ACL準決勝第2戦 横浜M×蔚山現代(横浜国際)

  • 雨の準決勝

 湘南戦の観戦記で今季観に行ったマリノス戦は雨が多いと書いたが、特に平日は今日を含む3戦全て雨天。

スタジアムへ

そしていつもの如く開始に間に合わず、着いたのは前半3~4分頃。
 今日は1階席のみ開放してこの天気だったので、自席のバクスタアウェイ寄りの屋根下はかなり埋まっていた。屋根下なので声もよく響いていたな。

  • 試合
自席より

 自分が席に着いた時からマリノスは相手に殆ど攻めさせず押し込む展開が続いていた。そして前半10分過ぎに相手の自陣ゴールエリア内でのミスから上手くボールを拾った植中がゴール前で冷静に決めて先制。そして20分過ぎにはアンロペがゴール前中央でグラウンダーのシュートを決め2-0とトータルで逆転。更に30分過ぎには再び植中がエリア外中央からミドルを決めて3-0。あまりに理想的かつ完璧な30分だった。
 ただその数分後に取られたCKから蔚山に1点返されると、徐々に相手はサイドから圧を強めてきて受けに回る事が多くなる。そして1点目から数分後に再び(相手から見て)右サイドを突破され、エリア内で相手が切り返した所にボールがスライディングしていた上島の腕に当たってPK&退場。このPKも冷静に決められて一気にトータルでタイになってしまった。(ACLではアウェイゴールルールは無く、この時点で2試合トータル3-3)
 これ以降、最初の30分が嘘の様に相手に圧倒される時間が続いた。前半の残り時間でもバー直撃シュートなど3失点目をギリギリで回避する場面が何度かあり、2失点で前半を終えられて御の字と言う内容。

 後半もいきなりゴールを割られたが、これは相手がシュートした時に味方がオフサイドの位置にいたということでVARの結果ノーゴール判定。ノーゴールに救われたとは言え後半始まって粘るどころかあっさりシュートを決められたんで、先が思いやられる展開ではあったが、今思えばこれがある意味でこの試合を象徴と言うか転機だったのかもしれない。以降もずっと攻められてポスト直撃も少なくとも2回はあったし、ワンサイドゲームだったが最後の一線で踏ん張って失点せず。この守備の粘りはACLで勝ち進む上で大事な要素で、これまでマリノスはこの大会で不用意に攻め合って敗退する事多かったが、今季はこの点がこれまでと違う点。
 ただ蔚山の分厚い攻撃は単に数的優位以上のものを感じたのも事実だった。後1点でトータルで再逆転となれば焦って縦に急ぎ過ぎるだろうし、韓国のチームはそうした展開になりがちでもあるが、じっくり後ろから展開してサイドに展開→人数を掛けたコンビネーションで突破やクロスという様々なパターンを見せてマリノスゴールに近付く。片方のサイドに寄った時は常に逆サイドの選手が手を挙げてボールを要求し、そこにサイドチェンジを一発通して一気にチャンスという場面も何度か。監督は洪明甫だが、この人は自国のサッカーが持つ強みと弱みを冷静に把握している印象。サイド突破やセットプレーなど少ない手数でゴールを取り切る強みも、縦に急ぎ過ぎてリズムが単調という弱みも、全て把握した上でのあのサッカーなんだろうなと。
 その他蔚山にはブラジル人の他にスウェーデン人2人にハンガリー人もいて、近年Jでも北欧の選手が増えているが当該国の選手や代理人からすればJやKリーグが東アジアの「マーケット」として認識されるようになった、その反映なんだろうな。

 VARノーゴールから後半終了までまだ40分以上あり、実際ずっと攻められて最後まで気の抜けない展開が続いた。90分が終わり延長になってもまだ30分あるのかという感じで耐える時間だったが、さすがに延長になると蔚山も消耗して徐々に出足が鈍くなってマリノスが前に出る場面も見えるようになった。特にアンロペは前に張ってそれほど運動量ある訳では無かったが、前でボールを持つとそれをキープして味方の上がりを待つなど、数的不利時の1トップ選手として出る限りの事はやっていたと思う。
 交代も80過ぎの水沼、宮市、延長入った後の天野と最後にベテランを投入したのは試合を落ち着かせる意味とPK戦も意識した面はあったのかな。まぁ多少前に行ける場面も作れるようになったとは言え基本的に押されるのは変わらず、最後の最後まで相手の攻勢は続いて、そして120分間それを凌ぎ切った。

 後出しではあるがPK戦になった瞬間、これはマリノス貰ったなと思った。こういう展開は得てして守り切った方が勝つものだし、過去のACL日本勢、特に浦和の準決勝を振り返るとvsKリーグ勢、120分間の死闘、PK戦というのはデジャブ。
 PK戦マリノスは最初のアンロペから水沼、松原、天野、エドゥアルドと全員30代のベテランで皆GKの逆を突くシュートを決めた。蔚山GKは代表の趙賢祐だったが全て逆を突かれ、あまりPK戦は得意では無さそうだった。まぁPK戦の順番は経験を意識したんだろうな。恐らく6人目以降も宮市、畠中と年長組が蹴る予定だったと思われる。こうした時のベテランの経験値もこの大会を勝ち抜く上で重要だなと改めて思ったが、逆に実は年齢層高めなチームで、1つのサイクルが終了しつつあるのも感じる。ある意味で「アガリ」の状態というか、(リーグ優勝した)ピーク時ほどの強さは無いが経験が加わった、年齢高めの、より強かなチームがACLを勝ち抜くんだろうなと。
 蔚山も4人目まではポープの逆を突くキックが多く五分五分だったが、5人目の金民友(元鳥栖)のキックをポープが止め、最後エドゥアルドが決めて勝ち抜け。

  • 試合後所感

 痺れる試合だった。これまで観戦したACLの上位ラウンドの試合は全て浦和の試合だっただけに、マリノスがこの場所にいるのがまだ掴み切れて無い面もある。3-3どころか、更に1~2失点してもおかしくない展開だったが、これを凌いだことでこの大会で見せている守備の粘り強さに対して自信を深めた感もあるな。決勝はアル・ヒラル来たらミリンコビッチ=サビッチやクリバリが日産、もとい横浜国際で観れるなとか思ってたのだが笑、まさかのアル・アイン。このチームも監督があのクレスポという事で楽しみ。日本勢は決勝行ったらほぼ勝ってるが、今回も緒戦のホームでしっかり勝って、2戦目はアウェイでもしっかり試合をコントロール出来るのではないかと思う。丁度、鹿島が優勝した時の様に。

 中国勢の勢いが無くなった今は決勝行くにはKリーグ勢を倒さないといけない。今日の蔚山もサポは結構来ていたが、前半は1人だけ屋根下を出て応援している男が。

アウェイゴール

後半になると数人に増えた。蔚山のチャントは日本でも聞き覚えのあるものが多く、去年現地でKリーグ観た時も感じたが、ここはYouTubeとかでJや各国のチャントを視てるんだろうなと。蔚山のスタジアムは2002年の会場かつ専スタなのでいつか行ってみたい。

 PKまで行ったのでいつもの「NISSAN STADIUM」のロゴが隠されたスタジアムを出たのは22:00。

横浜国際総合競技場

雨で疲労も溜まったので、さすがに当日この観戦記を書くエネルギーは無く、翌日に持ち越し。まぁ何はともあれ勝ち抜けて良かった。