世界的金融不安から読み解くサッカー界の近未来

 リーマンに続いてAIGも危ないという。AIGの文字を見てまずマン・Uのユニを思い浮かべてしまったのには我ながら失笑ものだが、この金融不安がもうしばらく続くとするならば、こうした証券/金融機関を大口スポンサーに持つクラブの資金力は減退し、それは競争力にも影響を与えずにはいられないだろう。仮に金融不安が世界的なリセッションを引き起こせば、自動車、電機といったメーカー(こうした業界はスポーツ界に多くの資金を投入している。)にも影響が及び、上記と同じくスポンサードするクラブへの資金投入量も減じる事になる。
 こうした企業の代わりにサッカー界で存在感を増すと思われるのは資源メジャー。何しろ年々その価値が高まる一方の天然資源を(半ば独占的に)握ってる上に企業規模がとんでもなくデカいから、支援クラブへの資金投入量も半端無い。経営規模が結果に比例する傾向が強まりつつあるこの世界で、こうした企業から支援を受けるクラブが台頭していくんでないかな。思いつくままに挙げてみるとガスプロムが胸スポンサーのシャルケであったり、ジブネフチ(元?)オーナーを戴くチェルシーであったり、果てはこういう大富豪がワンサカいるロシア・リーグであったり。この前マン・Cを買収したUAEの投資会社もその背景はどう考えたってオイル臭いからこれらに含めても良いかもしれない。もっとも、フロントや監督も一流なら、という前提が付くけども。
 実際の所、マン・Cがいきなり資金力No.1になったからって今季すぐプレミア制覇するとは全く思わない。こうした動きは3〜4年単位の中期的スパンで影響を与えて行くものだし、選手のレベルが一定以上あっても監督二流、フロント三流なら勝てないというのは日本の港町に本拠を置く某クラブを見たって分かる。ただ、米資本が握ってるマン・U、リバプールは相対的に苦しくなるかもしれないな。両クラブとも現時点においても財政的には結構厳しいらしいし。


 何かチェルシー優勝の可能性が一段と高まったようにも思うが、この観点から行くと、今や外国資本に支配されてない数少ない存在のアーセナルも実は結構面白いかもしれない。現時点では外国資本を撥ねつけてるけど胸スポンサーはエミレーツ航空(UAE)で、経営や育成もプレミア4強では一番堅実に映るので。ついこの前アーセナル限界説唱えたその口で言うかって話だが、あくまでその瞬間、そのタイミングで(+その時の直感で)評価は大きく変わる事を留意されたい(笑)