2017シーズン(後)

 開幕前日になってしまったが、別の角度からの展望を。齋藤学は最終的に海外移籍せず残留となったが、欧州のクラブにとって日本人選手(というか欧州外の選手全般)は基本的に青田買いの対象で、少なくとも20代前半で欧州に呼んで育てて、より大きなクラブに獲得した時以上の違約金で移籍させる、というビジネスモデルが確立されている。従って今年27歳の齋藤が欧州のシーズン途中の冬に移籍するのは思った以上にハードルが大きかったんだろうな。
 ともあれ残留した訳だが、背番号10かつキャプテン就任は(たとえ本人が志願したにせよ)ちょっとどうかな。どうもマリノスは昔から特定の個人に責任を負わせ過ぎているように思えてならない。ここで言う責任とはピッチ上だけでなく、集客や売上も含めたクラブ全体の“結果”に対するそれ。特にここ最近の背番号10はそうなんだよな。藤本淳吾は単に期待したほど活躍出来なかっただけだと思うが、小野裕二、そして中村俊輔が。
 小野の場合、高3時からほぼレギュラーで試合に出ていた逸材だったが、翌年に早くも10番が与えられた。その後もレギュラーではあったが得点力に課題があり、名実共にこの番号に相応しい選手になるにはもう少し時間が掛かるな、と思った時期にベルギーに移籍。当時のマリノス財政再建真っ只中で、移籍金が億単位で入るオファーだったが故だったが、結局若い有望株が選手として完成する前に付けただけで、この番号の重みが減じてしまった感はある。
 中村については元々この番号に相応しい力を持っていたが、キャプテン就任が余計だったと思う。この選手は他の選手のインタビュー等読む限り、元々ベテランとしてチーム内で若手の相談役だったりチームのまとめ役として役割を果たしていたようだから、わざわざ腕章を巻く必要は無かった。キャプテンなら広島時代の佐藤寿人やガンバの遠藤、川崎の中村憲剛みたく対外的に意見を発したり、少なくともホーム最終戦ではスピーチして来季や天皇杯への意気込みを述べ、士気を高めたりして欲しかったが、結局一度もその機会は無く、スタジアムで肉声を伝えたのはせいぜい勝利後のヒーローインタビュー程度。
 2人の例を出したが、結局責任を背負わせるだけ背負わせて、それが裏目に出る事が多いのではないかと。今更言っても仕方ないが、齋藤は10番かキャプテンどちらか1つにすべきだったと思う。個人的にはマリノスの歴代10番とはタイプが違うし今まで殆ど付けたことの無いこの番号をこの年齢で急に付けても違和感があるので、マリノス歴代最高の11番を目指して欲しかった。しかももし夏に欧州移籍という話になったら、小野と同じく益々この番号の価値を減らす事になる。まぁ営業的な観点から言えば、元々このチームは名のある選手で集客してきた面があるから、中村俊輔が去った今、新たなシンボルとして売り出したいという思惑はあるのだろう。

 明日は12時半というマリノスには珍しい開始時間なので開門(年チケ)は10時。もしかしたらもっと早まるかもしれない。早起きせねば。