年間表彰2022(後編)

 前編に続いて本日は年間MVPを発表。去年同様に自分や周りの友人、某SNSで相互フォローしている方々合わせた40名による投票で決定。

【選考方法】
各投票者はベスト5選び、1位:5pt〜5位:1ptとポイント化してその総合計で選出。仮にポイントが並んだ場合は1位票の多い方が上位、それでも並んだ場合は以下2位→3位・・・5位票の大小で決定。順位票すらも並んだ場合は両者同順位とする。去年まで上位5位のみこのルールを適用していたが、今年から全順位に適用。

【過去の受賞者】

それでは5位から発表。例年通り選考者コメントを太字で表記。なお所属は2022年に在籍したクラブ。
第5位
鎌田 大地(フランクフルト):30pt
 まず5位は鎌田。「主力としての欧州EL制覇は偉業」、「EL制覇と今シーズン7ゴールは圧巻」、「所属クラブでレギュラーであり続けている上にEL制覇に大貢献」、「クラブでの王様っぷりに貫禄が出てきた」というクラブでの活躍によって票を集めた。「W杯さえ?なければ1位だった」という声もあったがそれだけに「W杯本戦はチームのために尽くしてくれたけど目に見える結果が出なかったのは残念」ではあったな。波に乗り切れない中でクロアチア戦は悪くなかったし、フル出場していればPK戦でも上手く決めてたはず。クラブではPKキッカーを任される数少ない日本人選手であり、EL決勝ではサイドギリギリに弾丸キック決めていたので。個人的にカズ、中田ヒデ、本田に続く日本サッカー10年に1人のキングとして期待していたのだが今大会「戴冠」することは出来なかった。だがまだ26歳だけに今後もクラブ、代表での活躍に期待。

第4位
吉田 麻也(サンプドリアシャルケ):30pt
 鎌田と同ポイントだが1位票の多さ(吉田5、鎌田1)によりこの選手が4位。「ここ数年のキャプテンシーの集大成と思わせる最高のパフォーマンスだった」、「ピッチ外の貢献度も高い。」、「チームはもちろん、日本サッカー全体の発展も視野に入れながらの言動は、これまでのキャプテン像をアップデートしたのではないか」、「Team Camなど将来の代表チーム・日本サッカー界についても影響力を持った」というピッチ上に止まらないそのキャプテンシーを評価する声多数。上記の1位票の多さ(全体で3番目)に現れているように、今大会の象徴として挙げる人が多かったかな。「夏に加入のシャルケでもレギュラー」とセリエAブンデスと国、クラブを変えてもしっかり試合に出ている点も評価。まぁシャルケは残留争い中だけど。ちなみに私も1位はこの選手。

第3位
遠藤 航(シュトゥットガルト):44pt
 「W杯においても世界トップレベルと唯一フルタイムで対等以上だった。この点において他の日本人と完全に一線を画し」、「W杯で日本が予選リーグを突破出来た立役者って誰だろうって考えたら一番に浮かんだ遠藤航が3位。「彼のデュエルが日本の闘志に火を付け」、「個人のデュエルで列強国と戦えた象徴」であり「皮肉なことに不在時にその存在感が際立った。
た。「W杯現地観戦した際、隣に座ったメキシコ人が『あの6番は誰だ?』とわざわざ聞いてきた」らしい。「脳震盪の後遺症が無いことを祈るばかり。」麻也の次はこの人が代表キャプテンになるのかな。最近はインタビューでの話しぶりも自信に満ちているし、ピッチ内外に目が届く点に於いても相応しい。

第2位
堂安 律(PSVフライブルク):86pt
 2位は堂安。「たぶん三笘が1位になると思うんだけど、やっぱりサッカーは点取ったやつが一番偉い」、「W杯本戦でビハインドから追いつくゴールを2度決めるというのは、今後20年は出てこないんじゃないか?それぐらいに重要なゴールでした。」「最多ゴール関与の彼を抜きに代表の躍進は無かった」し「浅野の奇跡も『三笘の1ミリ』も生まれていない」、「スペイン戦の同点弾はいい角度すぎて何度見ても鳥肌」というW杯の活躍と共に「ステップアップしたクラブで活躍」、「所属チームの躍進に貢献している」、「所属クラブでもPSV, フライブルクともにレギュラーを張っており」と今夏移籍したブンデスでもクラブの上位進出に貢献している。「勝負強さと自らを追い込むビッグマウスには今後さらに期待したい」コメントもあったが、この辺りは本田に似たものを感じる。24歳で迎えた最初のW杯で2ゴールというのも本田と同じ。「格上相手にあのシュートを打てるメンタルが素晴らしい」「本人のYouTubeだと意外な面が見れてギャップ萌え」という点も本田2世ぽさが笑

2022年日本最優秀選手
三笘 薫(ユニオンSG→ブライトン):134pt

 2022年の日本最優秀選手は三笘に決定。2020年に続いて2度目だが、投票制導入以降で複数回選出されたのはこの選手が初めて。ポイントも13年の俊輔に次いで歴代2位。
 実に40人中32人がこの人に票を入れたのだがコメントを引用。「何といってもW杯本大会でのインパクト。ゴールこそ挙げていないものの『三笘の1mm』の通り一番国民の印象に残ったのは彼ではないかと。」、「ドリブルで世界で通用する初めての日本人ではないか」、「警戒されてもそれを上回ってくれるワクワク感」、「もはや『こいつをどう封じるか』が日本の攻略ポイントとなってしまった存在」、「ボールを持ったら何かが起きる期待感」、「世界でもあれだけ仕掛けられる選手は稀。大学時代に試合を見て、この選手は伸びないなと言った自分を責めたい。」と攻撃面への言及が多かったが「スペイン戦で見せた守備の強度の向上」、「スペイン戦の1対1の守備もとても良かった」と守備面での向上を評価する声も。
やはりW杯での活躍が印象深いが、前編で書いたように「最終予選、負ければ絶望のオーストラリア戦で残り5~6分からの出場ながらW杯出場を決める決勝ゴール」という活躍で、日本をW杯に導いたのもこの選手なのだった。
また代表だけでなくクラブでもベルギー→イングランドと舞台を変えてもインパクトを残し続けている凄さ。つい昨晩もゴールを決めていた。「プレミアに難なく順応。監督交代を機に一気にスタメンを勝ち取り、もはや最近はクラブでも『戦術三笘』になりつつある」し、「ブライトンでしっかりと実績を残した上でビッグクラブに移籍して欲しい。
それにしてもW杯の影響力は凄まじくサッカー界の枠を越えて田中碧と共に「鷺沼の地名が世界的に広まった原因の一人」でもあったし、幼馴染の同選手とのBL妄想がSNS上で語られるなどある意味カオスな状況であった。ついでに言えば昨年末に親戚のいる九州に行ったのだが、広場を通りかかった際に子供達がサッカーしてるのが見えて、ドリブルしてる子に周りから「三笘!」と声が掛かっていた。それだけ周知されたということなのだろう。「日本サッカーに光を指すような存在」として2023年は更なる飛躍を期待。

全順位は以下の画像を参照。

以下雑感を箇条書きに。
・6位は3pt差で冨安だった。「日本人の大型DF育成の一つの成功事例」であり「サラーとガクポ、ジョルディ・アルバを完封する日本製のサイボーグ」。スペイン戦で後半途中に出場して、スペインの左サイドを封じたプレーは圧巻だった。ただ一昨年の五輪に続いてW杯でも欠場、途中出場が多かった様にプレミアの激しさでふくらはぎの怪我が常態化してしまってるのではという懸念もある。板倉と共に今後10年近く日本の最終ラインを統率するだけにコンディション良くプレーしてくれるのを願うばかり。

・W杯に完全に話題を持ってかれたがリーグ優勝したマリノスの最多得票者は岩田水沼(15pt)。MVP岩田は「どのポジションでも1級品。ケガも少なく、中2or3日の試合でもほぼ必ずスタメン出場!」という安定感で「彼がいるおかげで、途中交代の選択肢が多くなり、様々な試合展開に対応できることに繋がっていた」。先日セルティックへの移籍も決まったが、代表では遠藤、守田、田中碧に続く中盤での攻守の繋ぎ役としてチマと共に期待している。
 そして水沼は「長い紆余曲折を経て、ベストイレブンまで辿り着い」て32歳にして初代表。この選手はピッチ上での貢献だけでなく「ルヴァン・天皇杯と連敗した時にサポーターに向かって『誰も間違ってない、これからも一緒に闘って欲しい』と熱く投げ掛けた言葉で、崖っぷちをギリギリのところを乗り越えられた」。この歳にして再び全盛期を迎えた感がある。「顔がお父さんに似てきてる笑」という声もあった。

・恒例の選手、監督以外への投票
影山 優佳(日向坂46)
過去4年かな?投票し続けているが、遂に見つかってしまった。おそらく今年でグループ卒業をしてしまうので、今年のサッカーライト層を捕まえた存在として、お日様として感謝を込めて。」投票の5人以外の次点としても何人か名を挙げており「シンプルにかわいい。かわいいは正義」、「インスタフォローしました」というコメントが寄せられた。
21年投票で「DAZNの番組ではアイドル、アシスタントという立場上控え目なスタンスを崩してないが、そのリミットを外して語らせたら相当熱いと思う。」と書いたが22年ついにその潜在能力を見せた感。このブレイクで兄弟は某有名街クラブを経て現在関東の大学でサッカーしているとの情報まで入ったが、国内外のサッカーに限らずユース年代についても普通に当事者目線で語れるだろうな。
ABEMA TV
カタールW杯全試合無料配信、今年日本サッカー界最大の救世主!? 大好評ケイスケ・ホンダの迷解説もABEMA様あっての事!
 少し前から代表戦はタブレットからDAZNTVerで視ることが多くなり、もはやTVを付ける事は少なくなっていたのだが、その延長線上でここまで来たかと。GLは日本時間19時、22時、1時、4時開始だったが、この手軽さ故についつい土日は4試合通して視てしまい、大分睡眠リズムを狂わされた。幸せな時間だった。
そしてそのABEMAで解説者デビューした本田にも6人から10pt入った。「解説ハマっちゃいました!」、「...あの実況、マジでハマった笑 また聞きたい」、「年下でもさん付けは、かつてのヤ●ケンさんを思い出しました」とその独特の解説にハマる人多数。ピッチ上の動きについてしっかり語りつつ肩の力が抜けた感じの、戸田氏と松木氏のハイブリッド感が丁度良かったのかな。実況寺川アナとのコンビあってこそという気もしたが。選考5名とは別の次点、特別賞として挙げる人も多く「優勝したメッシを見て嫉妬出来る感性にただ驚くばかり」。

・今年引退する選手へは俊輔槙野に票が入り、特に俊輔には1位に入れた2人を含む7人が投票して全体でも7位。「特に今回のW杯を見てて、俊輔のような10番らしい10番(この捉え方がすでに古いのかも笑これからはエムパベやメッシが『10番』なんだろうな)は今後もう見れないなと思って、寂しくもあったり」、「また同じようなファンタジスタが出てきてほしい!!けど、時代が違うのかな...」と「最後の10番」への惜別の思いが詰まったコメントが多かったな。「彼の引退を聞いた時に、私達世代のサッカーが一つ終わりを告げた」。引退後はすぐに横浜FCコーチとなったが「近い将来FCで監督やるだろうから、どういうチームを作るか楽しみ。
俊輔ほどにセットプレーでワクワクさせてくれる日本人選手はもう出てこないでしょう」のコメント通り、俊輔、遠藤、本田がいない今、直接FKを決めてくれる期待感を持たせる選手は現代表にいない。U代表でも名を聞かないしな。久保、堂安辺りに頑張って欲しいところ。
 俊輔はJ2所属選手としても最多票だったが、次点は同じ横浜FC所属で桐光の後輩でもあり、「超高校級から久しいが、ようやく日の目を見た小川だった。「J1での暴れ具合で海外行きかなぁ~、もう片方の横浜のチームに移籍して欲しい」。ちなみにこの選手の地元は日産スタジアムから地下鉄で一本、10分程度で行ける横浜北部エリア。
 その他J2所属選手としては去年同様に佐藤凌我に対してヴェルディサポ某氏から熱いコメントを貰ったので再び全文掲載させて貰う。
理由→去年同様迷いなく1位。ルーキーイヤーと同じゴール数。途中コロナ離脱もあったり、途中移籍も騒がれた中でも結果は残してくれました。そして、皆んなが仕方ないよねと思える地元福岡への移籍。正直J1に連れて行って欲しかった。けど、彼にはそれ以上の物を求めてます。頑張れ!凌我!
 この選手に限らず毎年投票で教えて貰う選手も多く、次年度の観戦に大変役立っている。福岡でのプレー、見てみたい。

・この選手にも得票が。「本当はもう一人、W杯で活躍した選手の名前を書きたかったのですがどうしても彼を入れたかったので。」、「過去、取材対象として何人かのサッカー選手と話したことあるのだが、嘘偽りなく、1番真摯にこちらに向かってきてくれた存在」。
柏時代のこの人のチャントは対戦チームなのに思わず口ずさんでしまうようなリズムの良さがあり好きだった(話は逸れるが柏のチャントは全体的に昭和~平成初期のアニソンや歌謡曲、J-POP由来が多いので、日本人の耳に馴染むのだろうと思う)が、あまりにも早すぎる別れだった。
工藤壮人選手のご冥福をお祈りします。

・今回はやはりW杯メンバーに票が集まり、26人中17人が得票。得票が無かったのは出場機会の無かったGK陣や柴崎、町野といった選手がメインではあったが酒井に票が入らなかったのは意外だった。今大会は負傷で2試合の出場に留まったとは言えロシア大会の2018年でも主力で唯一0ptだったし、過小評価されがちな選手というイメージ。

・ポジション別に見るとGKからは権田が唯一票を得た。「ドイツ戦で披露した『魂の4連続セーブ』は日本に勇気をドイツに焦りを与えたと思う。」「特にドイツ戦でのセーブ連発は良かった。」とあのドイツ戦後半の連続セーブを評価する声。ブラジル大会に続いて2度目のW杯だけど、日本で一度W杯出場を逃して(ロシア大会)、再び出場したのはこの選手が初めてかも。

カズへの投票もお約束。統計取った訳では無いけど、投票制導入以来毎年票が入ってるのはこの人くらいではないだろうか。カズのプレーする所人が集まり「JFLカテゴリーはもはやカズ抜きに動員数勝負は出来ない」。実際去年6月に花園でFC大阪鈴鹿の試合を観に行ったが、1万越えの観衆。カズは出場しなかったが、試合前にメインスタンドの関係者席から身を乗り出し手を振って声援に応えていた。こういう仕草を自然に出来るのがこの人の凄いところだよなぁ。常に背筋もピンと伸ばしてるし「人に見られる」のがどういう事か完璧に理解してるんだろうな。「ランキングに入るのも今年が最後かなぁ...」という声もあったが今年(23年)も得票してると思う笑

・最後に前回に続いて選考者別投票一覧を掲載。上から回答が来た順に並べているが、今回は回答日も記載したので自分の回答を探す目安にして欲しい。

 今回はW杯メンバーに票が偏って得票する選手も去年よりも少ないかなと思いきや、去年(46人)を上回る48人の選手、監督、アイドル他が票を得た。この結果を見るだけで2022年の日本サッカーがどのようなものだったか分かるはず。今回も投票に協力頂いた皆さんには心より感謝を申し上げたい。2023年が皆さん、そして日本サッカーにとって良い年であることを願いつつ発表を終えたい。