J1第1節 川崎×横浜M(等々力)

  • 開幕戦

 いよいよ今季のリーグ戦が始まった。開幕戦は金曜開催の等々力で去年の1位と2位という対戦。思えば1年前も同じ金曜の等々力で川崎vsFC東京というカードだったが、注目集めたい意図は分かるものの、ちょっと勿体無さを感じる。
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 開幕戦はプレシーズンで準備してきたものを披露し合う場でもあって、それはそれでお互い勝点0のフラットな状況でどう戦うかという意味で興味深いが、質の高い試合が保証されたこういったカードは、ある程度シーズンが進んだ後で対戦した方が面白い。その時点での勝点に違いがあっても、直接対決の結果がリーグの趨勢の転換点になることもある訳で。

 と言っても始まらないので試合に話を戻すが、今回はまずチケ取りがかなり難関だった。ファンクラブ先行でアウェイG裏以外は完売しており、そのアウェイ席も一般発売開始後即完売。その後Jチケを頻繁にチェックして運良くリセールチケに出くわしてどうにか購入出来た。2階のゴール裏とバクスタの中間辺りの席で、出来ればいつもの様にメインスタンド2階アウェイ側が良かったが、リセールが出ても速攻で売り切れる様な状況ではそんな贅沢は言ってられない。
 今日は夕方まで予定が入っていたので(しかも時間は押し気味)間に合うかどうかといった状況だったが、18時前にはオフィスを出て武蔵小杉駅到着後は路線バスで現地へ。19時前に等々力着。

等々力到着

店で食料を調達している間にスタメン紹介は終わってしまったが、選手入場前には着席出来た。

今日の座席位置

 今のメインスタンドが出来る前はバクスタで観る試合も多かったが、この位置は初めてかもしれない。アウェイG裏がよく見える位置。

  • 試合

 ここ数年のJを牽引する両チームだが、改めてスタメンを見るとまさに合わせ鏡のような関係だなと。高さとビルドアップ力を備えたCB陣、攻撃力に優れたSB(永戸/山根)、ボール奪取力とキープ力を備えた中盤(渡辺/橘田)、2列目からゴール前に飛び込むアタッカー(西村/遠野)、サイドに張ったウイングを置く3人の前線、等々。それでいてサッカー自体はポジション毎の動きを決めた上で特に前線はある程度自由に動くマリノスと、チームとしての動きはありつつも選手個人の技術や判断力を磨いてパスを通していく川崎という違いがある。今国内で最高の試合を観たければこのカードをおいて他に無い。マリノスは先週のスーパー杯から右SBを上島から松原に変えたのみ。やはりあの試合で右サイドを何度も突かれたのを考慮して経験豊富な選手で手当ということなのだろう。

 試合が始まるとマリノスが高い位置からプレスを掛けて川崎のビルドアップを封じにかかり、開始4分にそれがハマってGKまで下げさせたボールを鄭成龍がキックミス、川崎ゴール前中央で拾った西村が冷静に浮き球でゴールに流し込んでマリノスが先制した。これで川崎のスイッチが入ったのか以降はマリノスは押される時間が長くなり、前半20分~30分の間には遠野が抜け出してオビと1対1(これはオビがセーブ)、宮代がゴール前中央付近で打ったミドルがゴール左上隅直撃といったチャンスを作り出す。中盤の脇坂、橘田辺りは寄せてもトラップ一つでそれをかわせるだけの技術と判断力があるので、他のチームなら確実にボールを狩れる場面で外されて逆にピンチを招いてしまう。ただ結果的にはこの2つの決定機が失点に繋がらなかったのと、その後CKを得て川崎ゴール前にこぼれてたボールを最後はエウベルが押し込んで2-0としたのは非常に大きかった。ちなみにエウベルは川崎のGゾーンに向かって膝スラガッツポーズした為ブーイングを浴びていたが、まぁ挑発的行為と捉えられかねない仕草ではあった。隣の水沼がスタンドに向かって手を合わせて謝る身振りをしていたので、選手も分かっていたのだろう。

 後半も川崎が押す時間が長かったが、ボールはキープするもののやはりL・ダミアン、小林悠がいないのは大きく、恐いのはマルシーニョの突破くらい。今日は中央に宮代が入ったが、ポストプレーヤーではないのでマリノスとしては前線で起点を作らせず上手く潰せていたと思う。押されてはいたがむしろカウンターで3-0の可能性も大きいとは思った。相手が攻め疲れた(特にサイドの)裏を突いてクロス→中央で押し込むなんてマリノスの得意とするところなので。と思っていると中央の縦パス一本で抜け出したマルコスが倒され、反対側ゴールだったのでよく分からなかったがPKの判定、と思ったらVARでジェジエウのDOGSOと判定され一発レッド、そしてPKからゴールラインギリギリのFKに変更。これは決められなかったが既にATだったのでこのまま終わるかと思いきや、川崎の左クロスから中央で橘田が合わせて2-1。去年の等々力の試合も頭にチラ付き、これは何があるか分からないなと思ったが、最後は上手く凌いでそのまま終了した。

 マリノスとしては2019年以来の等々力での勝利だったが、ちょっと予想以上に押されたなと言うのが正直な感想。去年の主力は健在だしこのメンバーならこの内容、結果が出るだろうという信頼感、安定感もあるが、観ていて去年の開幕戦を思い出した。去年は内容的にはFC東京が押し気味だったが川崎が少ないチャンスをものにして1-0勝利。川崎の勝負強さが目立ったが、チャンスを相手より作り出して勝つのではなく経験をベースにした勝負強さや守備で勝つようになると良く言えばチームが成熟、言い換えればピークは越えたとでも言うか。それを今日のマリノスに感じてしまった。リーグ戦ではACL圏内は行けると思うが、ルヴァンや天皇杯でターンオーバーした時はちょっと分からないなと。

 とは別にこのカードのレベルの高さからして、ここで活躍出来る選手はそのまま少なくとも代表候補のリストに入るだろうなとは思った。マリノスならまず渡辺。去年の夏頃まではチマが活躍してそのまま代表まで入ったが、その後リーグ終盤にレギュラーを掴んだのはこの選手。今まで上手いけどプレーが単発、淡泊な印象あったが、今はマリノスにおけるギュンドアンとでも言うべき中盤のどこでも顔を出す継続性のある選手になった。代表は19年コパアメリカに選ばれたもののCap数はゼロなのだが、代表デビューの日は近いかもしれない。強いて言うなら得点力もあれば尚宜し。川崎だとやはり橘田、脇坂の安定した技術が印象深い。逆にマリノス井上、川崎の瀬川、山田といった新加入、新人選手にとっては恐らくそれまで経験してきた試合より1ランク、2ランク上の試合で仕方ないとは言え、試合のペース、リズムに付いて行けなかった印象。

 冒頭で書いた通り出来ればもう少し試合を消化した後でこの対戦を観たかったが、ともあれリーグは開幕。3年振りに開幕から制限無しのスタジアムで観戦出来たことをまずは喜びたい。