が始まったのだが、川崎がボールを保持して攻め込んで来るのは想定内だったが、そのボール回しのレベルは想像を超えていた。とにかく隙が無いんだな。これまでなら何度か奪い所はあって、マリノスがボールを奪ってカウンターで決定機というシーンも作れたのだが、今日の前半、特に35分頃まではそれすら叶わず只管ボールを支配されてカウンターのチャンスも相手守備陣に潰されるという展開だった。そんな中で前半15分に早くも川崎が先制。デゲネクのクリアをダイレクトで合わせたミドルだった。
今日の川崎を見ていると、おそらくマリノスをかなり研究してきたんだろうなというのが窺えた。川崎に攻められつつもマリノス守備陣が前の齋藤、マルティノスに繋ごうというパスを川崎は悉くクリアして繋げさせない。またそのサイドの2人(齋藤&マルティノス)に対しても常に距離を詰めて対応して加速による抜け出しを防いでいた。相手を研究して対策しつつ自分達の強み(パスワーク)を出してくる川崎に対して、前半のマリノスはちょっと混乱していたと思う。徐々に目の前の相手しか目に入らなくなって、一生懸命目の前の相手からボールを奪ってもすぐ相手にボールを拾われて波状攻撃を食らうとか、サイドのマークがずれてきて、左右両サイド深い位置からフリーでクロスを上げられるというシーンも目に付くようになった。前半のマリノスのチャンスと言えば、マルティノスのクロスを前線中央のウーゴが合わせたシーンくらいだろうか。(ミートせず相手GK正面に。)こうして前半が終了。
後半は流れを変える意味でも積極的に攻めに出る必要があり、特に最初の10分が重要だと思っていたのだが、前半よりはマシという程度の内容で、後半15分に追加点を奪われる始末。これでちょっと試合が見えてしまった感はあった。2失点目は自陣ゴール前での松原のタックルが中途半端で相手にボールを奪われてからの展開だったが、全体的に個々のスキルの差を感じた試合でもあった。それはトラップやパスの精度、角度という細かい部分ではあるのだが、そうした差が積み重なった結果が今日の内容なのかなと。具体的な名を挙げると特に喜田、天野はちょっとキツかった。喜田は豊富な運動量で守備面ではいい働きをするものの、攻撃面―――特にカウンターのスイッチを入れるようなパスにおいては課題があり、今日はそれが顕著に出てしまっていたかな。前半川崎にボールを保持されつつも喜田がボールを奪うシーンが幾つかあったのだが、いずれも近くの味方へのパスに終始してしまっていた。前半途中から、この選手がボールを持ってもやけに川崎のマークが甘いなと思ったのだが、おそらく事前の分析で喜田から縦へのパスが無いことを見抜いていたのではないかと思う。縦への危険なパスが出ないならその分他の選手をマークしようというか。
天野もこれまで中位、下位相手に見せてきたプレーは出せず仕舞いだった。これまで例えば新潟戦で見せたようなミドルなど、左足のセンスを上位相手に出せればワンランク高みに達せるかなと思っていたが、今日の内容は未だそのレベルでは無いことを実証する結果となった。唯一の見せ場は相手ゴール前でこぼれを拾ってボレーというシーンだったが、これはポスト脇を逸れていった。それ以外では果たしてどれだけボールに触れられたのかという内容。
終盤には再び自陣ゴール前でボールを奪われ、それを最後は家長に決められ3点目。最後まで想定を越える川崎のサッカーへの対処で終わってしまった90分だった。一緒に観ていた友人はこの後終了を待たずして帰路に就くほどで(苦笑)そんな訳で帰りは独り新丸子まで歩いて帰路へ。