J1第29節 横浜M×広島(日産)


 ここ数年のこのカードは、広島が多彩な攻めで得点を重ね、一方でマリノスも相手の緩い守備を突いて得点し、という感じでゴールの多い試合なのだが、今日は立ち上がりからどちらもどこか(これまでの試合に比べ)思い切りに欠けた展開だった。
 それは広島の攻めが単発だったのもあるし、マリノスがここ数試合の反省を元に、小椋が時に中澤&栗原の間に入る暫定3バックになったり、中盤の深い位置に何度も顔を出す等守備の意識が徹底されたが故。
 そんな展開のまま後半も進む中、後半30分過ぎにマリノスが先制。しかし後半40分過ぎには広島が同点に追い付き、試合は1−1で終了した。
 今日の広島を観ていて、今年行われたU17W杯の日本を思い出した。この大会の日本も最終ラインからボールを繋ぐチームだったが、特に1−1に終わったGLのフランス戦が思い出される。この試合日本は先制されながらも、慌ててボールを前に蹴り出す事無くボールを繋ぎ続け、最後はPKを取って同点に持ち込んだ―――どのような相手にどのような状況になってもチーム全体の意思が統一され、やるべき事が明確になっているチームの強み、と言えるだろうか。
 ただ、広島のゴールが決まった瞬間、マリノスの数人の選手がその場に倒れこんだのは宜しく無かった。後半40分過ぎとは言え、まだロスタイムを含め5分以上はあったのだ。ロスタイム内の本当のラストプレーで食らったならまだしも、あの段階でそういった態度に出るのは、自らの心の弱さを露呈するようなもので、案の定、それから試合終了までは突き放すどころか2失点目に警戒する時間帯になってしまった。
  
 まるで今日の天候の様な微妙な展開ではあったが、今日は最近分析官として名を馳せる某氏を始め、賑やかな観戦になったお陰で救われた。今度はもっと秋晴れのスカッとした中で観戦出来れば。