往復書簡

 11日のエントリーは特定の誰彼に対して、というよりむしろ独白に近かったんだが、woyata氏から仮想Trackbackされたので、その返信を。


 改めて自分で書いた文章を読み返してみると、感情論を非難する本人がまずもって感情的であった事に気付かされる訳だが(苦笑)言いたかったのは、こうした(3敗した)結果において、もちろん出来なかった事、通用しなかった事が多々あるからこその結果であり、それに対する批判は当然、というのを前提とした上で、同時に、3試合とも1点差であったというのもまた事実であり、それを例えば「世界の壁」みたいな抽象的なフレーズで集約してしまうよりかは、『1点差までは粘る事は出来た。それはどの部分が上手くいったのか、そしてその1点を埋める為には何が・・・』みたいな思考回路が必要なんじゃないかと言う事。現状では例えば雑誌やスポーツサイトに寄稿するような(一般的に見識が深いと思われる)人々でさえそうした見方をする人はいないし、過去見た事もなかったので書いた。woyataの言う様に日本は“プロ化して16年、日本がW杯に出場するようになって10年であり、100年前後の歴史を持つ欧州や南米に比べてまだまだサッカー新興国という立場”にあり、それを鑑みれば一般的な期待値が高過ぎるというのはその通りで、現状ではこうした大会に出場し続けること自体に大きな価値がある段階にあると言えるだろう。ただ、視点をもう一段階細密化して実際にピッチ上で繰り広げられるサッカー、あるいはその準備(強化)段階を見れば、やりようによってはもっと出来る事はあったのではないかと言う思いもまた湧いて来るのだ。


>サッカーにしろサッカーにまつわる意見にしろ、醸成にかかる時間が少なからずあるだろうし、今はいわゆる耐える時間と言えると思う。


確かにそう。しかし問題はその耐えた先はいつ、どのようにやって来るのか、という点で、それは例えば嵐が過ぎるのを待つようなじっと耐え忍ぶといったスタンスというより、まさに今現在において疑問/議論を提起していく中で徐々に醸成され得るものではないかと感じている。


■2点目の論題
 woyataが例に挙げた俺の過去のエントリーだけど、他競技を引き合いに出したのはちょっと不用意だったと反省している。あの文章で言いたかったのは、最近ではやる事なす事ケチを付けられるJFAも評価すべき点はあるし、それが見えなければ、あるいは見ようとしなければ単なるアンチで終わって結果的に(批判者達の望む)状況の好転も成し得ないんじゃないの?と言う事だった。
 誤解を恐れずに言えば、D通、Kリンの存在って巷で言われてる程には俺は否定的ではない。サッカーが愛好者間の楽しみというある種の牧歌的な空間から、巨大なビジネス・産業に変貌し、もはや後戻りは出来ない以上、上記の存在とは運命共同体なのかなと。また付け加えるなら、(前にも書いたけど)ビジネス経験や国際舞台での交渉力、人脈という面でこの2社は協会の人材供給源足り得るとも思ってるし。しかし、重要なのはそのバランスで、ビジネス面が優先され過ぎれば競技が不利益を被る場合が発生するし、その絶妙な(そして困難な)バランス感覚が今後益々重要となり、その力が即ち協会の力量として判断されるだろう。

 ただ冒頭で指摘された


>“批判者達に対する批判”という形を取っているbawcawが何かズルくみえる。(文中一部改変)


 これはなかなか痛い所を突かれた。批判対象を絶対悪と位置付け、自らを(“善”という)安全エリアに置いてそこからの一方的な批判/攻撃、という構図は、まさしく(今回の批判対象である)マスコミのスタンスに通じる部分がある。結局の所、善悪などは相対的なものだし、こうした論議を吹っかける以上、逆の立場にも成り得る認識、覚悟が必要なのだとは思う。それこそ今回の様に。


 ちなみに余談だが


>欧米帰りのやつが「日本人は〜」論を説くのがおそろしく日本人的である


 これを読んで高校時代に英語教師がこういう輩を『出羽守(ではのかみ)』と揶揄していたのを思い出した。アメリカでは〜、イギリスでは〜って言うけどそういう人間に限って日本“では”どうなのか知らないと。個人的な印象として、サッカーに限らずこの手の表現を多用する書き手は総じてそのレベルは高くない。書き手の水準を見極める一つの判断材料と言えるか。



 以上。そもそも今回の議論が生じたのは、サッカー(サッカー界、日本代表)へのスタンスとしてwoyataは一つの社会的事象(あるいは産業)として、俺は競技的観点に比重を置いている所にあるのではないかと思う。どちらもそのスポーツが発展する上で欠かせない両輪であり、同時に両者のバランスが永遠のテーマでもある。(本当は誰にも分からない、いやそもそも存在するかどうかも怪しい)両輪のバランスを巡る鬩ぎ合いは、日本がW杯や五輪、あるいはその予選を戦う度に繰り返されるだろう。おそらくは。


 多分拙blog史上最も脳ミソを稼動させたエントリー。まぁまたフットサルしましょ。