高校選手権 3回戦(等々力)

 1/2に選手権を観に行くのも恒例行事化している。カードを見ると駒場は2試合でプレミア所属チームが3チーム出るが、さすがに実家から距離があるので近場の等々力で。ここもインターハイ王者明秀日立とプレミアウエスト所属の神村学園が出るなかなかの好カード揃い。武蔵小杉経由で向かったが、フロンターレの試合時と違ってシャトルバスは無いので路線バスで。この路線は東急バス、川崎市営バス共に本数は多いので、混み合うものの待てば乗れる。12時前に到着。今日は普段あまり行かないメインスタンドホーム側に席を確保。

- 第1試合:明秀日立×近江

第1試合両校応援席

 序盤から明秀日立が押し気味に進めて、近江はテクニックをベースにカウンターを仕掛けるもののちょっと前線の迫力不足かなという展開。先ほど述べたように明秀日立は夏のインターハイ王者だが、この大会は強豪校だけでなく、たまに意外な高校が優勝する印象がある。2012年の三浦学苑とか。メンバーを見ると学校のある茨城県北部出身の子をベースに神奈川、東海、四国等のクラブユース出身の構成。高校サッカーを見ているとこういった3種(中学年代)のクラブ名も頭に入って来る笑。そんな中で前半半ばにエリア外中央からのミドルで先制点を上げた選手は横浜の子だった。前半は1-0で明秀日立リード。

 後半は近江も反撃して相手ゴールに近付くシーンも増えて行ったが、そんな中で開始早々にエリア内のハンド?でPKを得てこれ決めて同点。近江のメンバーを見ると、ここも明秀と同様に地元、もしくは隣県でも近場の出身者をベースに関西、東海、広島のチーム出身者を加えた構成。越境して入学する子達にしてみれば15歳でチームを選んで親元離れるので生半可な決断は出来ず、高校(あるいはクラブユース)にとっても強くなるには3種の子供に選ばれる存在になる必要があり、そういった需要、供給が複雑に絡み合った結果が全国のU18チームの構成に結び付いてるのだろう。(単にスカウトするだけでなく自前のU15チームを持つチームもあるが、それもこうした“いかに良い選手に来て貰うか”という活動の反映であろう)。
 同点後もチャンス自体は明秀日立に多かったと思うが勝ち越せず、PK戦へ。PK戦では近江のGKが2本止めて4-2で近江が勝ち抜け。去年の大会でも感じたが、今年はPKで自分の間合いで蹴ったり、キック自体も細かくステップを踏んだり助走で変化を付けたり独自のフォームを見せる選手が増えた印象。それに伴い蹴るまでの時間も長くなっている。恐らく全国のチームがこうしてPKについて細かく突き詰めた練習してるんだろうな。それが結果として日本サッカー全体の変化や底上げに繋がるんだろうと思う。

- 第2試合:神村学園vs神戸弘陵
 続いて第2試合。神村学園去年の3回戦でも同じ等々力で観ていて、この時は日大藤沢PK戦で破っている。今季もプレミアウエスト所属でU17W杯メンバー2人擁する強豪、神戸弘陵はプリンス関西2部所属だが今季優勝して来季の1部昇格を決めている。神戸弘陵は年末の試合で流れる様なパス回しからのチャンスメイク動画SNSで見たが、試合が始まるとその通りのサッカーで神村を押し込む。個々の技術は勿論、緩急の付け方が上手い。大きなサイドチェンジが多いのも特徴的だったが、サイドチェンジを意識しているというよりも、攻撃のスイッチを入れる10番の選手が左サイドに張っている事が多く、皆この選手を常に見ているので例え右サイドからでもパスを通そうとした結果に過ぎないのではないかと思う。何度もチャンスを作って神村ゴールを脅かしたがゴールは無く前半0-0。
 
 第1試合の途中から小雨が降り始め、この第2試合途中になると一気に冷え込んできた。ハーフタイムにトイレに行っていると突然歓声が聞こえたのだが、後半開始早々に神村学園が先制したようで見逃した苦笑。スタンドに戻ると丁度神戸弘陵の反撃のシーンでシュートを神村DFが掻き出した場面。そしてすぐ後のCKで神戸弘陵は同点に追い付いた。ゴールシーンを見ると、CKの場面で自陣ゴール前中央という場所でジャンプもしてない相手に頭で合わせられてしまう守備に問題があったようにも思うが。
 後半はやや神村学園が押し戻す展開。U17代表の名和田は主に左サイドでプレーしていたが前半はボールを触る回数も少なく、持ってもあまり足に付かずという出来だったが、後半は徐々に持ち味発揮。見ていて神村学園はこの名和田以外にも小柄で俊敏なアタッカーが多かった。名和田も突然変異的に現れたというより、元々こうした選手を育てる土壌があった上で出てきた選手なんだろうなと。もう1人のU17代表吉永は最近主流のCB型SBというより左足のキック力と上下動する動きが持ち味のサイドバックで、例えるならリバプールのロバートソンみたいなタイプ。何度か前に上がってシュートを打つ場面もあった。卒業後はベルギーに渡るが、去年の福田師王(現ボルシアMG)の影響もあったんだろうな。

名和田(白ユニ左手前)と吉永(右手前)

 そして残り10分となった辺りで神村学園が勝ち越し。CKのこぼれを名和田がシュート、これは弾かれるも押し込んだ。その後は神戸弘陵が追い付くべく神村学園を押し込み、チャンスも何度かあったのだが決め切れず、2-1で神村学園の勝利。

後半になると雨が上がり晴れてきた。

 2試合とも好試合だった。今日の観衆は第2試合で7410人。毎年行く度に思う事だが、この大会は年齢層が幅広く、親子連れや中高生同士という客が非常に多い。ユースやプレミアでもこれくらいの観客いれば良いと思うしこの大会も過密日程など色々課題はあると思うが、正月のこの時期にこれだけの人に観られるU18大会という側面は評価すべきかなと。そんな事を思いつつあまりに寒かったので武蔵小杉でラーメン食ってから帰宅。