フランス代表の話

育成対象に「人種枠」?=代表監督も謝罪―仏サッカー
 

仏メディアによれば、アフリカ諸国などの代表にはフランス出身で同国でキャリアを積んだ選手が数多くいる。一方、フランス代表には黒人やアラブ系も多く、極右政治家からしばしば批判の声が上がっていた。 

 この記事では人種差別に焦点を絞った書き方をしているので、↑の様にさらっと書かれるとあまり見えてこないが、フランスの育成現場にとって他国への選手流出は想像以上に重い課題なんだろうなと。今まではフランス代表レベルに無い選手が他国(母国)を選ぶだけでそれほど重要視して無かったのが、アルジェリアがフランス出身者を集めてW杯まで出たり、その数が増える一方になって『もしかしたら未来のジダンデサイービエラ級の選手を逃すかもしれない』ていう危機感に変わっていった―――制限を設けたのもそんな危機感の反映、だろうか。ユース世代で選手を選抜するとしたら、小さい頃から毎日外でボールを蹴っていたような子が選ばれるんだろうけど、そういう子は大概他に娯楽が無い低所得者層に多く、移民にそういった家庭の割合が多い以上、現状で何も制限を設けないまま選抜したら、必然的に移民の子弟が多数を占める訳で、今回の件はやり方は強引過ぎたにせよ、背景を色々考えると単純に人種差別と割り切って捉えるのはどうだかな、という感じ。だからといって他に解があるかと言えば思い付かないけど。


 過去に何度か書いたが、フランスが強かったのは移民の子弟の数の多さというより、その背景の多様さだったと思う。ブラック・アフリカ出身者だけ、アラブ系だけ、ではなく他にも東欧や南米、カリブ海等色々なルーツを持つ選手が揃っていたからこそ、サッカー的にもパワーとテクニック、スピードのバランスが良いチームが出来たと。後はジダンみたいな攻撃の柱、デシャン、ブランみたいなリーダー格の存在も大きかったと思うけど。ここ数年はブラック・アフリカ出身者が増えてサッカーがパワー任せで単調になっていったのが成績が振るわない遠因だと思ってるんだけど、今のチームはその点がディアッラサーニャとか黒人だけでなくメクセス、ヨリス、リベリ、グルキュフ、ナスリとかも居てなかなかバランスが取れてる。
 移民の数と言えば今のドイツは丁度強かった頃のフランスみたくバランスは取れていると思うけど、あと5年もしたら同じ様な問題が起こるかもしれない。ドイツの場合、トルコ系、東欧系の多さが違うが、エジルがあれだけ成功したから今後益々トルコと逸材の囲い込み競争が激化する予感。