J1第1節 横浜M×浦和(日産)


 2008年の開幕戦は、ポンテのいない浦和は攻撃の組み立てに苦しみ、ロペスが入って去年に比べて中盤からの展開が格段に良くなったマリノスが1点を守って勝利した。

 後半、リードされた浦和は田中、永井を入れたが、ただゴール前が混雑してるだけの状態。入れるならまだ梅崎の方が下がり目だから良かったとは思うのだが、基本的に皆ドリブラーばかりだから、結局の所敗因=ポンテ不在か。
 マリノスはこの試合に照準を合わせてきたと感じさせるコンディションの良さで、それは両サイド、特に田中(隼)を観てよく分かった。この選手は少しでもコンディションが下がると途端に攻める回数が減ってトラップ、クロスの精度も悪くなるが、今日は何度も攻め上がって中に切り込み、しかも前半には惜しいクロスまで上げてたので、相当良コンディションだったはず。退場者は出したけど、浦和の攻めはドリブルorクロス一辺倒で守り易く、坂田や山瀬が相手の裏を突けるようになった分、むしろそれが幸いしたと言えるかもしれない。


 勝利後の日産スタの陶酔感は、思い返せば04CSで勝った時に近いものがあった。6万を超える観衆、スパサカの加藤■央をマリノスのダンスチームに加入させるという話題作り、ホームチームの勝利。1つのイベントとしてみれば大成功と言う他無い。ただ、開幕、相手が浦和という条件ならば過去にも5万以上入っていたし、6万でも不思議ではない。やっぱ“それ以外”でどれだけスタジアムを埋められるかが、あの04年の後に目指して頓挫した(そしてリーグやメディアも密かに期待する所の)『浦和に対抗し得るビッククラブ化』の鍵だな。少なくとも鹿島や川崎、ガンバ、FC東京といった強豪もしくは近隣のサポの多いクラブと土曜昼間にやって3万5千以上、遠地のクラブでも2万5千は入って欲しい所だ。
 何故観客を増やさねばならないかと言うと、それはビッククラブを目指す以上観客数もそれに相応しいものにしなければならないという点の他に、クラブの発展・強化という現実的な問題に直結する為だ。マリノスの補強は2〜3年に一度積極的になって結果もそれに伴うが、結果を出した後はそれを維持出来ず、緊縮財政を敷いて結果も停滞、というサイクルが繰り返されてる。この10年を振り返っても
1998年〜2000年:合併による戦力UP効果+補強→2000年ステージ優勝
2001年:三浦アツ、柳ら主力放出で降格危機
2002〜2004年:奥、久保、中澤、安らを補強→03、04年リーグ連覇
2005年〜2007年:山瀬、師匠以外代表クラスの補強無し→低迷

そして2008年:ロペス、ロニーの補強+中村獲得資金(約10億)を日産が約束(?)→??

 
 どうやらまた積極財政になり始めたらしいので、多分結果も昨年より良くなる可能性は高い。リーグは少なくとも5位、もしかしたら4位以内も行けるかもしれないし、ナビスコ天皇杯を取るチャンスも高いはず。だが、観客を増やして親会社の援助に頼らず毎年それなりの補強が出来る体力を付けないと、また同じ事を繰り返すだけだ。浦和が何故毎年補強が出来て、あの戦力を維持出来るかというと、入場料収入という基盤があるからであって、決して三菱からの援助に頼ってる訳ではない。その視点で見れば、典型的な企業クラブである運営と、まるで横浜の象徴を謳う姿勢には乖離がある気がするのだが・・・


 どんな場合にせよ浦和と対戦は心を揺さ振られるし、↑のように色々と考えさせられる。何はともあれ今年もまたどうしようもなく、そして素晴らしい週末が始まってしまった。