J1前期第7節 FC東京×川崎(味スタ)


 マリノスはアウェイで磐田なので近場の好カードを。この両チームともマリノス戦だけでなくそれ以外にフラッと年に何試合か観に行く事があるのだが、このカードとなると何と09年のナビスコ杯決勝以来6年半ぶり、リーグ戦だと08年の等々力の試合以来7年半ぶりだったという。大抵マリノスのホーム試合や近隣アウェイと被ってたのが一番の理由だと思われるが。

 試合前には熊本大地震の犠牲者に対する黙祷が捧げられた。

 このカードはゴールが多く決まるらしいが、今日もいきなり開始4分に東京が先制。ラインを高く上げていた川崎守備陣のクリア(前へのフィード?)をN・バーンズがカットしてそのまま独走して決めた。あまりに川崎らしい失点だったがその5分後には中村憲剛の縦パスが大久保に通り、これを冷静に決めて同点。開始10分で2点入ると言う展開にこの前の湘南戦の様なゴール乱れ打ちを期待せざるを得なかったが、前半はその後やや膠着した。基本的に川崎がボールを支配して東京がカウンターという構図でもう1本パスが通れば決定機というシーンはあったがそこまで至らず。
 だが後半に入るとまず川崎のミドルがクロスバー直撃、その後には小林悠がGKが飛び出した無人のゴールにボールを流し込めずというシーンが続いて、こう決定機を逃していると逆に東京が決めたりするもんだよな、と思った矢先にFKから前田が合わせて勝ち越した(笑)この時点でまだ後半9分だったが、その後は東京が前掛かりになる川崎の裏を上手く突いてチャンスを作り出し、押す展開に。川崎もなかなか決定機を作るまでには至らなかったのだが、後半半ば過ぎに大久保?が倒されてPK獲得、これを大久保自身が決めて追い付いた。そしてその数分後にはエウシーニョのパスを小林がエリア内で受けてシュート、これが決まって一気に逆転した。小林は上記の後半早々の絶好機を逃していたが、それを引き摺らずに決めたのは素晴らしい。
 これで完全に流れは川崎となり、アディショナルタイムには中村が相手陣内のコーナーへドリブルして時間を使うと見せかけて急に東京ゴール方面に方向転換し、サイドからクロス、これを逆サイドから走り込んだエウシーニョが合わせて試合を決した。結果4−2で川崎勝利という事で、この前の湘南戦と合わせて14ゴールも見せて貰った(笑)

 以下試合中目に付いた&気になる個人を。
田坂祐介阿部拓馬
 試合中ふとこの2人はよく似ているなと。どちらも左サイドの中盤で、持ち味は運動量や献身性、ゴールに繋がる動きだが、ブンデス(2部)経験者という点も共通している。年齢も田坂が30歳、阿部が28歳と脂の乗った時期だが、プレー1つ1つが相手の出方を読みつつその逆を突く、と言ったさりげないセンスがあって見ていて面白かった。

■小川諒也
 太田宏介が海外移籍した後、左SBの定位置を手に入れつつある選手。左脚の精度は太田同様に高く、今日もFKから前田のゴールをアシストした。年齢的にもリオ五輪世代でSBの層が薄いだけにこのまま一気にブレイク→五輪出場と行きたいところだが、今日はアシスト以外では対面のエウシーニョに押し込まれるシーンが多く、オーバーラップからのクロスの回数も少なかった。長友級とまでは言わないがもう少しダイナミックに上下動するシーンを増やして欲しい。長身なので個人的にはかつて東京にいた尾亦弘友希を思い起こさせた。

田邉草民
 スペインから帰国した後初めて観た(はず)が、あまり他の日本人選手にみられない独特のプレーリズムを持っていた。ドリブルではスピードに任せて進むのではなく、少し溜めを作って相手が寄ってきたらテンポを速めて一気に抜き去るといった感じで。若手のイメージがあったが今年でもう26歳なのか。

大久保嘉人
 今日は2ゴールでJ1通算161ゴール。川崎の試合で掲げられるYOSHI METER(大久保の通算J1ゴール数を示した横断幕)って本当にゴール直後に更新されるんだな。この際200ゴール、更に言うなら釜本が日本リーグで記録した202ゴールを越えて欲しい。

■河大成
 今季加入した韓国代表。守備と展開力を併せ持ったボランチの選手で、プレーを見て高橋秀人がスタメン落ちした理由が分かった。ブラジルW杯にも出場しているが、基本的には欧州組がいない時に出る選手という位置付けのようで、年齢もあってかW杯以降は代表にも選出されていない。日本で言うなら青山、高萩の様な立場の選手かな。ちなみにFCソウル→北京国安→FC東京と日中韓の首都クラブに在籍。

城福浩
 個人と言うかチーム評になるが、今日のサッカーは自分がイメージするFC東京感に溢れていた。個々の選手、あるいは時間帯によってはとても質の高いプレーなのだが、試合全体を通してみると何かが足りず、結果リーグでは中位でたまにカップ戦を取るチーム、というイメージ。去年までフィッカデンティによる緻密なサッカーだった分、細かい部分でのアバウトさが少し目に付いた。ACLとの掛け持ちもあるし、今季は年間一桁順位なら御の字のような気がする。