J3第31節 FC東京U23×藤枝(夢の島)


 前の観戦から3週が過ぎたがJ1再開は来週というタイミングで、今週はJ2の昇格争いでも観れればと思っていたが、自動昇格を争っているのが長崎、名古屋、福岡と西のチームばかりで、今日のJ2は全て東海地方以西の開催という(苦笑)J3を含めても首都圏開催は2試合のみだったが、YSCC×G大阪U23はどちらも観たことのあるチームで会場もお馴染みの三ツ沢だったので、行ったことの無い夢の島競技場まで。FC東京U23×藤枝というカードだが、藤枝は初見のチーム。
 漠然と夢の島は遠いイメージがあり、駅からバス利用だと思い込んでいたのだが、実は新木場駅から徒歩10分弱という距離にある。新木場駅自体、りんかい線で大崎、大井町から一本でもあるので意外と近い。ちなみに同じ時間帯に友人某氏は大学サッカー観戦で江戸川陸上競技場に行っていたらしいが、江戸陸と夢の島は荒川を挟んで隣同士という位置。
 着いたのは前半5分頃だったが、競技場正面入り口前に着くと大歓声が上がってホームチームのゴールのアナウンスが。例によってゴールを見逃した。当日券を買って中に入るとメインスタンドは7~8割は埋まっていたので比較的席が空いていたアウェイ寄りに席を取った。競技場自体は典型的な陸上競技場でメインスタンド以外は低層の芝生席で囲まれている。自分の座った席から眺めると、バックスタンドの先にタワマン群や建設現場のクレーンが並び、強風と併せていかにも「開発途上の臨海部」といった風情だった。長閑な住宅街にある味スタや西が丘とは対照的だが、周囲を物流のトラックが行き交うのも含めてここもまた東京の1つの顔なのだろう。曇に覆われた空から光が射し込むような天候だったのもあってか妙な近未来感があった(笑)

 試合内容はこれまで観たU23チームの試合とそう変わらず、チームとしての連動性はあまり感じられなかったが、試合毎にメンバーが変わり、また本来の目的は育成にある事を鑑みれば仕方ない面もある。ただその主旨に沿うならば小川や橋本がこのチームで出るのはどうかな。この2人のようにトップチームで一定の経験のある選手が補強で入ってきた中堅、ベテランに押し出される形で、また監督がシーズン途中で代わった為に割を食ってU23へというのは不健全だし、肝心のトップチームの成績が振るわないのも含めてどうもこのクラブはフィッカデンティと契約を更新しなかった辺りから方向性を見失っているようにも。今の状況だとJ1残り2試合で久保のトップチームデビューとかやりかねない雰囲気がある。
 試合は後半半ばに東京が追加点。エリア内で平川が切り返して相手の守備をかわして左足で決めた。この選手は同じくスタメンだった久保と共に先月U17W杯を戦い、数日前には2人揃ってプロ契約が発表されたばかり。確か去年このチームを西が丘で初めて観た試合がJ3デビュー戦だったはずだが、なかなか捕らえ所の無い選手という印象がある。基本は中盤下がり目に位置しているのでボランチなのだろうが、今日のゴールのように前に出るシーンもあり、時にはトップ下、2列目の選手の様に前線でアイデアや足技を見せる時もある。選手で言えば柴崎岳に近いかな。中盤が3センターならハマると思う。
 藤枝はGKがマリノスからレンタル中の田口だった。マリノスはアカデミーからのGK昇格事例こそ多いが、1つしか無いこのポジションの宿命で昇格から数年後にレンタルというパターンが多い。ただ現トップチーム正GKの飯倉もJFL時代の熊本で1年正GKとしてプレーした後に復帰して(その後紆余曲折を経たものの)今ではポジションを確保しているので、田口も是非マリノスでポジションを狙う(狙える)選手になって欲しい。

 正直2-0となった後半の半ば過ぎからは試合よりもJ2の動向が気になって、スマホで福岡×松本を視ていたりもした(苦笑)試合終了後は新木場駅前のカレーうどん屋で暖を取って帰路へ。

J1第30節 横浜M×鹿島(日産)


 ここ最近晴天というものを見ていない。今日も雨、しかも最後の大トリというかラスボス的に台風まで接近中という中での試合。しかもそういう日に限って横浜線が人身事故で遅れるなど大分スケジュールを狂わされた。この試合は新横浜パフォーマンスという新横浜エリアのイベントも同時開催され、東ゲートには普段よりもスタグルが並ぶのだが、今日は小机経由で行ったので行けず仕舞だった。ただこういう天候でも利点はあって、雲が厚いのでスタジアムから出る照明が雲に反射して光が一層際立つようになる。

 マリノスは久々に伊藤がスタメンで下平が右SBという珍しい布陣だったが、これは負傷者の多さに加えて来週水曜の天皇杯を見据えたのだろうな。監督が開幕前に掲げた「ACL出場、カップ戦タイトル獲得」の為には現時点でリーグ3位、天皇杯優勝が具体的な目標となるが、この2連戦は、3位以下が団子で同じくACLを狙うC大阪とはホームでの直接対決を残しているリーグ戦よりも、一発勝負のカップ戦に注力という判断だったのだろう。対する鹿島はベストメンバー。スタメンも勿論だがベンチに永木、小笠原、遠藤、土居、鈴木(優)がいる層の厚さが目を引いた。
 で、試合は前半15分でマリノスが2-0という予想外の展開になった。まず開始3分でCKから伊藤がゴール、そしてその10分後に植田のミスから天野がボールをカットしてシュートという。鹿島は普段とはかなり異なるマリノスの布陣にどう対応するか様子見のつもりがいきなり失点して浮き足立ったのだろうか。ただ2点を先行された後はさすがだった。普通早々に2点も取られたらまず1点取り返そうと普段よりも前掛かりになって、その分カウンターで更に失点するリスクも高まるのだが、鹿島は慌てずいつも通りのリズムでボールを支配しながら押し込んで行く。急がば回れというが、普段通りのサッカーを続ける事がまず1点、その先の同点、逆転への近道だと分かっているのだろう。この状況でそれを実践出来るチームはそう無い。ただ、最後の一線でマリノス守備陣は身体を張ってシュートをブロックし、またエリア内でマリノスがミスをしてもそれを鹿島が活かせず終わるシーンもあり、今日は運が向いているかなとは思った。
 だが、あれはもう少しで前半45分に差し掛かろうかという時間だったが、天野が痛んで倒れたが主審の笛は鳴らず、鹿島はそのままプレーを続けたシーンがあった。笛が鳴っていない以上何も問題は無いのだが、スタンドからはブーイングは収まらず、これによりスタンドやピッチ上のマリノスの選手達は「ボールを外に出さない鹿島」に意識が行って、目の前の鹿島の攻撃(への対処)には100%集中出来ていない瞬間が生まれた。そういう中でボールは外に出たのだが、これがまた絶妙で、ゴールライン際でマリノスの選手にボールが当たって出た、つまり鹿島のCKに。そしてそのCKから山本が決めて2-1。前半に1点返した為、これでまた試合は分からなくなったが、状況的に鹿島にしっかり対処してクリアでもしておけば防げたCKだけにブーイングを含め不要な失点だった。
 後半が始まると鹿島は一気に同点を狙って押し込んで行く。2-0とした時は鹿島の攻撃をクリアするだけで大歓声だったスタンドも後半10分を過ぎる頃になるとその勢いは失われ、あまりに一方的な展開に不安感というか同点への恐怖が勝り始めたように思う。そして後半20分、鹿島のCK時にバブンスキーに替えて扇原を投入し、喜田、中町と3センターにでもするのかと思っていたらそのCKから植田が合わせて2-2。前半のミスを挽回する形だったが、家に帰ってからリプレイを見たら中澤に競り勝ってのゴールだった。

 これで試合はまた振り出しに戻った訳だが、内容、展開共に3点目が生まれるならそれは鹿島だと理性では判断していても、負けるイメージはあまりなかった。前節のエントリーで今季のマリノスは先制されたら圧倒的に戦績が悪い旨を書いたが、一方で先制すれば無敗でもあり、途中追い付かれても前々節のガンバ戦の様に突き放して勝点3を得たりする。あとこれは余談だが新横浜パフォーマンスの日の試合は勝率が良いらしい(笑)だからこのまま2-2、あるいはワンチャンで3-2かなと思っていたのだが、後半30分頃にエリア内でパスを受けた遠藤が決めて3-2と。この選手はガンバ戦、そして今日と何故かポジションとは違う場所に出没してゴールを陥れる。正直与えられたチャンスの多さの割に伸びていない印象があり、それは足の速さがゴールにどう繋がるのか見えないというのが大きいが、これまで決めた2点の様に「サイドアタッカーだがトップ下の選手の様にエリア内に走り込んで点を決める」という自分の“形”を確立出来れば成長は加速するのではないかと思う。結局の所、攻撃のポジションで良い選手というのは得点に絡める回数、頻度で決まる訳だし。ただ試合後のインタビューでのキョドり具合を見ると大丈夫かいなと不安感が勝るのだが(苦笑)

 その後は鹿島が同点狙いで攻勢に出て、レオ・シルバ(今日も見事なゲームメイクを見せてくれた)のミドルを飯倉がセーブというシーンもあったが凌いで試合終了。これでマリノスは3位浮上で、モンバエルツとしては賭けに勝った形かな。ただそれは来週水曜に勝ってこそ、ではあるが。鹿島はこれで2位と勝点2差になったが、最終的には優勝するだろうと思う。川崎は浦和のACL決勝進出で33節浦和戦が11/29(水)になり、最終節は中2日で戦わないといけなくなったのは痛い。ただ鹿島は今日の敗戦でリーグ8敗目(マリノスは7敗)というのは意外であると同時に、今日や28節鳥栖戦の様にアウェイで負ける事が多いのを踏まえると、最終節はアウェイ磐田戦なので何かが起きるかもしれない。例えば2013年のように。

 間違いなく今季ベスト3に入る試合。珍しく同世代男3人での観戦だったが、何気ない会話からも色々得るものはあって楽しい時間だった。

J1第29節 横浜M×大宮(日産)


 今日は午前中あまり体調が宜しくなく、家を出るのが遅れてしまった。開始に間に合わないのは確実という中で、降車駅として買い物には便利だが駅から徒歩で15分程掛かる新横浜か、徒歩10分弱と近いがコンビニはスタジアムと反対方向の小机か、という選択肢を迫られ、新横浜で買い物した後タクシーでスタジアムに向かうという第三の道を選んだ(苦笑)結局着いたのは前半20分だったが、タクシーの中では0-0だったのに、中に入ってコンコース内のモニターを見ると大宮が先制していた。自分がいない間にウーゴの負傷退場もあり、試合は大きく動いていたらしい。

 という訳で前半20分からの観戦なのだが、今季のマリノスは先制されると極端に分が悪く、リーグ戦では7戦全敗。2得点13失点と甲府戦を除いて先制されるとそのまま無得点のまま終わる傾向にもある。俊足のサイドアタッカーを活用したカウンターで勝負するチームなので、相手が前に出てくればゴールのチャンスは高まるが、先制を許して相手がそれほど前に出てこなければ手詰まりになる姿が浮かび上がる。その意味で今日も苦戦必須だろうなと思っていたのだが、前半は天野のエリア内反転シュート(クロスバーをかすめた)、富樫の角度の無いところからのボレー(大宮GK加藤が弾いてCKに)などチャンスはそこそこ作れていたと思う。ただ一方でカウンターを食らうシーンも多く、ボールを奪われてドリブルでマリノスゴール前まで運ばれるシーンも幾つかあった。
 後半はピンチの後に同点のシーンが。まずピンチの方は大宮の自陣深く左サイドから前方へのフィードが裏に通り、これに反応した江坂が中澤を振り切って飯倉と1対1というシーンだったが、シュートは枠を外れた。江坂は今季ここまでリーグ7点で、もし二桁取るアタッカーと組んでの数字ならゴール以外の働きを含め申し分無いのだが、問題はこの選手がチームの最多得点者という状況にある。残留を争うチームのエースストライカーならあのシーンは決めないといけなかった。良い選手なので大宮が今季残留を果たして来季点取り屋を補強するか、群馬から大宮にステップアップしたように再びワンランク上のクラブ(勿論アタッカーが揃っているチーム)に行けば更に伸びるように思うのだが。
 で、そのシーンの直後になるが、左サイドでパスを受けた中町が斜め45度から低いミドルを決めた。この選手のミドルはふかすイメージだったのだが(苦笑)、こんなシュートも持ってるのかという驚きが。ハーフタイム位から強い雨が降ってきたのでボールが伸びたし良い判断だった。GK加藤からしたら味方がブラインドになった面はあったかもしれない。
 その後はお互いカウンターの応酬という試合。大宮は先ほど述べた江坂の決定機以外にも、自陣から前方へのフィードの精度が高く、そこでボールを受けた江坂やマルセロ・トスカーノがボールを前に運んだりサイドに展開したりしてマリノスゴールに近付いていった。マリノスも途中出場のマルティノスが入ってからは縦への推進力が増していったのだが、そのマルティノスと交代したイッペイ・シノヅカの出来も決して悪くなかった。プレーを観るのは始めてだったが、さすが海外でプロとしてやっていただけに物怖じせず自分の持てる技術を出していた。甲府戦後のインタビューでデビュー戦でも堂々とプレーしていたと述べるインタビュアーに対して「ロシアでも試合に出ていたので。」と冷静に答えていたが、デビュー戦と言っても高校や大学から入った選手のプロ初試合とは違うんだとでも言いた気な様子だった(笑)プロ向きのメンタリティを持ち、またこういうタイプはマリノス(特に若い選手)にはあまりいないので貴重な戦力になるはず。
 この試合は途中負傷退場者も出たりしてATは6分もあり、またAT中にM・トスカーノが退場になって更に2分ほど伸びて計8分もあったのだが、マリノスは最後までゴールを割れず1-1で終了。どうもフィニッシュの場面での思い切りの悪さが目に付いた。前節の決勝点はマルティノスのシュートを東口が弾いたところに詰めたものだし、枠内にさえ打てば直接決まらずとも何かしら起こる可能性はあるのだが。

 一応これでリーグ戦で先制された後の初勝点ゲットではあるが、ホームで残留争いをするチームに勝点1は厳しい。今季はリーグ戦ホームで1敗しかしてないのだが(ガンバ戦)、反面新潟、清水、広島、そして今日の大宮など、本来勝点3を取っておくべき順位の相手に引き分けるなど取りこぼしも目立つ。トップ2は鹿島、川崎で堅そうだし、目指すは3位か。柏も調子を落としているのでまだチャンスはある。

 今日はとにかく寒かった。汁物が食べたくなってラーメンを食って帰宅。

親善試合 日本×ハイチ(日産)


 連休明けに10月のAマッチデー2戦目。海外組の移動時間や全体練習の時間を確保した上での試合日程だとは思うが、NZ戦を10/5(木)、ハイチ戦を10/9(月祝)に出来なかったかなとは思う。
 日産での代表戦ではここ数年メインorバック隅のカテ4(指定)を買っているが、今日はそんなにチケが売れてないとのことだったので、ゴール裏2階の隅に行けばいつもとそう変わらないなと思い、カテ5(自由席)を購入。着いたのは選手入場直後だったが、カテ4との境界辺りに座れたので目論見は成功(笑)ただ写真でも分かるとおり、ここはピッチから一番遠いエリアでもある。これが旧国立や先日行ったビッグスワン等になると、同じトラック付でもトラックに沿ってスタンドが建てられているのでもう少しマシなのだが、日産はこの四隅の余計なスペースがピッチとスタンドを更に遠ざけている。あくまで推測だが、このスタジアムの建設当時はW杯決勝会場の座も狙っていたので、7万規模という収容人員を確保する為にはトラックに沿うよりも広くスタンドを建てる必要があったからではないかと思う。スタンドがトラックに沿う形でも日産より収容人数の多いスタジアムなど幾らでもあるが(ベルリンのオリンピアシュタディオンやローマのスタディオ・オリンピコ、あるいはW杯に向けて専スタ化される前のモスクワのルズニキ・スタジアムなど)、20世紀末当時の日本のスタジアム建築ではそれが常識であり限界だったという事なのだろう。観戦者の視点が欠けたスタジアム建築という意味では1つの象徴ではあるかもしれないが。

 という事で試合について(苦笑)例によって箇条書きにて。
・今回マッチメイクで色々言われているが、今日みたいな試合だから今日のようなスタメンに出来る訳で、それでこそ“テストマッチ”の本来の意義に沿うものだろう。これが例えば来月対戦する相手にならとてもこういうメンバーは出せなかった。今月の2試合に関してもNZ、ハイチ共に日本が苦手なスピードや高さを活かして押されても1発で点を決めてくる相手なだけに無駄では無いはずなのだが。どうも最近のマッチメイク批判はアクセス稼ぎの煽り記事のネタに利用されている感が強くてその中身にとても同意出来ない。

・2戦とも槙野がCBに入っていたが、これはおそらくこの選手をCBの控えとして連れて行けるかのテストだったのではないかと思う。試合に使わずとも予選を通してずっと呼ばれているので、おそらくムードメーカーとしてのこの選手の役割を監督は買っているのかなと。控えとして連れて行くにしてもCBかSBどちらかなので、今月はCBで、という事だったのではないかと。まぁそのテストはおそらく不合格だったとは思うが。本大会に行くとしたら予選のアウェイ豪州戦でそうだったように、左SBの控えとしてではないかと思う。CBとしてなら高さで不安があってもSBなら十分で、攻撃参加する積極性もあるので長友の控えとして計算出来る。

・その左SBで今日代表デビューした車屋だが、ちょっと慎重すぎた感があった。3点目に繋がったクロスなど効果的なプレーはあったし、これが例えばW杯直後のチーム作りの時期なら及第点で次も呼ばれるかもしれないが、今はもうW杯まで時間が限られているんだな。この時期はW杯メンバーに選ばれたいという野心をプレーで体現出来る選手が優先して選ばれる時期であり、まずもってこのポジションには30歳を越えてもなおセリエAの強豪でプレーし、食事やランニングフォームも逐次改善して少しでも自分のプレーを高めようとする選手がいる訳で、(今日もクロスで1点アシストした)その選手に危機感を抱かせるくらいのプレーが必要だった。控え候補にも今日は右SBでスタメンフル出場した酒井(高)がおり、先ほど書いたようにもしかしたら槙野がこのポジションに回るかもしれない。そういう意味で(本人の性格的なものもあるかもしれないが)少し大人しすぎたかなという印象。来月も選ばれるかは微妙だな。12月の東アジアカップには呼ばれるかもしれないが。

・香川は後半途中から中盤に入ったが、正直このポジションなら倉田や井手口の方が攻守に機能する。この選手の持ち味はパスセンスよりもドリブルでの仕掛けやゴールに近い場所でのアイデアなので、今の代表のサッカーならもう1列前のサイドアタッカーの方がまだ活きるとは思うが、このポジションは浅野、乾、久保、原口、武藤と激戦区。監督もそれを踏まえた上での中盤起用なのだとは思うが、このままだと本大会メンバーには選ばれてもレギュラーかは微妙なところ。ただ日本の選手で最もネームバリューはあるので、相手のマークや警戒を引き付ける意味では重要な存在とは思う。しかしなぁ・・・前も言った気がするが、この選手は機能する為の戦術的条件/制約が多い。10番を背負うならもう少し幅広い戦術でも活きる選手になって欲しい所だが。

・この2連戦で起用されなかったのは第3GKの中村とCBの植田。GKの中村はともかく、植田は今度こそ代表デビューかと思ったのだが。植田は15年1月のアジアカップが初代表で、そこでの4試合を含めもう13試合でベンチ入りを経験している。また選ばれながらベンチ外になった試合も3度ある。もしかしたら今日3-0くらいだったら後半途中に投入されたかもしれないが、逆転されて攻撃陣をテコ入れする必要が出てきてCBを途中投入する展開では無かった。来月はおそらく吉田&昌子だろうし、この選手もデビューは12月か。

 代表戦で3-3というスコアは初。帰りはいつもの日産での代表戦と同じく、新横浜の混雑を避けて帰路へ。

ルヴァン杯準決勝第2戦 川崎×仙台(等々力)


 今週はAマッチ期間なのでリーグはお休み。マリノスは来週、再来週とホーム戦が続くが、前回のホーム(9/16FC東京戦)の後は2戦連続アウェイで1ヶ月近く空く。これに限らず今季はどうも日程が変則的というかホームとアウェイが交互に続く通常パターンが崩れる事が多い。日本のスタジアムは大半が自治体所有なので、他のイベントが優先される日が存在するが(例えば日産は毎年8月にコンサートで使用するのでその間マリノスはアウェイか三ツ沢開催となる)、各スタジアムそれぞれの事情を調整した結果とか?他のイベントと書いて思い出したが、スタジアム使用に関して19年のラグビーW杯の影響はかなり大きいと思うのだが、それはまた後日書きたい。

 まぁそんな感じで今週末は連休で天気も良いので等々力へ。思い立ったのが遅く現地に着いた時は既に前半10分頃。第1戦は仙台が勝利していたが、3-2というスコアからアウェイゴールを2点奪った川崎が有利かなとは思っていた。仙台としては3-0から2点返された形だが、3-0、3-1なら川崎は第2戦で2点差以上を付けて勝たねばならず、何にせよ勝てば良いと割り切れる1点差との違いは明白。そういう意味で第1戦終了間際の川崎のゴールは両チームにとって戦略が変わる分岐点だったかな。
 試合は川崎がやや押す形で何度かチャンスが生まれていたが、前半30分頃に三好が決めて川崎が先制。ゴール前で中村憲剛がヒールで流した先に走り込んで決めたのだが、この選手の名を聞くのは久々だった。5月のU20W杯まではクラブでも“レギュラーを伺う準レギュラー”という感じで順調に伸びている印象だったのだが、あの大会で少し壁に突き当たった感が。攻撃陣で目立ったのは堂安くらいで他のアタッカーは軒並み存在感が希薄だった中で、この選手もあの大会以降クラブであまり活躍を聞かなくなった。これが今季初ゴールだったらしい。そして後半開始早々に再び決めた。エウシーニョが右サイドから突破してシュートしたこぼれを押し込んだ形だったが、これで2点目。もしかしたらこの試合が停滞を突き破るきっかけになるかもしれないな。
 2-0として試合を完全にコントロールしたはずの川崎だったが、その数分後に奈良が2枚目のイエローで退場。ここから仙台の猛反撃が始まった。川崎も森谷→板倉と守備に人を入れはしたのだが仙台のサイドの崩しに対応出来ず、何度もSBの裏を突かれて何度もフリーでクロスを上げられ、ピンチを招いていた。そういう中で後半15分頃に仙台の中野が左サイドから切り込んでミドルを決めた。中野は今季川崎からレンタルで仙台にいる選手だが、去年川崎の試合でドリブルでボールを前に運べず横パス、バックパスに終始した試合を思い出した。自分の周りに座っていた人々はそのプレーに苛立ちを隠せなかったほどだったのだが、そうした声に対するこの選手の意地の一発だったのだろう。
 奈良の退場から後半20分位までの川崎はこれまでのイメージ通りという感じで、昨季リーグ最終戦を思い起こさせた。2-0からガンバに3点取られた試合。あの試合も悪い流れを止められず、立て続けに失点していたのだが、今日もそうなってもおかしくないシーンが幾つかあった。ただそれをどうにか凌いだのはこれまでとの違いだったかな。後半20分過ぎからは押されつつも、徐々にカウンターで仙台ゴール前に近付くようになる。そして後半45分頃にカウンターから途中出場の長谷川が決めて3-1。その後も仙台の攻撃を抑えて川崎が決勝進出と。
 準決勝のもう1試合は等々力より1時間早かったので試合中に結果を知ったのだが、セレッソが終了間際に勝ち越しと。決めたのはDFの木本で4月のセレッソ戦@キンチョウでも書いたように静学の出身だが、等々力で長谷川が決めた時もそういやこの選手も静学だったなと思って調べたら2人は93年度生まれの同級生だった。これも何かの巡り合わせか。大柄なCBと小柄な2列目のアタッカーという、この高校がこれまで輩出してきたプロ選手の典型というのもまた面白い。

 正直準決勝のカードが決まった時点で、決勝はガンバ×フロンターレでガンバ優勝なんだろうなと思っていたのだが(笑)、どちらもJ1タイトル未経験なので結果は全く予想出来ない。先日のリーグ戦では川崎がホームで5-1と圧勝したが、一発勝負のカップ戦決勝ではそういう実績は何も影響しないのも事実。鹿島、ガンバ、浦和など決勝お馴染みのクラブがいないのも新鮮ではある。埼スタ開催になってから決勝は行ってないが、久々に行ってみようかな。

 帰りはいつものように新丸子まで歩いたのだが、途中のコインパーキングで宮城ナンバーの車をベガルタユニを着た人が出していた。車だと仙台~川崎間は4~5時間て所だろうか。ベガルタも気付いたらテクニックのある選手が増えて、これまでのイメージが変わりつつある。

J1第28節 FC東京×磐田(味スタ)


 今節マリノスはアウェイでガンバだったが、19時開始で日帰り出来ないので等々力にでも行こうかと思っていたら前日に完売と。上位対決とは言えタイトルが掛かった訳では無いのに完売という辺り、そろそろフロンターレの集客力は等々力の収容(約25,000)を越えつつあるのだろう。こうなると三ツ沢開催時のマリノス同様に、試合や対戦相手の格が上がるほど常連客以外の「たまにはサッカー観に行くか」「いいカードだから行ってみよう」という層の行く余地が無くなってしまう。増築の話も出ているようだが(今のバック、両ゴール裏スタンドに3階席を建て増す方式で収容は35,000程度になるらしい)、施工は早くて2020年以降なんで少なくとも7~8年は今の状態が続く。

 と言う中で味スタへ行ったのだが、ここに行くのは今年初。着いたのは試合直前で、丁度席まで階段を上っている時にキックオフの笛が鳴った。席に着いた後、改めて場内を見渡すと、磐田サポの多さには驚いた。アウェイゴール裏の過半数を占めるというのはマリノスとほぼ同じ。やはりチームが好調だと遠征参加者も増えるのかなと思ったが、磐田や鹿島は2000年前後の黄金期故に首都圏でも結構サポが多い印象なので、そうした人々が再びスタジアムに来るようになった、という側面はあるかもしれない。
 そんな事を思いつつビジョンに映し出された両チームのスタメンを見て気付いたのだが、FC東京に五輪代表始め年代別代表で世界大会を経験した選手が多かった。

<今日のFC東京スタメン>
GK林 彰洋(07年U20W杯、ロンドン五輪バックアップメンバー)
DF丸山 祐市
  チャン・ヒョンス(11年U20W杯、リオ五輪
  徳永 悠平(03年U20W杯、アテネリオ五輪
MF室屋 成 (11年U17W杯、リオ五輪
  太田 宏介(07年U20W杯)
  高萩 洋次郎
  東 慶悟(ロンドン五輪
FW大久保 嘉人(アテネ五輪
  永井 謙佑(ロンドン五輪
  前田 遼一(01年U20、アテネ五輪バックアップメンバー)

 韓国代表チャン・ヒョンスを含めるとスタメンの過半数6名が五輪の正メンバー選出経験を持っており、年代別世界大会の正メンバー経験がない丸山、高萩にしてもA代表の経験はある。従ってユース時代から将来を嘱望され、成人してからも期待されて国際経験をそれなりに積んだ選手は多いのだが、現代表の主力や常連というと一人もいないが故に(林、高萩が呼ばれたり呼ばれなかったりという程度)、“B代表感”も同時に漂わせている。

 試合は開始からほぼ互角の展開だった。どちらもボールを繋ぐサッカーだったが、主導権を握る時間帯が交互に訪れて等しくチャンスが生まれるといったような状況、と言うと聞こえは良いのだが、実際はミスの応酬という要素が強かった。パスがずれて相手にボールを奪われても、すぐまた相手がパスミスしてくれるのでボールを奪い返せる、というシーンが何度もあり、どうも落ち着かない試合。典型的だったのは前半にあった磐田のCKで、中村俊輔のキックを東京のGK林が目測を誤ってボールをキャッチし損ねたのだが、目の前にこぼれてきたボールをボレーで合わせた川又のシュートはクロスバー直撃でゴールならず、というシーン。
 そういう中で決定機は個人の打開から生まれる事が多かった。磐田のアダイウトンが左サイドから切り込んでシュートを打てば、FC東京も永井がサイドライン際で相手をかわして中に切り込む、といった具合。ちなみに永井の突破は、この選手がそんな器用なプレーをするはずがないという先入観から最初大久保のプレーだと思ってしまった(苦笑)
 そうそう磐田の中村俊輔を観るのはこれで2試合目だが、トップ下と言いつつ状況に応じて最終ラインの前まで下がって組み立てに参加したり左右に開いて中を伺ったりと自由にポジション移動するプレーはマリノス時代と何ら変わりが無かった。やはりこの選手はポジションに囚われない自由な動きでこそ真骨頂と思ったが、サイドハーフに入った山田大記とのコンビネーションは今後の課題かもしれない。磐田復帰直後ということもあってかこれといったプレーは見せず途中交代となったが、観ていてどうも藤本淳吾と被るなと。藤本もマリノスで幾つかゴールを決めたものの全体的にはあまりインパクトを残せないまま移籍したが、中村とは同じレフティの中盤だけにバランスの取り方に注意が必要。名波からしたら自分と中村が代表で見せた関係を再現して欲しいという思いがあるのかもしれないが。

 試合は後半半ば過ぎからは東京が押すようになったが決め手を欠いてスコアレスドローで終了。実は今年の観戦でスコアレスはこれが初めて。マリノス戦でも引き分けは大体追い付かれての1-1だしな(苦笑)試合後は西調布まで歩いて京王線に乗車。調布駅までとなるとさすがに遠いが、ここまでは1kmもないのでいつも帰りに使っている。

J1第26節 横浜M×柏(日産)


 台風が近付く中で時間が経つほどに雨脚が強まる中での試合。浴衣デーという事で浴衣姿の人が目立っていたが、ちょっと時期の設定を見誤っていたかなと思う。そもそも9月半ばは暑さも和らいで浴衣だと少し寒い位だと思うが、運不運の要素に左右される天候も9月は台風が多く、特に明日9/17は台風襲来の特異日らしいので、その辺のリスクの見積もりがどうだったか。8/26のFC東京戦なら時期的に良かったと思うが。
 今日も場内暗転したが、これまでと違って緩いラップ調の曲が流れてスクリーンに応援メッセージが表示される演出で、スタジアムはまるで結婚式でエンディングムービーが流れた時の様な空気を醸し出していた。試合直前のテンションを上げていく演出としてどうだったかは敢えて言うまい。

 試合について。前節を始め今季敗れた試合を振り返ると、マリノスはGKや最終ラインにプレスを掛けられるとそれをかわせず押し込まれてピンチを招く事が多い。マリノス守備陣は跳ね返す力はあるが繋ぎは器用では無いので、連動したプレスを掛けられると1試合に数度パスミス等で危険なシーンを作られてしまう。4月に柏に敗れた時もこの展開だった。
 今日も柏はクリスティアーノや伊東、ハモン・ロペスといった前の選手が積極的に寄せてきたのだが、前節の川崎と比較してそれほど組織立った動きではなく、逆にマリノスの前線が柏の守備陣に圧力を掛けるシーンが目立った。柏の最終ラインはなかなか前にボールを運べず、マリノスは中盤でボールを奪ってサイドから相手ゴールに近付いたのだが、前半9分にオーバーラップした山中のクロスが相手に当たった跳ね返りが齋藤の前にこぼれ、フリーだったこの選手がそのまま左45度からミドルを決めて先制。これでようやくリーグ戦初ゴールだが、毎シーズン1~2度決めるこの選手のゴラッソが今回出たという感じ。もしかしたら今季中にあと1度くらいドリブルで相手を抜き去って決めるゴールも見られるかもしれない。ただゴールを量産するにはやはり昨季のようにエリア内に飛び込んで味方のクロスにダイレクトで合わせるシーンを増やす必要があるように思う。前半はマリノスが押し気味の展開のまま、柏に殆どチャンスを作らせず終了した。柏はやはり最終ラインと前線の繋ぎに少し難があった。前回対戦した時にいた手島はその辺が上手かった印象なのだが、今日同じポジションにいたキム・ボギョンはボールを受けたら自分で前に仕掛けるのを好むので前が渋滞してしまい、バランスやボール回しが停滞していた。
 ただ後半は柏が押し込み、マリノスのサイドが空くようになって柏の両SBからのクロスが増え始める。マリノスもカウンターで山中のクロスにマルティノスがフリーで合わせるというシーンもあったのだが、これはミートせず。今日の山中は古巣相手故かいつも以上に激しいプレーだった。前半には弾丸FKも披露したし、このレベルのプレーを継続すれば代表の候補リストに入ってもおかしくない。
 後半の半ば以降は完全に柏が試合を支配し、マリノスは富樫→喜田で0トップ(天野が前線に)にして1点を守りに行ったのだが、押し込まれ具合がどうもホームの広島戦と被って仕方なかった。あの時は後半40分頃に同点に追い付かれたのだが、今日はアディショナルタイムまであと1~2分という時間にクリスティアーノにFKを決められた。クリスティアーノは前半にパク・ジョンスとの接触で出血し、その時から興奮状態で結構荒ぶってたのだが、それを警告、退場といったマイナスのベクトルに作用させず、こうしたプレーに昇華させたのはさすがだ。同点後、アディショナルタイムにはお互い1度ずつチャンスがあり、特にマルティノスのスルーパスに抜け出した齋藤がGKと1対1というシーンは1点ものだったが、中村が上手く手を伸ばして齋藤を倒さずボールを止めた。そのまま試合終了。
 目安として首位との勝点差が残り試合数以下なら逆転の芽はあり、マリノスは今節前までは残り9試合で8差だったのだが、これで残り8試合で10差。ACL出場圏内が現実的な目標になってきた。C大阪、鹿島とのホーム戦も残しているのでチャンスはあるが、ただ先制されると勝てない(リーグ戦6戦全敗で無得点)、ホームでの戦績は昨季より良いが(8勝5分1敗)、5分全てが追い付かれた試合というのを考えると上位を狙うには勝点差以上にハードルは高いようにも。