メディアパワー

その1:レアル・マドリー  
 このクラブが誰かを狙う前には必ずと言っていいほどMarcaが報道して流れを作るよな。最初にスクープと称して移籍情報を流し続け、徐々に移籍が不可避であるかのような流れを作って外堀を埋めた後でクラブは最後の交渉に臨み、そして成立させる。要は巨人と報知、阪神とデイリーのような関係なんだろうが、こういう御用新聞を巧く使う術はさすがだと思う。
 けどCBはどうするのかね。カンナバーロがイタリアに帰ってぺぺも長期出停、メッツェルダーも多分放出される。まさかS・ラモス?大物CBを獲るなら相応の出費が必要だし、既に200億も使ってさらにそれが可能だとすれば、金の出処がちょっと臭いな。


その2:日本代表
 W杯予選を突破した後、やけに「ベスト4」という単語が目立つ。確か発端は監督が就任した当初に「(02年の韓国と同じ)ベスト4を目指す意気込み、決意で代表戦に臨んでくれ」という程度の意味だったかと思うが、いつのまにか言葉だけが独り歩きしてそれが具体的な目標になりつつあり、ベスト4に行けるか行けないかが成否の基準になってしまいそうな勢い。
 これは非常に危険な流れだ。別にベスト4なんて無理などと端から諦めるつもりはないが、現状の日本の力、そして過去の実績を考えたら
・GLで勝点4以上=及第点
・決勝トーナメント進出=成功
・ベスト8=大成功
が妥当な所だと思う。前回を考えたら1つ勝てば大きな成果だし、内容もキリンカップ時のような流れるような展開を本番で披露出来れば十分評価に値すると思うんだが、今のままだと結局ドイツの二の舞―――無責任な煽りとその反動―――になるだけ。


 サッカー(というかスポーツ全般)の楽しみ方の1つに、応援するチームの成長を見届けるというのがある。それはそれで大きな要素だが、方法は決してそれだけではない。世界中には多くの代表チーム、無数のクラブチームがあるが、当然ながらその全てが上昇曲線を描いている訳ではなく、中には停滞、低迷しているのもある。いやむしろ数で言えばそういう所の方が多い中で、それでも世界中のチームにファン、サポーターが存在するのは、それ以外にも楽しみ方が存在するからだろう。そこなんだよな。


 前回のW杯でイングランドトリニダード・トバゴのサポーターが印象的だった。イングランドはどこに行ってもサポーターが大勢付いてきてホームの雰囲気を作り出してしまうが、チームはいつも優勝できない。この前のEUROは予選敗退までした。けどあの連中はいつも会場の街中で陽気にビール飲んで騒いでるし、これからもそうだろう。
 一方T&Tは初出場で優勝どころか1勝したら快挙というレベルだったが、スタンドにいるサポーターは陽気でその場にいることだけで幸せ一杯という感じだった。結果的にはスウェーデンに引き分けたし。日本が初出場した時はどうだったか?あの時も丁度今と同じく「1勝1分1敗で突破狙い」発言が必要以上に強調されて、結果に焦点が当てられてた。国民性もあるかもしれないが、せっかくW杯に出られるんだからもっと色々楽しめる方法はあったと思うのだが・・・。


 このままだと延々と続いてしまいそうなのでここで止めるが、日本には未だサッカー文化根付いてない、根付かせるには、という定期的に沸き起こる抽象的であまり身の無い議論も、結局はもっと多様なサッカーの楽しみ方を見つけていくという方向に収斂されるのかもしれない。


 で、最初は何の話してたんだっけか?