結局こちらか

 会社の人に東野圭吾好きがいて最近色々と話を聞くので、たまにはこういう方面にも手を伸ばそうかと思いながら図書館の蔵書を検索し、何故かこれを借りていた。
ファウスト 第1章/ヨハン・ヴォルフガンク・フォン・ゲーテ

【あらすじ】
悪魔メフィストフェレスは天上にて、人を悪の道に導き得るかの賭けを神と行った。そして選ばれたファウスト博士に、それまで無縁だったあらゆる快楽を手にする事と引き換えに、あの世での服従をを持ち掛け、ファウストはその契約に同意した。
その後メフィストフェレスの力でこの世の享楽を満喫するファウストの前にマルガレーテという女性が現れ、2人は惹かれ合うが・・・

ゲーテが生涯を懸けて著した作品というからまた長大で、神曲みたいに難解な文章、構成かと思っていたが、いわゆる戯曲形式で思ったより平易だったし、それほどの長文でも無かった。
 神曲もあの時代にしては随分と進んだ精神下で書かれていたんだろうけど、これはやはり時代が19世紀故か、作品の背景にある世界が、より現代に近い事を窺わせる。まぁ端的に言えばキリスト教、というか教会への遠慮が薄らいでるよな。悪魔とか魔女とかの存在が糾弾すべき絶対悪からある種のキャラクターとして客観的に描写されているように見える点などで。
 
 この作品の主人公は勿論ファウストなのだが、メフィストフェレスの存在感がまた際立っていて、トリックスターと言うには“悪”の度合いが強過ぎるけども、北欧神話でいうロキのような存在。
 特に序盤はファウスト他人間達と、メフィストフェレスの会話で成り立つ場面が多いのだが、人間達との時に下手に出ながらの掴み所の無い会話を続けた最後に独白等でふとその本性を露わにする落差の描写が巧い。

 てな感じで第二部へ。