J1昇格PO決勝 東京V×清水(国立)

  • 昇格PO決勝

 先週日曜に続き今日は決勝。ヴェルディサポの友人が先行でチケを取ってくれた。自由席とは言えバクスタアウェイ寄りに行けば好きな所に座れるだろうくらいに思っていたのだが、代金の精算もあるので先行入場直後、11:15頃と早目に現地着。こんなに早く行ったのはかなり久々だな。コロナ禍以降指定席が定着したのもあるが、以前の様に開門前に並ぶ必要が無くなって最近は30分前、早くても1時間前に行くのが当たり前になっているので。
 チケ取りの礼と共に精算を済ませてしばし談笑し、その後はスタジアムの周りに出ていたキッチンカーで昼食を済ませた後、11:50頃に入場したのだが、バクスタ2階はアウェイ寄りでも通路に面した端席はほぼ埋まっていた。内側の席もアウェイゴール裏付近まで行かないとなかなか空いておらず、これで予想よりかなり人が多いのを察した。ひとまず席を確保し、開始までまだ2時間あったので再入出場口より外に出る。

 スタジアム周辺を少しブラブラと歩いた後で隣接する日本オリンピックミュージアムへ寄った。ここは4年前、19年11月に行った事があるのだが、その後のコロナ禍や開催の一年延期を経た今は遠い昔の様に感じる。別の時代とでも言うか。

クーベルタン男爵像とオリンピックミュージアム

 展示は主に館内2階に集中しているが、その中に1940年に東京で開催されるはずだった五輪のメインスタジアムの模型が展示されていた。

幻の1940東京五輪メインスタジアム

計画によると今の駒沢公園に10万収容規模で建設予定だったらしい。戦争でこの計画は流れ、今はこれよりかなり規模が縮小された陸上競技場を始め各種グラウンドを備えた住宅街の中の公園という風情だが、これほど巨大なスタジアムが出来た世界線を想像するのもまた面白い。

  • 試合

 13時過ぎにスタジアムに戻ると周囲の席もほぼ埋まっていた。選手紹介を経て選手入場。

試合開始前-ホーム側
試合開始前-アウェイ側

 序盤からやや清水が押し気味で、乾、チアゴサンタナカルリーニョス・ジュニオといった個で打開出来る選手が局面で技術を見せる場面が幾つか。ただ相手ゴール近くまでは攻め込むもののヴェルディGKマテウスを脅かすほどのビッグチャンスは無かった。ヴェルディはカウンターで相手ゴール前に近付くシーンがあったが、ここも決定機は生まれず0-0で前半終了。昇格決定戦というある意味カップファイナルよりシビアな状況で非常に堅い展開。

 後半も同じ展開で、このまま行けばリーグ上位のヴェルディが昇格という状況だったが、先週の味スタとの違いは0-0のままだったという事。これを意識したのは後半半ばにエリア内のハンドで清水にPKが与えられてからだった。これを決めて清水が先制し、アウェイゴール裏のサポの声も一段と大きくなって得点直後は清水の攻勢も強まったものの、決定機には至らず、徐々に清水は1点を守りに行く意識が強くなって?、ヴェルディがボールを繋いで押し込む時間帯になった。ただ清水は引いて守ってヴェルディに決定機は作らせず。ここまでこの試合を観てきて、攻撃はパンチ力不足なヴェルディ、緻密さは無いが個の力で強引に攻めて守る清水といった印象を受けたが、清水がリードした今はヴェルディにとって一番避けたかった状況だろうなと。前に出ても個の力で守り切られてしまうので。実際ヴェルディがボールを保持するものの、決定機と呼べるものは一度あったかどうか(それも遠くからロングパスを放り込んだ結果として)。
 ATは8分あったが、清水としてはこのまま守り切ればOKな状況ではあった。だがAT4~5分頃に中央からやや右サイド寄りでボールを受けた染野がドリブル、それでも清水の選手が対応している状況では厳しいかと思っていたら清水DFのタックルがボールでは無く足に入り、しかもそれがエリアのギリギリ内側ということでヴェルディにPK。染野はスタメンだったがここまでインパクトは残せず、後半には相手の途中出場の吉田豊に上手く抑えられてちょっと厳しいかなと思っていた中でのこのプレー。しかもPKキッカーとしてそのまま決めて1-1同点。この選手は高体連から鹿島ということで大迫に似たものを感じるのだが、ここまでの実績はそれに及ばない。しかしこの超重要なPKキッカーに名乗りを上げて実際決め切ったのにはちょっと期待してしまう。伸びる若手は出場機会得ているのは前提として、こうした責任を背負えるかどうかだと思っているので。ゴール後はアウェイゴール裏に向かってベリンガムみたいに両手広げるパフォーマンスしてたが、あれをやる度胸も含めて大成するに必要な要素。(そう言えば今年のJ1開幕戦でも柏の細谷がATに同点に追い付くPKを決め、ゴール真裏にてブーイングしていた相手サポに向かって耳に手を当てるパフォーマンスしていたのを思い出した。)
 その後数分を経てそのまま試合は終わり、ヴェルディが昇格決定。

  • 試合後雑感

 結果が物語るように両チームにこの試合90分で勝ち越す力は無かったと思うが、最後に明暗を分けたのはリーグ戦上位チームが勝ち抜くというレギュレーションだった。個々の能力では清水に分があった中で組織力とリーグ上位のアドバンテージを活かして勝ち抜いたという意味で、ヴェルディは2015年に昇格を決めた福岡に似たものを感じる。あの時も(PO決勝会場は奇しくも相手の本拠地長居だったが)タレントが揃う相手に先制された後で追い付き、1-1で凌いで昇格。試合後のインタビューで城福監督は「ここからがスタート」、「(このクラブはJ1で)優勝目指せるクラブにならないといけない」とスピーチしていたが、今の状況は先ほど述べた15年当時の福岡に相当するのではないかと思う。福岡は翌年降格となった。ここまで終盤戦粘り強く勝ち切ってきたが、J1残留には頼れるストライカーが1人欲しいところ。
 清水については試合中通して「個の力任せのサッカー」という印象が消えず。ポジションが前でも後ろでも、個々のレベルの高さや奮闘は感じてもチームとしての完成度は感じられず、また個人の調子にも波があるという意味で。最後の最後に与えたPKも、それまでは上手く染野を抑えていたのにあの場面だけ不用意なタックルを出してしまった。個の力で42試合のリーグ戦(+プレーオフ)を戦えるのか壮大な実験を行った感すらある。今季の編成見ても1年での昇格前提なのかなと思うし、来季はより厳しくなるのではと思う。ただ今季J2に落ちてくるのは2023年J1最下位のみ。まぁ先ほど述べた編成の問題に加えて他の既存J2クラブの中から勝ち抜く方が大変かもしれないが。

 ルヴァン杯決勝の後は渋谷まで歩いたが、今日は試合前にかなり歩き回ったのもあって楽して外苑前から地下鉄乗車し帰宅。