日本クラブユースサッカー選手権(U-18)決勝 横浜Mユース×大宮ユース(三ツ沢)


 マリノスが決勝に進出したし、土曜の昼だし行ってみるかと言う事で三ツ沢へ。この大会を観るのは丁度8年前の決勝以来。この試合ではまだ中3ながら宇佐美がガンバユースのスタメンで、点まで決めていたのは今でも覚えている。他には磐田ユースに山本(現新潟)がいた。
 15時開始と言う事で13時頃に家を出た瞬間から猛烈な暑さが体を襲い、これは選手だけでなく観る側も消耗戦だなと思いつつ覚悟を決めて三ツ沢の丘を上ったのだが、メインスタンド上部に座ると思いの外風が吹いていてそれほど暑さは感じなかった。丘の上の更に高い場所故、だろうか。

 決勝進出した両チームについては殆ど選手を知らず、唯一知っているのはトップチームの試合でベンチ入りもしているマリノスの和田のみ。今大会は負傷の影響により準決勝でようやく初出場(交代出場)という状況だったらしい。入場ゲートで配られたエルゴラ特別号にある選手情報を見つつ試合が始まった。
 試合は開始から大宮ユースがボールを丁寧に繋いで攻め込む展開。エルゴラによるとバルサ式パスサッカーという事だったが、確かに中盤の中央が単なるアンカーではなくブスケッツの様にパスの起点になり、前線の両サイドもペドロの様に外に開く動きと中に切れ込む動きを織り交ぜていた辺りはその匂いを感じさせた。クラブユースの試合を観るのは久々だが、高校サッカーではなかなか観られない魅せるサッカーだった。
 一方のマリノスは大宮にボールを支配されてはいたが、前線の選手が俊足揃いなので中盤でパスをカットするとドリブルで相手を振り切って一気に決定機を作り出す。この流れでまずマリノスが先制。その後大宮が完璧な崩しで同点に追い付くのだが、またも同じ様なパスカットからのショートカウンターで2−1。ここで前半終了。

 後半は開始早々にマリノスが追加点を挙げたのだが、試合内容からはまだ勝負は分からなかった。すると大宮がCKから1点差に詰め、そのすぐ後に追加点を挙げて同点に追い付いた。特に同点ゴールは中盤からの正確なロングパス、それをコントロールして飛び出したGKの頭越しに放ったシュートと技術の結晶の様なゴラッソだった。
 勝機は五分五分か、という所でマリノスは和田を投入した。生で観るのは初めてだったが、まず体つきがピッチ上の両チームの選手と異なっていた。この年代の選手はやはりまだ線が細く、CBやGKの様な身長の高いポジションでも上の年代と比べて細さを感じるのだが、和田は何と言うか脚から頭まで全身の体幹ががっしりしている。負傷明け故かロングボールの処理をミスしたり、FKで足を滑らせたりもしていたのだが、エリア外斜め45度からほぼノーステップで枠内に強烈なミドルを撃ったプレー(GKがセーブしてCKに逃れる)はこの体幹故だろうなと。
 試合は終盤にマリノスが左からのクロスを右から走り込んだ選手が頭で合わせて勝ち越したのだが、その数分後には和田が5点目を挙げ、ほぼ勝負を決した。右で撃つと見せかけて切り返してからの左足グラウンダーシュートだったのだが、切り返してからシュートまでの動作が早くてGK、DFの予測を越えた一撃だったと思う。そのまま5−3で終了し、マリノスユースの優勝が決まった。

 初めて観た和田はちょっと衝撃だった。マンCに短期留学した際はD・シルバに準えられたそうだが、確かに中央、サイドを問わず、パス、ドリブル、シュートと3拍子揃ったプレーはあの選手を思い起こさせる。こうなると早ければ9月の天皇杯緒戦で、とも思ってしまうが負傷明けでもあるし、焦らず大事に育てて欲しいものだ。今のトップチーム監督ならこれまでの様に若い才能を燻らせる事は無いと信じたい。代表歴も12年U16代表候補が最後の様だが、東京五輪世代でもあるのでまずは17年のU20W杯を目指して欲しい。

 帰りはいつもの様に歩いて横浜駅まで戻り、帰宅。