J1前期第6節 横浜M×浦和(日産)


 今週はウィークデーにACLとナビ杯が開催された為か(?)J1は日曜開催。日産スタジアムは開幕以来1ヶ月半振りだったが、その時以来の観戦仲間もいて時の流れの速さを感じた。試合前の予想はマリノスがここ最近のパターン&浦和戦でよくある展開で、俊輔の左足1発(FK、CK)で先手を取り、浦和の攻勢を凌ぎつつ隙有らばカウンターで追加点、というもの。浦和は火曜にACL、マリノスは水曜にナビスコ杯だったが、浦和が広州恒大相手に主力を出したの対して、マリノスはスタメン総入れ替えで臨んだので主力の疲労は無い。そう言う点からもマリノス有利かなと。

 そうして試合が始まったのだが、浦和はここ数年見せている組織力の高さは勿論だが、今日はどこか力まず自然体な印象を受けた。浦和はマリノス戦ではいつも必要以上に力が入ってしゃかりきに攻めるのだが、そうすればするほど実はマリノスの(正確に言えば中村、中澤らベテランの)術中にハマってカウンターを食らい、失点する。だが今日はバランスを保ちながら徐々に押し込んでいくようなサッカーだった。試合前のJ公式サイトでは中村と柏木の10番対決を煽っていたが、柏木は中盤深い位置から左右、中央に長いパスを通していて、(少し大袈裟だが)ピルロの様だった。左右両サイドへの展開はともかく、中澤とファビオが構えている中央にも浮き球のパスを通していたには驚いた。短いパスでリズムを作る遠藤ヤットとはまた違う形の司令塔の姿を見た。

 マリノスに関しては正直10番の左足セットプレーとカウンター以外ゴールの匂いはしなかった。前半から最終ラインからパスを繋いで攻めようかというシーンは何度かあったのだが、パスのテンポが遅すぎて縦に出したら相手にカットされるシーンの繰り返し。むしろこうした繋ぎは次のカウンターの機会までの時間稼ぎかと思う程だった。前半は殆ど決定機を作れず、後半はカウンターから左の遠藤(今季ユースから昇格)が何度か抜け出したのだが、浦和DF陣に上手く身体を入れられたりボールを奪われたりして点には繋がらず。今日は齋藤学が負傷欠場した為に同じく足の速い(監督曰く齋藤より速いらしい)この選手がスタメンで出たのだが、前のガンバ戦の2点目がまさにカウンターから左サイドの齋藤が抜け出して右に走り込んだマルティノスにパス→ゴールという流れだっただけに、抜け出してからの判断力や技術の差がそのまま齋藤と遠藤の現時点での差、なんだろうと思う。ただ齋藤も昇格当初はドリブルが空回りする事が多く、プロ4年目のレンタル先のJ2でようやく戦える選手になったし、今の監督は若い選手の育て方は心得てると思うので、齋藤より早く大成する可能性は十分ある。

 まぁマリノスの攻撃に関してはカイケ、マルティノスとの連携が取れていないからという見方も出来るな。ただマルティノスのは先週のガンバ戦に続いて主審の判定にあからさまに不服の意を示したり、感情のコントロールという点で不安がある。日本に来て間もないので判定基準に慣れていないとは思うが、同じ条件のカイケがそうした行動を取って無いのを見ると、やはり性格的なものだと思う。感情と同じくプレーの起伏も激しいタイプ、という気がする。

 試合は後半も浦和が押し込んでいたがGK飯倉のセーブによって失点はせず、0−0の引き分け。相手の疲労を考慮すれば両チームの完成度は今日の内容以上に差があった。しかし0−0てのは最近のこのカードでは珍しいスコアだな。このカードはロースコアが多いがそれでも1−0、2−1と点は入っていたのだが。マリノスはこのガンバ戦、レッズ戦で内容的には勝点1(△●)の所を4(○△)取れたのだから御の字とは言えるな。カイケ、マルティノスと連携が深まった時にどうなるのかは楽しみだが、10番の左足とカウンター以外での得点も望む。