出場・招集記録から当時を回顧する(西野時代)

 前回で最後と書いたが、よく考えたら前任は西野氏であってここまで書くべきだった。Aマッチ7試合で招集も27名のみなので、今回は切り口を変えて非公表となった予備登録35人の内、未招集8名は誰だったのか推測してみたい。

・期間:2018年4月~2018年6月
・勝敗:7試合2勝1分4敗(Aマッチ)
・招集:27名

まずロシアW杯本大会メンバー23名は下記の通り。

GK川島、東口、中村
DF吉田、昌子、槙野、植田、長友、酒井宏、酒井高、
MF柴崎、長谷部、山口、遠藤航、大島、香川、原口、乾、本田、宇佐美
FW大迫、岡崎、武藤

そして西野氏の緒戦にして本大会メンバー発表前最後の5/30ガーナ戦に招集されたのはこの23名に加えて以下の4名。この試合の後で本大会メンバーが発表されるが、井手口、浅野はそのまま欧州まで帯同した。背番号からも分かるように、リオ世代の3人はガーナ戦の時点で24番目以降という位置付けで本大会メンバー入りは厳しかったのではないかと思う。因みに24番は植田で本大会では2(ガーナ戦では遠藤が2でその後本大会では6を付けた。ガーナ戦の6番は恐らく負傷離脱した青山か)を付けたが、守備陣で唯一本大会での出場機会が無かったことからも恐らく23番目のメンバー入りだったんだろうなと。

MF6?青山、26三竿、27井手口
FW25浅野
※青山は負傷離脱

 そして非公表の8名だが、まず手掛かりとして5/16付の日刊スポーツ記事で、予備登録35名中海外組が19名という報道があった。*1
これによると上記以外では他に久保裕也中島翔哉がいて、実際久保はガーナ戦ではクラブとの日程調整が付かず招集が見送られたとの報道もあったし、予選での活躍を考えれば35人枠には入っていただろう。
 残り6名は国内組ということになるが、まずは監督コメントという明確なエビデンスのあるものから見ていくと、ガーナ戦発表会見にて負傷により外さざるを得なかったメンバーが明かされている。今野泰幸小林悠の2名*2。特に小林は発表当日の朝に負傷の連絡が来たとのことで、ガーナ戦は28名招集になっていた可能性もあった。
またナンバーの記事によると森重真人も入っていたらしい*3。直近では代表を外れることが多かったが、ブラジル大会メンバーで、長く代表でもレギュラーCBだっただけにその経験が買われたのだろう。これで32名は一応エビデンス付で判明したが、ここから先は招集状況等から推測していくしかない。
 監督が代わってしまったので選考の連続性があるのか不透明な部分もあるが、予選終了後からハリル最後の試合となったウクライナ戦まで、国内組で臨んだEAFF選手権を除いて6試合戦った訳だが、上記32名以外で招集されていたのは下記10名。

GK西川周作
DF車屋紳太郎三浦弦太宇賀神友弥
MF森岡亮太倉田秋小林祐希、長澤和輝
FW杉本健勇興梠慎三

 この内、小林、森岡は海外組なので先の日刊スポーツ記事から判断すれば登録外。残る8名から3名となるが、まず考えられるのはGK西川かな。恐らく35名枠ではGKは4名と思うので、ハリル時代の2015~16年頃は正GKも務めたこの選手が入っていただろうなと。
 次に考えられるのはSB車屋。全6試合に招集されており、通常各ポジション2名選ぶことを考えれば長友、W酒井に続く4人目のSB候補となっていたと考える。結局本大会はSB3人体制となったが、3人とも両サイド対応可能で槙野、植田をサイドに回すことも出来るので、その分中盤など他のポジションを厚くしたいという意向があったかもしれない。
 残り1名は攻撃陣からということで倉田か杉本のどちらかだったと思う。倉田は18年3月は未招集ながら17年10月のNZ、ハイチ戦で連続ゴール、杉本は全6試合に招集され5試合で1ゴール。倉田に関してはハリル時代の中盤3枚で活きるタイプなのでWボランチに2列目3人の西野氏が選んでいたかどうかは微妙なところで、当時は大迫に続くCFとして期待されていた杉本だったかなと。

 以上まとめるとロシア大会の予備登録の内、本大会に選ばれなかった12名(青字は私の推測)はこのようになる。

GK西川
DF今野、森重、車屋
MF三竿、井手口、青山、中島
FW浅野、小林、久保、杉本

改めて顔触れ見ても経験重視の選考だった。23名中8名が30代なのは過去の日本のW杯で最多。前回も書いたが本大会にエントリーされたリオ世代は出場機会が無かったし、活躍したメンバーを思い返すと酒井宏樹、柴崎、原口、大迫らロンドン世代、それも本大会メンバーから落選した選手が多かった。こういう「五輪の2年後のW杯では不完全燃焼、6年後のW杯で花開く」というパターンはアテネ世代(ドイツW杯では選考2名のみ→南アW杯で闘莉王、駒野、今野、阿部、松井、大久保らが活躍)に似ているし、リオ世代も今(2021年時点)遠藤航、南野、鎌田、伊東らが代表常連になっているのを見ると、カタールで活躍する予感もある。まぁ30代が8人いて、しかも明確に代表引退したのは長谷部1人という中で引き継いだことを考えれば、森保氏は吉田、長友、川島ら大ベテランの経験を活かしつつ、中堅のリオ世代を中核に据え、東京世代も積極的にA代表で試すという難しいミッションによく対応していると思う。ロシア大会のメンバーを振り返ってそんな感想を持った。