J1第34節 横浜M×鹿島(日産)


 何時の間にかリーグ戦も最終節。
 去年も同じ事を書いたと思うが、鹿島は一体どういう練習をしたらあのようなピッチ上全員の意思が統一されたサッカーが出来るのだろうと。マリノスは攻め込んでも(他の相手に比べて)あっさりボールを奪われるし、逆に攻め込まれたら(守備人数は揃っているのに)サイドをフリーで突破される。それは鹿島が守備のあるゾーンに入ったら一斉にプレスに行く動きを身に付けていて、ボールを奪った後、あるいはGKからのフィードの後の攻撃パターンも全員が体で覚えているが故。『チームとして』組織立った動きを身に付ければ、相手と同じ人数でも常に数的優位を作り出すことが出来る好例だな。前半の大迫の先制点などはまさにそんな感じだった。飯倉やDFが必死に撥ね返しても、撥ね返ったその先にいるのが常に鹿島の選手では・・失点もやむなし。
 面白かったのは後半開始時で、鹿島ボールのキックオフなのにセンターサークル内にいたのは本山と興梠で、2トップの片割れである大迫は何故か左サイドに張っていた。何故だろうと思いつつ笛が鳴ると、開始直後に中盤からのフィードが左サイド深くに走り込んだ大迫に渡り、ペナルティエリアすぐ外で前を向いてボールを持つシーンが出来ていた。大迫は左サイド基点に仕掛けるのを得意とするけど(U22でも同様)、選手の特長を踏まえてキックオフ時の布陣まで手を加えてくる緻密さに背筋が震えた。
 そういう展開でも後半10分頃から20分間位はマリノスが押し戻す内容。この時間帯は鹿島の最終ラインがボールを持ったら積極的に寄せに行ったのが効を奏したかなと。同点ゴールはセットプレーだったけど高い位置でボールを奪えるシーンが何度かあった。
 その後はまた鹿島が小笠原を投入して落ち着きを取り戻して試合を支配しつつもゴールは奪えず、そのまま1−1で終了した。鹿島は内容で圧倒しつつ2点目が取れなかったけど、この辺りは去年までのマルキーニョスみたいな頼れる点取り屋がいない影響はあるだろうな。それが今年の順位に反映されているとも言える。まぁでも今年もこのチームが魅せる機能美に脱帽って感じだわ。

 試合後はシーズン終了兼波戸引退セレモニー。波戸と言うと、トルシエ時代の代表に定着した01年が印象深い。確かフランスに0−5で大敗して守備を考慮するようになって選ばれた、はず。映像でフリューゲルス時代から代表やマリノスでの日々をスライドショー形式で流してたが、01年の代表ユニがとても懐かしかった。もう10年になるのか・・・。