親善試合 日本×ウルグアイ(国立)

  • W杯後初の代表戦

 いつもW杯が終わった後最初の試合は9月だが、カタール大会は11~12月開催という超変則日程だったので翌年3月のAマッチデーとなる。このウルグアイ戦は金曜、国立という条件も加わって相当チケ取得難易度は高いだろうなと思っていたが、案の定発売日は開始時刻前からチケットサイトに繋がらず。友人が取ってくれて行くことが出来た。感謝。
 3月のウルグアイ戦で思い出したが、20年前、2003年3月26日にも同じ国立で対戦していた。当時この時期に予定されていたアメリカ遠征がイラク情勢で中止となり、現地で対戦予定だったウルグアイが来日して試合をすることになった。結果は2-2だったが丁度ホームゴール裏中央付近で観ていて、稲本のグラウンダーのシュートがゴール隅に決まったシーンが何故か今も鮮明に思い出される。

 早めに会社を出て18時過ぎには着いたが、今日は日中から雨が降ったり止んだりの微妙な天気。

開始前の千駄ヶ谷門付近

 思えば去年6月のブラジル戦もこんな天候だった。旧国立ならポンチョと荷物を守る大サイズポリ袋が必須で、観るだけで体力が削られていく消耗戦となるが、新国立はその心配がない。一緒に観る友人達と合流する為にゲート付近に向かうと、他にもこの試合を観に来た友人達の姿が見えて、久々に会う人もいてちょっとしたサプライズであった。18:30頃入場。バクスタ3階ホーム寄りの、通路と通路の間の中央付近の席だったため、着席後は試合後まで移動せず過ごした。
 その後は選手のアップ→選手紹介→入場といういつもの流れだったが、入場時にはペンライトと花火を使った演出も。

選手入場直前

ペンライトは去年のブラジル戦でもあったが、代表戦での花火は初めて見た。国歌斉唱後、開始直前まで場内にはBGMが流れていたり、代表戦の演出は今回からまた変わった印象。よりイベント性を強調する方向性というか、試合そのものだけでなく、こうした演出含めたトータルの体験を提供という事なのだろう。個人的にも場内暗転からのペンライト→花火→照明が灯されてFIFAのアンセム(長年お馴染みのではなくロシア大会から使われ始めた新アンセム)で選手入場という流れで試合への期待感は高まっていったし、全然アリだと思う。

  • 試合
選手入場時

 日本のスタメンはW杯組が9名でそこに2000年世代の菅原(代表2試合目)、瀬古(デビュー戦)が最終ラインに入る構成。2人とも2026大会のメンバー入りを予想しているのだが、菅原は想像以上に守備もいけるなと。さすがに酒井とは比較出来ないが、もっと攻撃寄りで、代表では山根の様な点が欲しい時のオプション的な起用かと思っていた。実際試合序盤はそんなプレーだったのだが、途中から1対1でも強さと粘りを見せ始めてこれは定位置確保もあり得るなと。期待の攻撃面でも前半に右サイド高い位置から浅野に出した縦パスは見事だったし、クロスも結構強めの速いキックを入れていたのが印象的。瀬古は今日がデビュー戦だが招集自体は去年からされていたし、欧州でプレーしているのであまり慌てる場面もなく安定していた。冨安が負傷でシーズンアウト、復帰は9月以降なのを踏まえると、当面は町田とのポジション争いとなるのかな。
 攻撃面では上述の菅原→浅野のシーン以外に三笘、堂安がサイドから仕掛けることでゴールに近付く場面が多かった。特に三笘がボールを持ってドリブルし始めた時の場内の歓声はこれまで代表戦ではあまり聞いたことのない類だったな。選手紹介での大歓声はこれまでも中田ヒデ、俊輔、香川、本田などあったし、見事なロングパスを通して場内どよめくというのもあったが、ドリブルでこれほど沸かせる選手はあまり記憶にない。普通に1人、2人抜くのが当たり前のレベルなのだが、さすがにウルグアイも数人がかりで止めに入ってシュートまでは持ち込めず。
 そんな中で前半にウルグアイが先制。右クロスがバウンドした難しいボールをバルベルデが上手くボレーしたのがポストに当たり、跳ね返りを自ら押し込んだ。今日のウルグアイはベテランは世代交代&W杯の出場停止で殆ど不在、またリバプールのヌ二ェスも負傷辞退という中で、選手紹介時に最も大きな歓声だったのはこの人だったのだが(さすがレアルにいると知名度も高いんだなと思ったり)、若手中心の中で点を取るのはやはり一番上手く経験豊富な選手だなと実感。

 後半は全く存在感の無かったトップ下鎌田を替えるかと思っていたが30分まで引っ張り、先に浅野、堂安outで上田、伊東in。右から何度か仕掛けてクロスという場面や一度エリア内侵入して倒されPK判定もVARで取り消しという場面はあったが、ゴールならず。上田は未だ代表でノーゴールだが、今の様なポストありきの使われ方だとシュートの上手さという持ち味が活きないよなぁ。そんな中で30分に鎌田、守田outで西村、田中碧inとなったが、その直後に右の伊東に綺麗な縦パスが入り、フリーで上げた低めのクロスを西村が合わせて同点。
 西村はマリノスでは3トップの後ろから点に絡むのだが、最近この選手はトーマス・ミュラーぽいなと思っていたところだった。究極の実用性とでも言うか、ドリブルやパスセンス、テクニックが特に優れている訳では無いのだが、ある瞬間エリア内に突然現れて点に絡む。今日のトップ下を置く布陣で浅野、上田らCF、トップ下鎌田が持ち味生かせずピッチを彷徨う状態になるとさすがに三笘、堂安、伊東の仕掛けだけではカバーできず、ゴール数(の少なさ)に直結してしまうが、こうしてしっかり数字を残す選手がいると大分違う。ある意味マリノスと似た役割でもあるし、過去川崎のメンバーを移植した様に、CF前田、トップ下西村の構成が導入されるかもしれない。まぁこの2人はマリノスでは入れ替わりで在籍期間は重なってないけど。

 同点後一気に逆転したかったが、そこはウルグアイはさすが試合巧者で、日本はなかなか良い形でウルグアイゴール前に近付けず、そうしている内にボールを奪われカウンターという場面が続き、そこで上手く時間を使われてしまった。ボールロストという点では田中碧はボールを失う場面やパスミスが目立ってあまり良い出来では無かった。クラブで試合に出てはいるが、単なるコンディションの問題なのか、W杯の反動である種の壁に突き当たっているのか。予選の3MFはこの選手がいてこそだったので、当面は今日の様なトップ下を置く構成になるかもしれない。そのまま試合は1-1で終了。

 W杯後緒戦てことで新しい選手も試しつつのこの内容、結果はまぁこんなもんかなと。毎度のことながら激しく強かに戦ってくれる南米勢は親善試合としては最高の相手。コロンビア戦では今日出場機会の無かった選手を出来るだけ使って欲しい。右SBは菅原、橋岡といるので半田は厳しいかもしれないが、CB町田、左SBバンクーナガンデは出番あるかな。特に左SB伊藤は高さはあるが、攻撃面で三笘とやはり合わず、中山の復帰待ち状態なので。

  • 試合後
選手達が場内を一周

 インタビューや場内挨拶を観つつ人が捌けるのを待っていたが、スタジアムを出ると駅までかなりの混雑。傘で視界が遮られていた事情もあるが、まだ導線が共有されてないので、地下鉄入口階段/エスカレーターに並んでいると思っていたらエレベーター口だったということもあった。スタジアムを出たのは21:55頃、千駄ヶ谷から電車に乗ったのは22:30頃。まぁ金曜だからまだマシか。
 今年は首都圏開催の代表戦はこの試合ぐらいなので(後は全て地方開催)、A代表は今年最初で最後の観戦になりそう。五輪代表は11月の土曜に日本平で試合があるらしいので、これはちょっと興味があるのだが。