ユース年代ハシゴ観戦(小机→等々力)

- 序
 今日は代表期間中でJ1は無くルヴァンもマリノスは日曜にアウェイ札幌戦という事で、首都圏のJ2、J3の試合に行こうかとも考えたのだが、色々なカテゴリの日程を見ているとマリノスユースプリンスリーグの試合が日産フィールド小机で開催されるのを知った。漠然と横浜国大に整備したグラウンドや久里浜の練習グラウンドを使ってるのかなと思っていたのだが、今季は小机開催が幾つかあるのね。ここは以前トップの試合の前に何度かユースの試合が開催されていて、日産スタジアムのコンコースから試合の様子を少し眺める事はあったが、本格的にここで試合を観るのは初めて。マリノスユースの試合自体、最後に観たのは2015年夏のクラブユース選手権決勝以来となる。遠藤渓太や和田昌士を擁して三ッ沢で大宮ユースを破り優勝した大会。
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 試合は11時からなので終わったら実家にでも寄るかと思っていたのだが、同日に川崎U18とFC東京U18の試合が等々力で開催される事をSNSで知る。無料でしかも16時開始と小机から移動しても十分間に合う時間なので大人の試合では久しくやってないハシゴ観戦が決定。

- プリンスリーグ関東第11節 横浜Mユース×鹿島学園高(小机)
 小机駅経由で向かい、丁度試合開始頃に現地着。バクスタ側の背後にある遊歩道(兼堤防)から試合を観る。

日産フィールド小机

他にも何人か観戦者がいたが皆さん場数を踏んでおられるのか折り畳み椅子や日傘など、8月よりは多少マシとは言えまだ陽射しの強い今日の観戦に向けて準備万端だった。

遊歩道からの観戦

 この試合前までの状況は、消化試合に違いはあるもののマリノスユースは首位東京Vユースに勝点6差の2位/10チーム、鹿島学園マリノスとは勝点12差の7位という状況。4月に鹿島学園ホームで行われた試合ではマリノスが7-1で大勝している。
 
 というのもあってマリノスユース有利な展開かなと思っていたのだが、開始からマリノスがボールを支配して相手ゴールに近付くものの決定機と呼べるシーンは少なく、逆に鹿島学園が序盤にカウンターから効果的に2点取って先行。マリノスの前半の決定機、というか枠内シュートは一度だけだったのではないかと思う。前半30分頃にPKも得たのだが、アンロペみたいな助走で向かって右下隅を狙ったキックは相手GKに完璧に読まれてゴールならず。
 前半の印象としては、悪い意味で昔のJユースらしいというか、上手いけど球際に弱く簡単に裏を取られるサッカーだなと。選手個々を見比べても鹿島学園の方が体格はがっしりしていて、マリノスがサイドからクロスやドリブルを仕掛けても上手く対応されていた。

 後半は場所を変えてホーム側ゴール裏に相当する地上階に下るスロープで観戦。

後半の観戦場所

 後半から6月の福島でのU16代表戦で観たFW浅田が入ってCFに位置したのだが、入って約15分で2点決めて2-2に追い付いた。6月に観た時は俊敏性は感じたものの“大きい”とは感じなかったのだが、今日は入った瞬間にピッチ上のチームメイトと体付きが違うなと。体付きだけでなく、この選手が入った事によって前線も活性化して中盤でボール奪取→サイドに展開→相手ゴール前中央へ、という流れが前半とは見違えるほどスムーズになった。この前半とは劇的に変わった流れを観て、今日試合に出た選手でトップ昇格するとしたらこの選手なんだろうなと。まだ高2だし、2年前に同じ様にユースでゴール量産していた内野も大学進学したので本当に昇格するかは分からないが、今日ピッチにいたマリノスユースの選手で、ユース卒業後即プロで戦えそうなのはこの選手くらいに見えた。現チームではCF的な役割だが、本来は俊敏性もあるのでサイドなどより幅広い位置でプレー出来そう。U16で観た時は浅野、細谷に似ている様に見えたが、今例えるなら「前田大然の要素も加えた浅野、細谷」といった感じ。つまりはフィニッシャーに止まらず、サイドでの献身性、守備も含めた動きでチームを活性化するタイプかなと。

 試合はその後鹿島学園が押されながらもカウンターから右クロスをダイレクトボレーを決めて勝ち越すも、後半30分過ぎにマリノスが同点に追い付き、その後はマリノスの運動量が落ちたのもあって鹿島学園のカウンターを浴びる場面が目立ち始め、一度右サイドからバーorポスト直撃シュートもあったが決め切れず、最終的に3-3で痛み分けという結果となった。

 この試合を観て思うのは最後決め切るCFの重要性。後半から浅田が入って劇的に変わった展開は、トップチームでのアンロペを思い起こさせた。マリノスは自称も含め「アタッキングフットボール」とその攻撃力が評価されていると思うが、実態は最後決め切るストライカーがいるからこそ、その“過程”も映えて見えるのだろうなと。今日の前半、繋いで相手ゴール近くまで攻める割に決定機の少ないサッカーと、浅田が入って全てが上手く回り始めた後半の違いを見てそんな事を思った。

- プレミアイースト第13節 川崎U-18×FC東京U-18(等々力)
 試合後は新横浜まで徒歩移動後、駅近くで昼を食べ、武蔵小杉に移動。改めて思うが東横が新横浜に直通する便利さよ。16時の開始まではまだ少し時間があったので駅構内のカフェで時間を潰して15時過ぎに現地着。
 川崎U18の等々力での試合を観るのは2年振り。
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 当時の観戦記を読み返したが、ここで言及されている川崎の高井はつい先日のW杯予選でA代表デビュー。当時観た時は長身の割にボール扱いが上手いというか、空中戦より繋ぐ方が上手いなという驚きがあったのだが、それから2年でU20W杯→五輪(U23)→A代表と一気に駆け上がった。これもユース世代を観る楽しみの一つ。

選手入場時

 プレミアイーストの状況は、ここも消化試合に違いはあるものの川崎は首位と勝点2差で3位/12チーム、FC東京は10位。その状況通り序盤から川崎が攻め込んでFC東京がカウンターという展開となるが、前半早々に川崎GKのファンブルからFC東京が先制。その後も押し込む川崎と守るFC東京という構図は変わらず、川崎は何度かGKとの1対1の場面も迎えたものの、ここはFC東京GK後藤(U19代表、2023U17W杯にも出場)が防いだ。
 後半もずっと同じ展開だったのだが、これまた開始早々(後半10分頃)にCKからFC東京が追加点、その直後に途中投入されたばかりの浅田がカウンターから決めて3-0。ボール支配されるチームとしては理想的な内容でFC東京が3点リード。その後も川崎が攻める展開は変わらなかったものの、シュートで相手GKを脅かす場面はあまり無かった。後半30分頃にPKを得てこれを決めて1点返したものの、追加点は無く3-1でFC東京U-18の勝利。

- 2試合観戦後の雑感
・今日観た4チーム中3チームはJユースだったが、どこもトップチームの特徴を良くも悪くも踏襲しているなと。マリノスは先ほど述べた様に軸となるCFがいる/いないで内容が大きく異なるのはアンロペ出場/欠場でのリーグ戦を思わせたし、川崎も押し込んで何度も決定機を作りながら決め切れずカウンターで沈むのは近頃のトップチームを思わせる。またFC東京も押される展開で力を発揮するというのはトップチームが0-3から2点返した先日のアウェイ広島戦、0-2から追い付いたヴェルディとのダービーを思わせる。ある意味トップとアカデミーで一貫性がある証左か苦笑。

・試合のカテゴリではプレミアとプリンスの違いは感じた。プレミアの強度は2年前の等々力の試合やそこで勝ち上がった川崎とウエスト王者鳥栖とのファイナルで実感していた事だが、今日も等々力の試合は両チーム共に終始技術と強度を見せていたのに対して、プリンスリーグはその点でムラがあった。マリノスユース視点で言ってしまうと、今日の試合の強度だとプレミアでは厳しいだろうし、“汎用性”をあまり感じなかった。(次項目で詳細説明)

・トップと同じサッカーなのは分かるが、ではこの選手達が大学(もしくはマリノス以外の国内外プロクラブ)で違うサッカーに触れた時にどうなのかなとは思ったのよね。もっと言ってしまうと「ユース年代でトップと同じサッカーする為に最適な」選手ばかりになってない?と。皆上手くて自分達が培ってきた形の時は強いけど、鹿島学園の強度の高さやカウンターにはかなり苦戦していた。一方で等々力の試合はお互い局面でバチバチやりあっていて、その上で相手をいなしつつボールを展開するなど、プロでの実戦により近い試合だった。プレミアとプリンスの差と言ってしまえばそれまでだが、この年代でこれを日常的に経験出来るか否かは将来にも大きく関わってくるようにも。

 絶妙な日程により実現したユース年代ハシゴ観戦であった。観客数は最初の試合は目算で100人前後、午後の試合は2798人。

観客数

 等々力の試合はメインスタンドアウェイ寄りに座ったが、周りはやはりFC東京色強く、東京ガス時代から応援しているのかなと思しき年齢の方、サッカーやっている小さい子供の親子連れ、若いサポのカップルなど色々な人が集うスタンドであった。そのまま新丸子駅まで歩き帰路へ。