年間表彰2016(前編)

 今年もこの季節がやって参りました。いつものようにまずはMVP以外の各賞発表を。
 
■年間ベストマッチ
※過去の受賞試合

2005年:バーレーン戦(○1-0/2005.6.3/ドイツW杯予選@マナマ)
2006年:サウジアラビア戦(○3-1/2006.11.15/アジアカップ予選@札幌)
2007年:豪州戦(△1-1(4PK2)/2007.7.21/アジアカップハノイ
2008年:カタール戦(○3-0/2008.11.19/南アW杯予選@ドーハ)
2009年:ベルギー戦(○4-0/2009.5.31/キリンカップ@東京)
2010年:デンマーク戦(○3-1/2010.6.24/南アW杯@ルステンブルク
2011年:韓国戦(○3-0/2011.8.10/親善試合@札幌)
2012年:オマーン戦(○3-0/2012.6.3/ブラジルW杯予選@さいたま)
2013年:ベルギー戦(○3-2/2013.11.19/親善試合@ブリュッセル
2014年:豪州戦(○2-1/2014.11.18/親善試合@大阪)
2015年:パレスチナ戦(○4-0/2015.1.14/アジアカップニューキャッスル

1位:サウジアラビア戦(○2-1/2016.11.15/ロシアW杯最終予選@さいたま)
2位:豪州戦(△1-1/2016.10.11/ロシアW杯最終予選@メルボルン
3位:シリア戦(○5-0/2016.3.29/ロシアW杯2次予選@さいたま)
 今年A代表は10戦7勝1分2敗という成績。その中でベストはアジアの強豪相手に公式戦で結果を出した今年最終戦だな。結果だけでは無く原口、山口、清武がポジションを確固たるものにし、大迫が復帰して前でボールを収めるという期待通りのプレーを見せた点も大きい。2位はドローながらしっかり組織を崩さずアウェイで勝点を奪った豪州戦、3位は消化試合ながら公式戦で5−0完勝のシリア戦を。この1年の代表戦を振り返ると、やはりUAE戦以前と以後で大きく異なる。UAE戦まではゴールラッシュの反面守備は甘く簡単に失点する事も多かったが、あの敗戦を経て手堅くなった、よりハリルホジッチ好みのチームになったと言うか。

■年間ワーストマッチ
※過去の「受賞」試合

2008年:バーレーン戦(●0-1/2008.3.26/南アフリカW杯予選@マナマ)
2009年:バーレーン戦(●0-1/2009.1.28/アジアカップ予選@マナマ)
2010年:韓国戦(●0-2/2010.5.24/親善試合@さいたま)
2011年:北朝鮮戦(●0-1/2011.11.15/南アW杯予選@平壌
2012年:ウズベキスタン戦(●0-1/2012.2.29/ブラジルW杯予選@豊田)
2013年:ブルガリア戦(●0-2/2013.05.30/親善試合@豊田)
2014年:ブラジル戦(●0-4/2014.10.14/親善試合@シンガポール
2015年:北朝鮮戦(●1-2/2015.8.2/東アジアカップ武漢

1位:UAE戦(●1-2/2016.9.2/ロシアW杯最終予選@さいたま)
 まぁ今年はこの試合だな。失点がFKとPK、しかもFKはコースが甘く、PKも不運というより相手にエリア内で複数人で寄せてボール奪えず、そりゃそういう判定を取られるよなというプレーだっただけに。PK自体も決められたのは仕方ないとは言え、入れ込み過ぎてるのを見透かされるように大して速くも無いキックを中央付近に決められた西川のプレーも減点対象。PK時は集中してじっと構えて数々のセーブを見せた川口能活の存在が懐かしかった。
 UAE戦が断トツだが、敢えて次点をを選ぶとすれば○2−0とは言え決定機を外しまくり、友人達とスポーツバーで視てストレスの溜まったアウェイのタイ戦を。
 
■年間ベストゴール
※過去の受賞ゴール

2005年:中村(俊)(ブラジル戦(コンフェデ杯)同点ミドル)
2006年:玉田(ブラジル戦(ドイツW杯)先制点)
2007年:山瀬(カメルーン戦(親善試合)決勝ミドル)
2008年:玉田(カタール戦(南アW杯予選)ミドル)
2009年:中村(俊)(バーレーン戦(南アW杯予選)FK)
2010年:本田(デンマーク戦(南アW杯GL)FK)
2011年:李 (豪州戦(アジアカップ決勝)決勝ゴール)
2012年:本田(オマーン戦(ブラジルW杯予選)先制ゴール)
2013年:本田(オランダ戦(親善試合))
2014年:岡崎(豪州戦(親善試合)バックヒールゴール)
2015年:柴崎(UAE戦(アジアカップ準々決勝)同点ミドル)

1位:山口イラク戦決勝点)
2位:岡崎アフガニスタン戦先制点)
3位:原口イラク戦先制点)
4位:香川(シリア戦2点目)
5位:清武ボスニア戦先制点)
 この表彰の為に今年の全ゴールを振り返ったのだが、最終予選前までの今年前半のゴールは殆ど頭に残っていなかった。2位、4位がそうだが、この期間はアフガニスタン、シリアに5−0、ブルガリアに7−2とかゴールラッシュ続きで、ゴールも個人技や連携で綺麗に決まったパターン多し。岡崎のは中央でボールを受けた後に華麗なターンでフリーになって冷静に流し込み、香川はゴール前で上手くターンしてからのボレー。こういう中央を狙うプレーはいかにもこの時点までの(更に言うとザック時代からの)チームらしい。また香川のゴールは13年コンフェデのイタリア戦を彷彿とさせたが、シュートシーンに限らず鋭く180度ターンして相手のマークを外すプレー(の精度、頻度)はこの選手の状態を計る目安という気がする。5位はゴールよりも宇佐美のアシストでランク入り。腰の動きで重心移動して突き進むこの選手の良さが代表で一番出たんではないかと。
 1位と3位はいずれもイラク戦だが、UAE戦に敗れた後は攻撃の比重が中央からサイドに移行しつつあり、それは原口の台頭とリンクしている。イラク戦の先制点はお手本のようなカウンターからのサイド突破で最後はバックヒールで決めた形だが、タイ戦の先制点、サウジ戦の2点目もサイドからのクロスを最後は原口が決めたパターン。普段はサイドを攻守に上下動し、更に機会があれば中央に走り込んでゴールまで決めるんだから、この選手の貢献度がいかに高いか改めて実感した。
 そんな中でベストゴールはやっぱイラク戦終了間際のあのボレーだな。ゴールそのものの美しさ+試合の重要度の総合点でこのゴールを越えるゴールは無い。この試合でゴールを決めた2人は完全にチームの軸になって豪州戦、サウジ戦に繋がった。

■年間最優秀若手選手(U-20)
※対象は1996/1/1生まれ以降の選手
※過去の受賞者

2006年:本田(2位:西川)
2007年:安田(2位:香川、3位:内田)
2008年:金崎(2位:内田、3位:香川)
2009年:米本(2位:香川、3位:権田)
2010年:宇佐美(2位:酒井(高)、3位:小野)
2011年:久保(2位:指宿、3位:扇原)
2012年:柴崎(2位:石毛、3位:小野)
2013年:南野(2位:久保、3位:大島)
2014年:植田(2位:岩波、3位:室屋)
2015年:南野(2位:関根、3位:中村)

1位:井手口(G大阪)
2位:鈴木(鹿島)
3位:中山(柏)
 今年は豊作だった。他に鎌田(鳥栖)や三好(川崎)、そして中山と柏でCBコンビを組んだ中谷、高校3年でレギュラーを掴んだ冨安(福岡)などがいて非常に迷ったが、ガンバでレギュラーを取って五輪にも出場した井手口がトップかなと。まぁこの表彰はナビスコルヴァンニューヒーロー賞との相関性が高いのだが(影響されてるとも言える)笑、10月のマリノス×ガンバ戦でゴラッソなミドルを2発(1点目2点目)も観たインパクトも多分にある。2位はJ1でU20世代最多の8ゴールを決め、CSやクラブW杯でも存在感を示した鈴木優磨を。クラブW杯で大分名が売れたけど、この選手も8月のマリノス戦@日産の印象が強い。縦パスに斜めに走り込んで最後はGKの位置を見計らって丁寧に流し込んだゴールだったが、かつての鈴木隆行のような気迫を前面に出したプレーだけではなく、冷静さや相手の裏を掻く強かさやも備えているのかと。3位は鎌田と最後まで迷ったが、10代でJ1のCBレギュラーになった点を評価して中山を。U19アジアユースでも無失点優勝に貢献。中山、三好、冨安は97〜8年生まれなので、その他堂安(G大阪)、小川(磐田)らと共に来年のU20W杯で活躍してこの賞にランクインして欲しい。

■最優秀監督
※過去の受賞者

2009年:手倉森(2位:城福、3位:小林)
2010年:岡田(2位:小林、3位:関塚)
2011年:佐々木(2位:手倉森、3位:吉武)
2012年:森保(2位:手倉森、3位:吉武)
2013年:森保(2位:吉武、3位:小林、4位:高木、5位:風間)
2014年:長谷川(2位:城福、3位:反町、4位:石崎、5位:柱谷)
2015年:森保(2位:佐々木、3位:井原、4位:長谷川、5位:石井)

1位:石井(鹿島)
2位:渋谷(大宮)
3位:風間(川崎)
4位:小林(清水)
5位:森山(U16代表)
 過去4年連続で順当にJ優勝監督から選ぶ形になっている。そんな中で石井氏は年間王者とは言え例の金崎握手拒否&休養の件が引っ掛かっていたのだが、クラブW杯であれ程の試合を見せられては脱帽するほか無い。2位はサッカーは魅力的ながらここぞと言う時に勝てない勝負弱さが目立った風間氏よりも、あまり目立たないがバランスの取れたサッカーでクラブ史上最高位のリーグ年間5位、天皇杯もベスト4進出している大宮の渋谷氏を。ルヴァン杯でもGL敗退の川崎に対してベスト8に進出(準々決勝でマリノスアウェイゴール差で敗退)。4位はラスト9連勝で自動昇格を勝ち取った清水の小林氏で、5位は年代別代表監督にも目を広げたが、U23手倉盛氏は1月の予選で優勝はしたものの、本大会では予選で当たった選手起用やOA選定が裏目に出た(特に櫛●、■春)印象が強く、U19内山氏もアジア制覇とは言え内容は特別良かった印象は無く組み分けに恵まれた感もあった。その中でアジアベスト4ながらここ数年の日本に無い球際やメンタルの強さを押し出したU16の森山氏を。

 明日はMVP発表をば。