例年天皇杯の準決勝は国立とエコパor長居というのがお約束だったが今年は日産で開催。この大会はJFA主催で中立開催という建前上、場内アナウンスなど試合運営が普段の日産と異なっていた。まぁそういうものと受け止めていたのだが、試合中に映像装置で映すゴールシーンやチャンスを両チーム公平に流していたのは普段のリーグ戦でも踏襲して欲しい所だ。どういう理由かは知らないが、数年前から日産のマリノス主催試合では相手のチャンスやゴールシーンを殆ど流さなくなっている。そんな事で“ホーム感”を演出したいというのならば苦笑せざるを得ない。例えば埼スタの浦和ホーム試合に行けばアウェイ側の攻撃シーンも普通に流れるが、だからと言って浦和のホーム側の雰囲気が損なわれる事は無く、それどころかJ最高レベルの雰囲気を作り出している。最近のマリノスはどうもこのような偏狭で、原理主義的な行動が目立つ。
まぁそれはともかく試合についてだが、観ていて2012年最終節のリプレイかと思った。この試合、日産で鳥栖と対戦して押し気味に試合を進め、最後は中村のFKで1−0という試合だったのだが、あの試合の様に鳥栖はフィジカルを押し出してロングボールとサイド攻撃、そして藤田直之のロングスローに活路を見出すものの、決定機を作るには至らず。マリノスも去年とは違ってやはり動きは落ちていて決定機を作るまでには至らないのだが、残り5分という所で奈良輪のシュートがダフってゴール前の藤田に渡り、それを藤田が落とした所に兵藤がダイレクトに流し込んでマリノスが先制。
先制さえすればマリノスは途端に守備⇒カウンターで生き生きしてくるのだが、今日もロスタイムに中村が決めて2−0。01年ナビスコ以来のカップ戦決勝進出と。
今日は鳥栖GK林が印象に残っている。去年だか清水在籍時に日産で観た時はキックが不安定だったのしか覚えてないんだが、今日はほぼ安定したプレー。あれだけの身長があって国際経験もあるだけにもう少しレベルアップして代表まで登り詰めて欲しい。
さてマリノスは決勝進出だが、振り返ると今年の天皇杯は八戸(東北社会人1部)⇒栃木(J2)⇒長野(JFL)⇒大分(J118位)⇒鳥栖(J112位)てこれだけ組分けに恵まれる年もそう無いな。まぁ決勝はリーグ優勝の広島な訳だが。決勝は藤田が累積で出場停止で端戸がスタメンと思われるが、これが意外と良い方向に作用するのではないかと思う。先制アシストがあったととは言え藤田は限界も見えていた中で、チームにフィットし切れないではいるものの、才能、センスは同期の齋藤に勝るとも劣らない端戸が1トップで新境地を切り拓いたりするのではないかなと。ちなみに藤田が今日受けた黄紙というのはオフサイドの笛が鳴っている中でボールをゴールに蹴り込んだ為。笛の音に気付かず普通に狙ったのでは無く、笛の音を聴いてから不服そうにループ気味に蹴り込んだもので、全く不要だった。この選手個人にとってもこの試合がある意味(良くない意味での)転機となるかもしれない。
そうそう試合後に友人宅で鍋をしつつ国立の試合を視てたんだが、西川のプレーには圧倒された。相手GK塩田も十分な活躍だったが、それ以上に西川が神懸かっていた。もしこの試合がもう少し時期が早かったら、例のMVP投票でももう少し票が伸びていただろう。