J1第10節 川崎×FC東京(等々力)


■Prologue
 その名称はさておき、今回“川”をテーマにしたダービーに着目したのは面白いと思った。川のダービーと言えばドイツのライン・ダービー、という事で調べてみたらケルンとレバークーゼンの距離は等々力と味スタのそれとそう変わらなかったのは意外な発見。今ケルンは2部なのでこの対戦は休止中だし本当のライバルはケルンと川をもう少し北上したデュッセルドルフらしいが。地図を見るとライン川の川幅がとても広く、多摩川の数倍はある。これ程の大河なら、対岸の街は文字通り“向こう側”って感じなんだろうな。数年前鹿島に行く途中で利根川を渡った時、そんな感じがした。
そんな事は置いといて、このダービーが結構定着しそうな気がするのは、両クラブがどこか似たもの同士というイメージがあるせいかもしれない。Jでは(周辺のJ初期加盟クラブと比べて、という意味で)新興勢力の部類に入るものの、J1に定着し、代表選手を送り出すまでなったという点において。
 

■前半
開始数分で大橋のミドルが炸裂。その数分後には黒津のゴールが決まって開始10分足らずでいきなり川崎が2点のリード。これで東京が浮き足立った面はあるかもしれないが、前半は両チームの完成度の差が残酷な位に現れた45分だった。ボールを奪っても前に出し所がないアウェー側に対して、ホームチームは流れるような動きで相手ゴール前に殺到するという展開。その象徴的なシーンが4点目だった。大橋が直接FKを決めて3−0にした直後、パス回しで左右を揺さぶり、中村ケンゴの右サイドからのグラウンダーのクロスは必死に足を伸ばしたDFにクリアされたものの、走り込んだ村上が決めて4−0。次々に相手ゴール前に姿を現す、あまりに見事な展開に、その瞬間、アウェースタンドからも拍手が起こった程だった。

※追記・訂正)映像を見たら4点目の場面で中村のクロスをクリアしたのはGK塩田だった。


■後半
前半がああいう結果になった訳だが、後半も同じ展開とは思えなかった。それは昨年味スタでガンバ戦を見たせいでもあるし、前回のこのカードも同様だったからでもある。このチームは吹っ切れた時の戦闘能力が異常に高い。まぁ前提として追い込まれる、という条件付きなんだが、組織もへったくれもなくひたすら前に、前に突き進んで相手のたじろがせ、それが過去の奇跡に繋がってきた。(4点リードして川崎がペースを落とした、という部分はあるにせよ)実際後半はその通りの展開で、前傾姿勢の代償に川崎のカウンターを何度もくらって、さらに1失点したが、PKとコーナーからのこぼれで2点返したのは今のチーム力だと最大限の反撃だったように思う。
結果は5−2と7点入る乱戦だった訳だが、昨年観に行った同じカードは2−2、味スタでは5−4、とこのダービーは点が乱れ飛ぶ、というのもまた1つの特徴になっていくのかもしれない。丁度、バルサとA・マドリーがそうであるように。
※去年のエントリを読み返したら結果以外の試合展開は今日と大して変わり無かったな。

■Epilogue
今日はこれまでが嘘のような天候だったが、雨の試合は芝が水浸しにならなければ水を切るような素早いパス回しが見れるのでそれはそれで悪くない面もある。試合自体どちらも前に向かう姿勢を見せてくれたので屋根下に吹き込むような雨すらも良い舞台装置という感じだった。ま、疲労度も普段の+50%増なんだが、こういう試合ならそれもいいわ。