豪州戦

後半半ば過ぎから、リードした後のなかなか時計が進まないもどかしさと、その一方であまり失点する気もしない安心感が2:1位で混じった感覚が続いていたのだが、代表戦でこんな感覚はそれこそ南アW杯以来ではないかと思う。あの時も今日の戦い方に近い、ポゼッションよりも守備の堅さとカウンターの鋭さで勝負するチームだったから余計に思い出された。

 以下雑感。
・スタメンに乾の名前があるのを見た時、面白いと思った。以前から言っていることだが、監督の志向するサッカーに合致した11人で固めるよりも、何人か“異分子”を入れた方がチームが機能する時がある。ボールを繋ぐチームならアンカーに中盤にダイナモ、ファイターを置くとか、縦への早さを志向するチームなら攻撃陣にスピード、フィジカルタイプだけで無く中盤で間合いを取れるテクニシャンを置くとか。ハリルホジッチの志向なら右が浅野ときたら左は原口が自然だが、ここで敢えて乾を置いたのはそういう“外し”が感じられて試合前からちょっと期待してしまった。まぁ原口はクラブで控えなのでスタメンには不安があったという面もあるかもしれないが、縦へ突破する浅野と横への動きもある乾のコンビで攻撃が単調にならず、ある程度バリエーションが生まれたのではないかと思う。

・浅野はゴールまでは酒井と全く息が合っておらずちょっと浮いてた感もあったのだが、逆サイドの長友のクロスに合わせて点を決めるんだから分からないものだな(笑)長友もそれまで酒井に比べて攻撃参加は少なかったのに、あの時間帯に急に攻め上がってきてアシストと。サッカーは1対1の関係が無数に積み重なって出来上がるもので、特定の2人の関係だけ見てどうこう言うのはまさしく木を見て森を見ずだと痛感した。

・ちょっと今日の井手口は凄すぎたな。試合の半ば頃から遅くとも来夏には欧州行ってるだろうなと思ったが、あのゴールで多分年明けには行ってしまうだろう。(W杯半年前という時期なので敢えて残るという可能性もあるが。)マリノス戦でのミドル2発のイメージが強く、ボランチより少し前目のポジションの印象だったのだが、守備でも貢献してたし、ガンバユースで言うなら稲本、橋本等のボランチと二川、倉田、家長ら2列目のアタッカーの要素を兼ね備えている感じ。友人が中田ヒデに似ていると試合中から呟いていて、??だったのだが試合後のインタビューで顔がアップになった時確かに似てると思った(笑)そう言えば中田とは20学年違いだが、丁度20年前のフランス予選ではこの人が活躍したのだった。

ハリルホジッチは相手に応じて人や布陣を替えつつ徹底的に相手の弱みを突くという点で岡田氏がより先鋭化された印象を受ける。今日の酒井と浅野のコンビネーションの様に、スタメンを替えることによるデメリットもあるのだが、3月のUAE戦、今日とそれ以上にチームを機能させてきた。そういうサッカーをするには手持ちのカードが多ければ多いほど良い訳だが、この1年はその手札を増やす(育てる)のも平行しながら戦ってきた訳で、波はあったとは言え1試合残して予選突破なのだから十分すぎる結果。相手に応じたサッカーなので、本大会メンバーは抽選会次第で変わってくるのだろう。

・世代交代という意味では、丁度1年前が緒戦、つまり●1-2で負けたUAE戦だった訳だが、今日はあの試合からスタメンは8人入れ替わっていた。2試合ともスタメンだったのは吉田、酒井宏、長谷部のみ。1年前はまだザック時代の主力がそのままという感じで、当時の雑感でももっと若い世代の台頭を促していたのだが、当時名を挙げた面々もまだ伸び悩んでいる選手もいるが久保、浅野など何人か代表に定着し、更に若い井手口も一気に駆け上がってきたので、あと何人か、出来れば東京五輪世代が出てきて欲しい。例え本大会メンバーはならずとも前回の南野の様にバックアップに選ばれる位までには。

・その点でサウジ戦は杉本、三浦、植田らを使って欲しいのだが。いきなりCB2人を代表デビューというのは非現実的なので、吉田と誰かを組ますとかで。GKも出来れば中村を見てみたいが・・まぁ川島が出ないとしても東口かな。12月にEAFF E-1フットボールチャンピオンシップという東アジアカップの後継大会が日本で開催されるので、おそらく国内の若い選手はここで何人か代表デビューする事になるのだと思う。