静けさ、そして温かさ

 そこに足を踏み入れた時、奇妙な懐かしさが蘇った。それは5年ほど前の記憶。夜の帳と共に訪れる静けさと人々の温かさ。そして最も自然な形で発露する“生”への態度。1時間と少しの滞在だったが、思い出させるに十分だった。

 
 前回より格段に快復した姿を見て安心したが、それは日々の必死の努力の結果であり、その努力とは結局の所他人の入り込む余地の無い自分との戦いでもある。そんな人に自分は一体何が出来るだろう?いつもながら、この場では自分の方に与えられるもの、考えさせられる事が多い。


 面会後、外に出ると肌寒く、雨まで落ちていた。もう少し暖かくなる頃またここに来れば、より快復した姿を見せてくれるはずだ。“はず”か・・・我々に出来るのは突き詰めれば信じる事なのかもしれない。