U-22

 昨晩行われたU-22アジア選手権の準々決勝をBSでLIVE中継していたので25:00開始ながら視てしまった。この大会は元々2013年にU-22、つまり1991年生まれ以降の選手を対象にして開催を予定していたものが14年にずれ込んだもの。となれば今はU-23となるのだがそこは変わらずと。今大会が第1回で今後は2年に一度開催され、次回2015年大会はリオ五輪の予選も兼ねる。結果は0-1で敗退。イラクは強かったな。この国の選手は欧州で言うならバルカン半島の国(旧ユーゴ勢)のようにサッカー選手としてテクニック、フィジカル、スピードといった要素のバランスが取れている。同じ中東勢でもサウジとかUAEはテクニック、イランはフィジカル、パワーに偏りがちなのだが、イラクはその両方の要素を兼ね備えているというか。政情が安定すればもっと強くなりそう。
 今大会の日本はリオ五輪を睨んで91〜92年生まれ世代を呼ばず、リオ五輪世代となる93年生まれ以降の選手のみで出場した。他国も日本の様にリオ五輪を意識している所もあれば規約通り91年生まれ以降のチームを送り込んでくる所もあってまちまちなのだが、ベスト4(イラク、韓国、ヨルダン、サウジアラビア)を見るとやはり91〜92年生まれを呼んだ国が勝ち残っているので、この年代での「2歳差」はやはり大きいということか。

 フルで視たのはこの試合だけで後はハイライトだけなのだが、過去の世代と比べると、強いて言えばアテネ世代に似ているように思った。CBは高さ、強さのある選手は揃っていて(闘莉王、茂庭)、攻撃陣もドリブルで2人ぐらい簡単に抜く事のできるタレント(山瀬、大久保、松井)はいるのだが、司令塔タイプ、攻撃に緩急を付けるタイプがいない印象。シドニーなら中村、北京なら本田、青山、ロンドンなら清武、扇原のようなポジションの上下の違いこそあれ展開力があって1本のパスで相手守備を崩せるようなタイプ。イラク戦はDFの前にアンカーを置いてカウンター狙いの布陣でたまたまそういうタイプを使わなかっただけかもしれないし、あるいは直前に怪我で離脱した大島(川崎)がその役割だったのかもしれないが。
 以下目に付いた選手を。
◆櫛引(GK/清水)
 この世代のGKでは唯一のJ1レギュラーなのでこのチームのレギュラー最有力候補、なのだが、清水で起用されるようになった経緯も、ずば抜けて能力が高いからというより、将来性込みで判断された面があると思っている。現にそれで清水から鳥栖へ移った林を現時点で上回っているかというとそうでもないし。どうも権田臭がするんだよな。まぁ経験を積めば安定感が出てくるだろうけど、同じ年齢の頃の川島、西川はもう少し完成度が高かったと記憶している。左右両足のキック力は素晴らしかったけど。

◆植田(CB/鹿島)
 鹿島で秋田→岩政の系譜を継ぐパワーとフィジカルを前面に出すCB。ただクラブでは昨季は殆ど出番無し。年上の選手にも当たり負けはしてないけど、その使い方、判断力は向上の余地有り、という感じ。そうそうこの選手は高校2年時の2011年にU-17W杯に出場しているのだが、当時は今より髪もフサフサして笑顔が爽やかなスポーツマンという風貌だったのに、高3になったら今の様な厳つい顔に激変していて驚いた。まるで蹴球道を究める為に何かを捨てて修羅の道を選んだかの如く(苦笑)

◆中島(FW/東京V
 この選手も2011年のU-17W杯に出場。しかし思うのはヴェルディというクラブはこの選手といい高木3兄弟といい、定期的に良い選手を生み出す。人口の多い首都圏とは言え近隣の多摩地区だけでもFC東京、横河武蔵野、町田といったクラブから桐蔭、桐光、麻布台淵野辺といった高校が犇めいて、横浜、川崎に目を向ければ川崎、横浜M、横浜FC、北を向くと浦和、大宮、23区東部だと柏の影響も強まってくる中でこういうタレントを育てるのはさすがだわ。まぁそれがトップチームの成績に結び付いてないんだけど。この選手もFC東京移籍とかそこを経由?してのスペイン・サパテル移籍とか言われているが、河野という前例があるだけにあまり良い予感がしない。

◆喜田(MF/横浜M)
 この選手もまた2011年U-17代表。マリノスでは殆ど出番が無いが、世代別代表では常連で、JFA的に期待を掛けている選手の1人なのだろうと思う。主に中盤下がり目だけど、SBも出来るし、そういうユーティリーティー性もかつての菊地、橋本、明神の様に指導者(協会)に好まれる一因なのかもしれない。ただこれ以上クラブで出番が無いとさすがに五輪代表の選考にも関わる。今季のマリノスは日程が過密で去年以上にチャンスはあるように見えつつ、ボランチはレギュラーの富澤、中町に控え小椋、三門、そして同じリオ五輪代表候補の熊谷がいるので、厳しい。この選手こそレンタルで経験を積むべきだったのではと思うが。

◆鈴木(FW/新潟)
 昨年の33節マリノス戦でロスタイムにダメ押しとなる2点目を挙げた選手。この選手も例によって2011年U-17代表。まぁ視ていて本当に粗削りという表現が当てはまる選手だなと。急造チームでコンビネーションが出来て無かった面はあるが、相手守備陣とのオフサイドラインの駆け引きとか味方とのパスの呼吸が合って無かったし、今は本当に身体能力でサッカーをしている。スピードや身体能力はずば抜けているのだが、細かいボールコントロールに難があって折角のチャンスを逃す場面が幾つか。この試合だけで判断するのは危険と承知しつつ、新潟でもリーグで年間10点取れるとは思えない。U-17代表ではサイド起点のプレーだったけど、今も点取り屋としてのプレーは求めず3トップの左右とかに置いた方がスピードが活きてチームにとってもより効果的のように思う。