2017シーズン(前)

 既にスーパー杯、ACLは始まって、リーグ開幕まであと2日なのでそろそろ今季の展望を。というかマリノスについて所感をば。今日はその前編。

 この前の練習試合、更に言うと昨季の終盤からチームは徐々に勝ち切るまではいかないが負けにくいチームになっているとは思う。ポジション、守備、攻撃のブロックの役割が明確になっていて、特に攻撃はそれが行き過ぎて齋藤、マルティノスの両翼に過剰に依存したりもしているのだが、こういうシンプルさは欧州っぽい。日本の場合、ドリブルなりパスなりで局面を打開出来る選手がいても、そうした選手はいないのを前提に「いかに個で劣る選手達を連携させるか」がチーム作りの出発点になっているように思うが、欧州の特にリーグで中位以上のクラスのチームは個人で打開できる選手がいれば、その力を前提にチーム作りをするイメージ。今のマリノスとか、攻撃=原口の突破だったペトロビッチ(ゼリコの方)時代の浦和とかはそれが顕著に出た例かな。
 ポジション毎の役割が明確と書いたが、中村俊輔が退団した背景もここなんだろうと思う。前に書いたように、この選手は一応「トップ下」の選手とされているが、実際は特定のポジションがあって無いようなもので、試合中臨機応変に後ろに下がったり、左右に開いたりする。そういう動きをチームで機能させるには周りの選手と阿吽の呼吸のコンビネーションが必要で、必然的にメンバーは固定化されるようになる。この選手が輝いたチームを振り返ると樋口時代がまずそうだったし、ジーコ時代の代表もそうだった。どちらもメンバーを固定するタイプで、どうしても主力を休ませたい時は2〜3人ではなくDFラインまるごとだったり、7〜8人ごっそり入れ替える事もあった。他に相性が良かったのはオシム、セルチック時代のストラカンなどだが、共通するのは自由にプレーさせてくれるという事なんだな。逆にポジション毎に役割を明確化するトルシエ、そしてモンバエルツのような監督とは最終的に衝突する結果になってしまう。

 そういう中で今季は中村俊輔が退団し、外国人選手が久しぶりにキャンプから合流出来たシーズンと言うことで監督としてはチーム作りに言い訳の出来ないシーズンになったと思う。ウーゴ、バブンスキーがどれだけ点に絡めるか、正直勝負師タイプでは無いのでここぞという大一番に勝てるか、という点は不安要素だが、各ポジションの層は厚くなり、またポジション毎の役割が明確になった分、選手をやり繰りしつつ戦えるので、13年のようなメンバー固定化による終盤の失速は無いかなと。
現時点のメンバーはこんな感じか。

GK:飯倉
DF:金井、デゲネク、中澤、松原
MF:天野、喜田、齋藤、バブンスキー、マルティノス
FW:富樫
サブ:杉本、新井、扇原、遠藤、中町、前田、ウーゴ

FWはもしかしたらウーゴがスタメン、富樫がスーパーサブかもしれない。ボランチ、トップ下に対応できる天野、CBも出来る扇原、SBとSHどちらも可能な遠藤とユーティリティ性の高い選手がいるのも強みだな。
 過去2年はシーズン前半を新外国人の適応期間(去年は適応しないまま終わったが)、後半にようやくチームが固まる、という展開だったが今年は最初から安定して勝点を稼げそう。優勝とまではいかないが、5位以内は十分狙えるんじゃないかと思っているのだが。

 明日(もしくは明後日)は別の視点からこのチームを考えてみる。