日曜・三ツ沢

 昼過ぎ、三ツ沢まで車を走らす。晴天の日曜日の空はドライブするには格好の条件で、道も空いていてあっという間に目的地に着いた。陸上競技場に向かうと試合は既に始まっていた。
 今日はここで行われる市の大会に友人達も何名か出場するとの事だったので、その応援に行った。が、そこにはそれは今日までに何度も誘いの連絡をくれた担当者の熱意に多少なりとも応える為、そして久方ぶりに車を走らせてみたかったという些か消極的で不純な動機があった事は正直に言わねばならないだろう。友人達に頑張って欲しいという思いは当然あるものの、そんな状況であったが故にスタンドに掲げられた横断幕の文言が俺にとってはあまりにも美しく、そして現実離れし過ぎていて、どこか周りの応援者との温度差を感じた。試合を観ながらも時に視線は隣の球技場に向いて一ヵ月後に迫ったJの開幕に思いが跳んだりとかなり集中に欠けた観戦だった。


 そのまま後半に差し掛かった頃、不意に後ろから呼び掛けられたので振り向くと、そこには地元で就職した為に最近はなかなか会う事の出来ない友人が立っていた。本当に驚いた。本人は『幽霊でも見たような目』と言っていたが、確かにそれに近い(苦笑)聞けば別件で上京する予定があったのでここにも足を向けたとの事らしい。そこからやっと眼前の試合を観る事に集中出来たように思う。
 試合中、後に話す中で気付かされたのは、その友人にとっては今日が皆と顔を会わせる数少ない機会であり、その意味で俺は随分と恵まれた立場にある訳で、こういう機会を無駄にしてはいけないなと。行くと決めたのは本当に直前だったし、すぐ帰るつもりだったが、行ったら行ったで得たものは多い(気がする)。久し振りにドライブ出来た事でもあるし。