J1後期第17節 横浜M×松本(日産)


■試合前
 プレーオフの為に例年より2週間早いが今日でリーグ戦も終わり。この試合は前売りで40000枚以上売れており、山雅サポも7〜8000人来るとの情報があったが、10時前に新横浜駅に着くと既に緑ユニを来た人々が多数駅構内を歩いていた。面白かったのは駅からスタジアムではなく、その逆、外から駅に向かう山雅サポが多かった事で、まだ時間が早かったから駅の中で買い物を、と言う人が多かったと思われる。スタジアムに着くと東ゲート広場では未だ空いている売店は少なかったが、その数少ない1つである崎陽軒のブースには緑ユニを来た人々で長い列が出来ており、正直崎陽軒でこれほど長い列が出来るのは今まで見た事が無く、衝撃的な光景だった。

 10:45の年チケ開門後、席を確保した後は売店を眺めつつ隣の競技場で開催されているユースの試合を少し観に行った。

プリンスリーグ関東の横浜Mユースと浦和ユースの試合。U18年代で各地域のプリンスリーグはプレミアイースト/ウエストのすぐ下のカテゴリだが、今季マリノスユースはクラブユース選手権で優勝、浦和ユースも先日Jユース杯で優勝とどちらもクラブユース界ではトップレベルに位置している。それがプレミアイーストではなくプリンスリーグで試合をするんだから、プレミア昇格への道のりの厳しさと同時に毎年選手が入れ替わる中でチームを作らねばならないこの年代の難しさを実感するな。試合は前半途中から観て、マリノスユースが前半を2−1で終えた所で日産スタジアムに戻った。

 それでもまだ試合には時間があったので友人と昼飯探しでスタジアム内の売店を巡ったりしていたのだが、12:30頃席に戻った頃にようやく一般チケで入った友人が合流した。並び列はスタジアム外周コンコースを越えて下層のコンコースまで伸びていたらしい。年チケの利点は価格、チケ購入の手間省略など色々あるが、先行入場というのも特にこういう試合では大きい。
 今日は最終的にアウェイゴール裏の2階が解放されたのだが、間違い無く今季の日産スタジアムでのアウェイ最多動員だったと思う。アウェイ自由で凡そ8000人、指定と合わせれば10000人は来ていたはず。過去マリノス戦でアウェイ2階が解放された試合は赤(浦和、鹿島)や水色(川崎)のチーム、また天皇杯決勝でも出場したのは青系統のガンバとモンテディオで、更に言うと代表もユニは青なので、緑色で1階2階が染まる光景はとても新鮮に映った。

■試合
 今日は開始から松本は猛プレスを掛けてきた。5月の試合では前半早々にマリノスが先制してペースを握り、そのまま完勝という試合だったので、松本からすれば例え終盤息切れするリスクはあっても最初に主導権を握り、あわよくば先制したかったんだろうな。実際前半の半ばまでに2〜3度チャンスはあったのだが、最後のシュート精度を欠いてゴールならず。松本の試合をみるのは今季3試合目だが、やはり徐々に繋ぎは上手くなっているなという印象は受けた。
 マリノスは前半半ば以降はペースを握り始めたのだが、前半のビッグチャンスと呼べるのはセットプレーからの伊藤のヘッドが惜しくも枠を外れたシーンぐらいか。後半は更に押し込んだのだが、松本のDFが最後まで体を張ってブロックし、また右サイドからアデミウソンの低目のクロス→ゴール前で齋藤がフリー合わせるこの試合最大のチャンスもGK村山が伸ばした足で防いでゴールには至らなかった。最後はパワープレーにも至らず、小林から前に走り込む齋藤に緩いロングボールが送られたものの村山にキャッチされ、村山のパントキックと共に終了の笛。
 マリノスは鹿島戦の前までは9戦無敗で勢いがあったが、あの鹿島戦で完敗してからは天皇杯で神戸に●、そして今日の△と最後は息切れしてシーズンが終わった。やはりチームの調子=10番のコンディション次第というのは感じられて、今日の中村は何度かあったゴール前でのFKは全て壁に当てており、セットプレーの精度が調子を測る目安なのを思えば、鹿島戦以降コンディションが落ちていて(思えばこの試合でもFKを壁に当てていた)、それがチームの結果に繋がったのだろうなと。後は今日決定機を決め切れなかったのも、最終的なチーム内得点ランクが1位アデミウソン8点、2位齋藤7点、3位伊藤6点と二桁取る選手がいなかった事を思えばある意味必然的ではあった。CFGルートでアデミウソン級の選手を獲得出来るのならば、来季は15点取れるストライカーを。

■試合後
 試合後は恒例の社長、監督挨拶と選手全員でサインボールを投げ込みながらの場内一周でシーズンを終えた。ここに主将の挨拶が無いのは残念だが。社長嘉悦氏の挨拶は無冠の謝罪から始まったのだが、やはりビジネスプレゼンの手法をそのまま持ち込んだかのような内容なのは例年と変わらず。「(チームの取り組みの結果)○月は△連勝という結果に現われ―――」とか「失点は32で昨年同様少なく―――」とか有利な数字は強調するが、そうでは無いデータ(例えばゴールの少なさ、降格チームに2勝2分2敗でかなり勝点を落とした等)はスルーというのはまさに会社でよく見るプレゼンで(苦笑)、また話自体少し冗長だった。この1年を振り返るという意図があったにせよ、どこかサポに舐められまいと気負い過ぎてるようにも感じられた。具体的なチームの数字や状況、エピソードを話す事で経営だけでなく現場のチーム状況もしっかり把握していた事、日産から来たお飾り社長では無い事、つまりはファン/サポーターにとって「こちら側」の人間ですよ、と言う事を強調したかったのかなと。
 経営面では非常に優秀な人でマリノスに必要な人材と思うが、強化部長、テクニカルディレクター、ゼネラルマネージャーetc肩書きは何でも良いが右腕として現場の強化/育成を担当する人、フロントと現場を繋ぐ人が必要とも思う。今もそういった役職はあると思うが、経営面における社長に匹敵する能力を持つ人材という意味で。CFGに期待するのは選手だけでなくこの面での人材獲得もだな。
 チーム関係者全員がピッチを去った後もゴール裏中心に残る人は多く、アデミウソンのコールを続けていた。すると最後本人が少し顔を出してそれに応えていたが、大画面に映るその顔は泣いているようにも見えた。来年はサンパウロなのか、欧州なのかは分からないが、決定力を磨いて(苦笑)、ステップアップしてくれる事を願う。シュート精度さえ高まればプレミアで活躍するブラジル人(ヴィリアン、コウチーニョフェルナンジーニョ等)の域には到達し得る選手と思ってるので。
 スタジアムを出た後は新横で友人達と飲んで帰宅。まだ11月だがシーズン終了と言う事で感覚は年末、忘年会に近かった。