アジアカップその他諸々雑感

決勝を始め大会全体の所感をば。
・決勝は相手の出方を掴み切れないまま2失点してしまったのが痛恨だった。1失点ならなんとかなったかもしれないが2点はキツい。アジアカップで2点リードされるのはあまり無いが、記憶を辿ると96年大会(これも同じUAE開催)の準々決勝クウェート戦以来だった。加茂監督のゾーンプレスがロングボール主体のクウェートに上手くかわされて、アル・フーワイディに2点食らった試合。当時アジアカップはBS1で全試合放送されていて結構な数の試合を見てた思い出。

・今回は特にボランチの負傷者続出が痛かったな。大会前からまず三竿が怪我で選べず、UAEに入ってから守田が離脱、大会が始まった後でもGLで青山が負傷離脱し、遠藤もイラン戦で負傷してしまった。決勝は柴崎&塩谷だったが、塩谷は守備力はあれど遠藤のように積極的にボールを狩りにいくという訳でもないので少しキツかった。もっと試合をこなしていれば連携も深まったかもしれないが、約3年振りの代表復帰でしかも事前合宿の途中で急遽呼ばれた選手にそれを求めるのは酷。

・今大会で輝いた新星という点では冨安は素晴らしかった。今大会の日本で全7試合に出たのはこの選手と原口だけ。CBというポジションでこの年齢でこれだけの経験はなかなか出来ない。確実に今夏は移籍市場に載ることになると思うが、上手くステップアップして欲しいと思う。同い年の堂安は期待値よりかは下だったかな。どんどん仕掛ける姿勢は素晴らしいが、周りを使う/使われる動きに乏しい。決勝でも逆サイドからのロングパスに反応できなかったり、大外を走る酒井を使えなかったりというシーンが目立った。既に色々な媒体で国際的に「日本の新星」という扱いを受けて代表でもクラブでもこれからマークが厳しくなって複数人で対応される場面も増えてくるであろう中で、周りを使う動きを身に付ければ面白いのだが。

カタールの育成が決勝の後から急に持ち上げられてるが、これは様々な条件が揃った産物という印象を受ける。まず育成というのは世界中どの国でもそれぞれ独自のプランでもって行われているもので、それは日本も例外では無いし、これが正解というものはない。フランスのそれは有名だし、ドイツも2000年以降の改革で14年W杯優勝という成果を出した。また欧州だけで無くコートジボワールはかつてASECミモザというアカデミーを通してトゥーレ兄弟やカルーを輩出したり、20年前の話になるが中国はユース選手を大量にブラジルに送り込んだりもしている(その中から唯一代表に上り詰めたのが日韓W杯に出た李鉄)。最近タイやベトナムのレベルが上がっているのも育成の成果か出ているからなのだろう。その中でカタールは比較的短期間で成果を出したと言えるが、その理由を考えると次の4つがあるのではと思う。

1.自国開催W杯に向けた投資の機運
2.圧倒的資金力による環境整備
3.指導をスペイン人に一任
4.帰化選手、移民選手の取り込み

これら4つが組み合わさったが故の成功なのかなと。特に3は育成を丸投げという点でかなりリスキーだが、今回はそれが功を奏した形。ただ逆に言えばこれが2022年の後も継続されるかは少し疑問だし、肝心の自国開催W杯でも、まだ3年以上ある中で言わば「ベールを脱いだ」形になった今のチームが、今後マークされるであろう中で勝ち続けるのは容易では無いようにも。またこれも3に関連するが、一つのプレースタイルに全フリするのは対策を立てられた時に脆いという事でもあって、それも含めてちょっと成功が早すぎたという気もする。

・これで去年9月からの活動は一旦区切りが付いてこれからはW杯予選に向けたチーム作りが始まると思うが、3月の代表戦は特にアジアカップに出た海外組は招集を見送るくらいで良いんじゃないかと思う。6月のコパアメリカは他大陸の大会なのでシーズン終了後の開催とは言え選手の拘束権限が無い(はず)なので選手の休養を求めるクラブとの交渉は難しくなるはず。6月に招集するために敢えて3月は招集しないというのも一つの交渉材料になるかなと。3月は基本アジアカップで呼ばなかった選手のテストという位置付けにしてしまえば。勿論試合に出てるのが前提だが、国内外思い付くまま名を挙げてみると

GK中村
DF植田、昌子
MF守田、三竿、中島、鎌田、中山、板倉
FW鈴木、久保

後はJの開幕後なんでそこでインパクトを残した選手(特にU22、U20世代)がいれば。集客が不安なら香川を呼ぶって手もある(笑)実際ベジクタシュで一定の活躍をすれば代表復帰も現実味を帯びる。3/22コロンビア戦の会場は日産なんで久々行きたい。