J1後期第11節 川崎×福岡(等々力)


 夜は等々力へ。今日もまたフロンタ好きの友人と一緒に観たのだが、後半半ばまでの試合内容は同じく等々力で観た甲府戦とほぼ同じ。川崎が守備にシフトする相手を圧倒し、相手ゴール前で撥ね返されてもすぐこぼれを拾って2次、3次攻撃に繋げて相手を押し潰していくという展開。去年までなら引いた相手を攻めあぐねてボールを横に回させられる展開だったのが、今年はそういう相手でも縦(前)へのパスが通る様になっているのが違う。その中心にいるのが中村憲剛だが、この選手の今季の活躍はどこか13年の中村俊輔を思い起こさせる。
 ただ甲府戦と違って今日はラスト15分位は福岡の攻勢を受けて1失点し、終了間際にもウェリントンに際どいヘッドを打たれた。福岡がこれまでのPO昇格組と違うのはここだな。まさに「一矢報いる」とでも言うか、劣勢の試合でも何かしらの爪跡を残し、得失差のマイナスを簡単に広げない。さすがに今日の敗戦で残留は厳しくなったが、チームの基盤はしっかりしているので来季も井原さんが留任すればまた昇格の目はあるはず。丁度今季の山雅がそうであるように。

 選手では福岡の冨安に注目していた。アビスパのユース出身で高校3年ながら既にプロ契約しており、リオ五輪のトレーニングパートナーとして直前まで帯同、大会前のブラジル戦には途中出場ながらピッチに立っている。クラブでも7月頃から試合に出始めたなと思っていたらいつのまにかレギュラーになっていた。CBが本職の様だが今日は3バックの左でスタートして途中からはボランチに移るなど幅広いポジションに対応可能。何よりあの井原正巳の指導を日々受けているのだから期待してしまう。世代的にも前回の観戦記で述べた鈴木優磨とは対照的に東京五輪まで年代別代表で国際経験を積める機会があるが、次代を担う守備者の1人。

 しかし今季川崎の試合は5試合見ているが、どの試合もまぁよく点が入る。

△4−4湘南(等々力)
○4−2FC東京(味スタ)
○2−0横浜M(日産)
○4−0甲府(等々力)
○3−1福岡(等々力)

平均得点は3.4。失点を含めた1試合当たりのゴール数平均は4.8も。ちなみにマリノス戦はどうかと言うと今季観戦した全19試合で平均得点0.8、全ゴール数平均は1.7。データの母数も両チームの志向も違うが、ここまで数字に違いが出るとは。マリノスの場合、守備に力を割く分、いかに少ないチャンスをゴールに結び付けられるかという問いに対して突出した個人の力でそれを補ってきた訳だが、今季はその数少ないタレント(中村俊輔齋藤学)のコンディションが安定しない影響をモロに受けていると言えるだろうか。今節はアウェイで仙台に勝ったが、唯一のゴールも齋藤の突破から生まれたものだった。