高尾山へ

 無理矢理休みを取ってさて今年は何処に行こうか考えた時、困ってしまった。突発的な休みなので未踏破県制覇行もままならず、かと行って日帰りはというと鎌倉は前に行ったし、箱根も然り、御殿場アウトレットもわざわざ東名使うのもなーと思案しながらふと高尾山がミシュランで三ツ星にランクされたニュースを思い出した。日帰りでしかも山歩きで健康的だ(笑)三ツ星効果で土日は混雑してるという話だったので行くのは木曜or金曜しかない。こうして私は小学校以来およそ16〜7年振りに高尾山に行く事に決めた。


 朝9時、最寄駅を出発すると、そこから中央線、京王線共にホームに到着した直後に出発するタイミングの良さで家から1時間半程度で高尾山口駅に到着。着くといきなり雨がパラつくハプニングはあったが、青空は見えていたので特に気にせずそのまま登山道入口へ。
 麓からはケーブルカー、リフトカーで途中まで出ているが、「おいおい、仮にも俺はハーフマラソン完走者だぜ?」とばかりに薬王院を通る最もオーソドックスな登山道1号を麓から歩く事にした。
 
 10分後、私は大量の汗と共に眼前の坂道と苦闘していた。なだらかとは言えず、かと言って急とも言えない微妙な角度の坂道が延々と続く中で徐々に体力は奪われ、10分がまるで1時間のように感じられた。麓から山頂までは標準で90分とあったので、この9倍もこのような道が続くと考えるただけで睡眠不足などネガティヴな要件が頭をもたげ、今回の安易な決定を自戒すらした。この感覚どこかで覚えが・・・そう、ハーフを走った時の15km以降のあの絶望的な感覚に近かった。
 
 しかし20分後、ようやくケーブルカーの駅に到達すると、これまでとは一転してなだらかな道が増えていった。要はキツイ道だけケーブルカーで飛ばすという事だったのか。こうなると周りを見たり景色を眺める余裕も出てくるのだが、生憎今日は霞掛かって近隣の多摩丘陵?位しか見えなかった。条件が良ければ横浜まで見えるらしい。あと、やはり平日だけに登山客は少なく、外国人もちらほらいる程度。これが休日の繁華街並みに混雑していたらと思うとそれだけで疲労度が倍加しそうだ。
 
 そんな中で薬王院に到着、ここには天狗像が幾つも置かれているが、こういうキリスト教建築の聖人像あるいは悪魔像にも似た彫像は欧米人にも受け入れ易い、理解し易いのかなーなどと考えながら、階段を上り、頂上まであと少し。
  
 そして出発からおよそ1時間後、山頂に到達した。やはり霞んでて周囲の見晴らしはあまり良くなかったものの、富士山は辛うじてその形が分かったので写真に収めたが、今確認したらちゃんと映ってたので安心。
 
 昼時だったんで山頂で蕎麦を食った後、中ほどまで下って土産を買い、ケーブルカーに乗ったら5分位で着いてしまった。そこから例によって京王線、中央線、横浜線の接続が抜群で家に着いたのは15時。わずか半日、いや四分の一日の旅であった。この手軽感、それでいて適度に疲労する達成感。人気なのもよく分かる。


 そういえば山を下る途中蜻蛉がそこら中で飛び回っていた。蜻蛉が飛ぶというのはそろそろ夏も終わる頃だったような・・・違ったかな。暑かったけど雲の様子はどことなく秋の気配が。