ポーランド戦

・最後のボール回しはセネガルが同点に追い付いた時点でプランとしては破綻するかなり危うい賭けだったが、西野氏はそれに勝った。ついでに言うと、ポーランドはW杯のGLは日韓、ドイツ共に●●○という流れで今回も最終的にそうなったが、そういうジンクスを食らってなおベスト16入りする強運には畏怖すら感じる。大会前は神輿で良いと書いたが、戦術面はスタッフに任せ、最後の責任は全て自分で取るのはチームの最高責任者としてベスト。まぁこの強運は同時に会長の悪運でもあるが。

・フェアプレーポイントでの突破は自分が見たW杯では記憶に無い。日本は国際大会でフェアプレー賞の常連の一方で激しさが足りない裏返しでもあったが、今回その特徴が自らを救った形だな。ちなみにGLの順位決定方法は下記の通りだが、

1.全試合での勝点
2.全試合での得失点差
3.全試合での得点
4.当該チーム同士の対戦における勝点
5.当該チーム同士の対戦における得失点差
6.当該チーム同士の対戦における得点
7.フェアプレーポイント※
8.抽選
※ (イエロー:1pt、イエロー累積退場:3pt、レッド:4pt、イエロー+レッド:5pt)の少ないチーム順

G組もイングランドとベルギーが2試合終わった時点で項目3まで並んでおり、もしこの後の試合で引き分けるとフェアプレーポイント、場合によっては抽選の可能性がある。2試合終了時のフェアプレーポイントはベルギー3pt、イングランド2ptでイングランドがリード。つまりイングランドが3戦目でベルギーよりフェアプレーポイントを1pt多く重ねた上で引き分けたら抽選。

・試合自体はセネガル戦で書いたように、前2戦のメンバーによるプラン以外厳しいというのが分かった試合だった。まぁ就任から時間が無い中で1つの形だけでも構築出来たのはなかなか出来ない事ではあるが、やはり長友、酒井宏樹、柴崎、大迫は絶対不可欠な存在。今日も途中からそうだったが、そろそろ柴崎へのマークも厳しくなり、同時に本人の疲労も溜まっているはずなので、次は大島を(途中からでも)入れる場面があるかもしれない。

・宇佐美はそこまで酷い出来とは思わないが、この試合で求められたプレー水準では無かった。今日が永遠の期待枠から脱皮出来るチャンスだと思ってたのだが、今大会で今後起用される事は無いかな。期待枠というと“前俊をあきらめない”を思い出してしまうが、W杯メンバーにエントリーされるレベルまでには進化した前俊と思えばこのやるせない思いも少しは紛れる。


 何れにせよベスト16入り出来て良かった。後半半ば過ぎ、フェアプレーポイントが中継で語られ始めた頃には、現地に行ってる友人からコロンビアvsセネガルの最新状況を教えて欲しいとLINEグループにメッセージが来た(笑)すぐに自分を含む日本で視ている面々から情報が送られたのだが、南アの頃はまだガラケーでグループでのやり取りと言えばメーリングリストだったな。次々とメッセージや画像が送られてくるスマホの画面を見ながら8年という長さを感じたりもした。

セネガル戦

・試合展開の中で追い付いたのは2002年のベルギー戦(鈴木の同点ゴール)があるけど、最終的に追い付いて引き分けに持ち込んだのは初か。コロンビア戦で懸念したアトランタ五輪との符号だが今日の結果で全く関係無くなった(笑)

・川島は昔からロングシュートへの対応に難があったが(2009年ナビスコ杯決勝、2010年南アW杯オランダ戦など)、今回のシーンを鑑みるにロングシュートというよりシュートへのパンチング対応があまり上手くないんだろうな。その後の1対1は上手く防いだり、それ以外の能力は高いだけに余計目立ってしまう。とはいえ総合力で東口、中村の追随を許さないだけにGK交代は無いんじゃないかと。もし交代するなら大会前にしているはずだし。

・今大会の香川はマークを引き付けて柴崎のプレーエリアを確保し、後半途中に本田に引き継ぐ黒子の役回りだけど、見ていて2003年のワールドユースを思い出した。当時のトップ下のスタメンは成岡だったのだが、機能しているようには見えず、毎試合後半途中に谷澤に代わった後から攻撃のスイッチが入っていたので何故最初からそうしないか不思議だった。ついでに言うとFWのスタメン茂木&阿部祐大朗も同様で、いつも交代で入るサンキュー坂田が点を取っていたので最初から使えよと思っていたのだが、今W杯を見て90分トータルで考えたゲームプランの一環なんだなと今更ながら気付かされた。もう本田は90分フル稼働は厳しいという状況から導かれたプランなんだろうけど、黒子役に徹する香川の貢献度も高い。地味だがチームへの貢献度という点で代表入りしてから一番ではないかと思う。

・準備期間が少なかっただけに今のプラン以外なさそうで、スタメン組の疲労(特に両SBと原口)は気がかり。守備だけで無く攻撃参加も頻繁に行う長友&酒井宏樹の代わりはいない。守備だけでならサイドに槙野や植田、遠藤を置く事も出来るし、攻撃なら酒井高徳がいるが、両方出来るのはレギュラーの2人だけ。攻撃陣も毎試合原口が走り回っているので、宇佐美や武藤がもっとジョーカーとして活性化してくれれば良いのだが。そういう意味では浅野がクラブでもう少し結果を出してくれていれば23人枠に入れる事が出来て、後半途中からカウンターで相手の脅威になっていたかも、とは思う。

・大会前に西野氏は神輿でいるべきと書いたが、コロンビア戦ハーフタイムに布陣の修正を指示したのが手倉森氏だったという記事や、セネガル戦で西野氏の近くにアナリスト?と思われるスタッフが何度も映ったり、森保氏が耳に外部連絡用のイヤホンを付けているのを見るに、実際も英語で言うところの監督=managerの役回りなんだろうな。

コロンビア戦

・今大会は全体的に試合のテンポが早くて、狭い時間、空間で正確にボールを前に運ぶ技術とか攻守の切り替えの意識、ダイナミズムが益々重要になるなと思っていた中で、今日の日本は早々に相手が退場した故もあるが、ボールを前に運ぶのがスムースで、特に左サイドの長友、乾の連携はゴールに近付くプレーが多かった。前半は徐々に押し込まれたけど、時間が経つ毎に相手が消耗して前に出てこれなくなった。

・大迫は前で身体を張ってボールキープして守備にも奔走して点まで決めるんだから文句なしのMOM。運動量だけでなくぶつかり合いでも相当消耗しているだろうから3戦目で上手く休める(出場時間を限定できる)展開になれば良いのだが。

・実は今大会対戦する大陸の順番は西野氏が監督だったアトランタ五輪と同じ。南米→アフリカ→欧州の順で、この順番は過去の五輪、W杯でアトランタと今回だけ。
 22年前は

ブラジル○→ナイジェリア●→ハンガリー

 で2勝もしたのに得失差で決勝T進出を逃したのだが、今回も緒戦南米勢に勝ったところまでは同じ。そして今ポーランド×セネガルを見ながら書いてるのだが、アフリカ勢がかなりのレベルにあるのも似ている。ついでに言えば3戦目の欧州勢はハンガリーポーランドとどちらも旧共産圏の国だな(笑)単なる偶然とも言えるが、ドイツW杯とブラジルW杯の日本の結果が下記のように符合したり、不思議な因縁もあったりするので、少し気になった。

ドイツW杯&ブラジルW杯
緒戦逆転負け→2戦目欧州勢に△0-0→3戦目南米勢に●1-4

丁度今セネガルが2-1で勝った。22年前もナイジェリアは緒戦ハンガリーに勝っている。だからという訳では無いがやはり次が重要だな。ここで勝点1以上取れれば。アトランタの時は残り10分を切ってから先制されて、終了間際にセルフジャッジでエリア内でハンドしてPK失点という消化不良感のある試合だったので、上手く粘って欲しい。

・今日の試合に限らず、緒戦の重要性を改めて感じる。日本は良い意味で事前の評判を覆したが、コロンビアは早々の退場は想定外だっただろうが、それ以降交代策もハマらず、とてもペケルマンが長年指導して綿密に準備してきたチームには見えなかった。全てが終わった後に何が正しかったか分かる難しさ。だからといって直前に監督を代えても良いとは決して思わないが、人事を尽くして天命を待つ、の天命の大きさもまた感じてしまう。まぁ何れにせよW杯で勝ったのは8年前のデンマーク戦以来か。それだけに1勝の重みというか勝った後の開放感もまた格別だな。

根津界隈を散策

 また近場で行った事の無い場所をブラブラ散策したくなり、今回は根津へ。丁度去年の今頃も清澄・門前仲町に行ったが、今の時期は年度初めから途中GWを挟みつつ色々バタバタしてたのが一息付く時期で、気分転換にどこか行きたくなるんだろうな。加えて今年はJ1が中断しているのも大きい。(今日はルヴァンのプレーオフだが、マリノスはアウェイ神戸)。特に今季は4月以降ホームが毎週のように続いた(つまり毎週末の予定が観戦で埋まった)中で予定が空いたので、こういう機会は逃したくない。

 根津に決めたのは、どこに行こうかと都内のマップを見ていたら偶々目に入っただけなのだが、根津駅で降りて向かうと、さすが文京区と言うべきか街並みは全体的に落ち着いた雰囲気。神社は幹線道路から路地を入った先にあり、思ったより広々としていた。

 1900年前に日本武尊が創祀したとのことだが、それは半ば伝説としても、浅草の浅草寺といい東京の寺社は意外と歴史が長い。少なくとも徳川家康が来る前は草っ原と湿地が広がる平原だったろうから、当時は寂れた土地に建つ小規模な社だったのが、街の発展、人口の増加と共に立派になっていったのだろう。
 境内には稲荷神社もあって伏見稲荷のような千本鳥居も。

またここはつつじでも有名なのだが、時期は過ぎていてご覧の通り。

 参拝客はそこそこいて、外国人観光客もいた。これだけインバウンドの観光客が増えると、浅草寺とか超メジャーな場所ばかりでなく、特に山手線の内側は、あらゆる名所に人が来る状況なのだろう。

 昼は近くにある店で親子丼を食し、帰りは例によって来た道を戻らずに、バスで御徒町に行き(10分ほどで着く)、アメ横で買い物して帰宅。暑かったがいい散歩だった。

スイス戦

 午前2時開始なので録画して朝視ようかとも思ったが、結局生で視てしまった。以下箇条書きに。

・結果だけを見るならば8年前の例(イングランドコートジボワールに連敗して本大会へ)もある訳だが、当時と比較して守備が未整備なのは気になる。CB陣とGKの連携もそうだし、サイドの守備もそう。PKを取られた場面は高徳があっさりかわされてスピードに乗った状態でエリア内に侵入された時点で勝負あった。この選手はロンドン五輪の頃からどうも代表ではプレーが全体的に軽いんだよなぁ。クラブでSBから中盤に移って新境地開拓という触れ込みの中で、代表でも中盤でスタメン出場したら散々な出来だったという試合もあったが、クラブと代表で求められているプレー(評価されるプレー)が全く違う点に未だ苦しんでいる印象。

・本田のプレーを見ていて思うのは、未だ全盛期の感覚でプレーしているのではないかという事。ピーク時は独りで突破してチャンスメイクしてゴールも決める、文字通りチームの浮沈を左右する存在だったが、現在は昔なら抜けた場面で相手DFの足が掛かったり、シュート精度、威力が落ちている状態。年齢と共に周りを使う術を覚えていたらまだまだ代表でも活躍出来るとは思うが、残念ながら今も当時の感覚のままプレーしているので、チームの結果も悪い意味でそれに比例している。
 周りを使えれば、と書いたが、おそらく本人の性格的に難しいとは思う。ブラジル大会の直前だったか、中田ヒデが「(本田は)自分で背負い込み過ぎるところがある」というような事を話していたが、この人は信じるのは己のみというか、何か問題が起こっても他者のせいになどしない反面、最終的には全てを独りで解決しようとするタイプなのだろうと思う。それは独善、我が儘とも違う独特の価値観。まぁ変わった人ではあるな。中田の本田評は当時はあまりピンと来なかったのだが、今になって実感している。この2人の接点は確か一度対談しただけだと思うが、そこで見抜いたのはさすがだ。

・という訳でこのまま本田をこれまでと同じ使い方をしても8年前、4年前を上回るのは難しいので、何かしらのテコ入れは必要。4バックならトップ下を置かず

MF:山口、長谷部、大島(柴崎)
FW:原口、大迫、乾(宇佐美)

あるいは2トップにして

MF:山口、長谷部、大島(柴崎)、原口(乾)
FW:大迫、岡崎(宇佐美)

とか。思えば8年前も直前に構成が変わって、同時に中村俊輔⇒本田という中心軸の交代もあったが、今回もそうなるのではないかなと。いやそうあらねば。可能性があるとすれば大島or柴崎、あるいはこの2人が仕切るチームになるかもしれない。

ルヴァン杯プレーオフ 横浜M×神戸(三ツ沢)


 今日は時期的に雨が心配だったがいい観戦日和だった。年チケ対象外の試合なので久々にメイン上段のチケを買ったが、やはりピッチを俯瞰出来てみなとみらいまで見渡せるこの席はいいな。今日は横浜の開港記念日でもあったので、もし19時開始なら花火を見ながら観戦だったなと思いつつ試合開始。
 神戸とは4月のリーグ戦以来だが、あの時はお互いグダグダというかチームの体を成してなかったのに対して、今日はより洗練されたサッカーを観る事が出来た。マリノスは長崎戦で見せたように徐々に攻守のバランスを見出しつつあるようで、飯倉は前目のポジションではあるものの、相手にがら空きのゴールを狙われるシーンはそれほど無かった(正確には前後半に一度づつそういうシーンがあったが、近くの味方が寄せてシュートさせなかったりコントロールさせなかったりした)。序盤にFKからウェリントンに頭で決められたが、山中の左サイドからの縦パスにオフサイドラインギリギリで抜け出した大津が決めて同点、そしてそこから10分もしないうちに仲川が右から持ち込んで逆転。
 後半はまた序盤にCKから渡邉千真が頭で合わせて2-2。今日の神戸は繋いで崩そうという意図はあったが、マリノスにとって実際に脅威だったのはセットプレーだったりシンプルにロングボールやクロスを上げてきた場面だった。特にウェリントンは空中戦で中澤を相手にしてもほぼ勝っていて守る方からしたら嫌な存在だったのだが、神戸としてはそういったサッカーよりもよりテクニカルにパスを繋ぐサッカーを志向しているようだった。試合前の練習で、約15m四方のスペースの中で5対5に1人加えた計11人でパスゲームの練習をしていたのが印象に残っている。まぁ全てはイニエスタが加わる前の下準備だとは思うが。
 神戸に追い付かれた直後の時間帯は左のブマルと山中の距離が空きすぎて、そのスペースを神戸に突かれて何度かマリノスゴール近くまでボールを運ばれたのだが、すぐさまブマル⇒ユン・イルロクの交代で修正したポステコグルーはさすがだった。後半半ばに仲川が深く切り込んで中央へグラウンダーのパス、これを天野が合わせて3-2、そして途中出場のウーゴがカウンターから2人かわして決めて4-2。特に4点目は1人で2人抜いてのゴールだっただけに素晴らしかったが、そうなったのも前半からパスで相手を走らせて消耗させた部分はあったかな。今日の神戸のCBは北本&渡部で、特に北本にとってはスピードだけなく左右の揺さぶりもあって対応は難しかったと思う。今日はベンチだった神戸の那須もそうだが、同年代の選手はついチームや勝敗を越えた視点で観てしまう。
 そうそう神戸のGKは前川だった。父は元日本代表前川和也氏。長身で少し猫背気味な立ち姿はそっくりだった。(失礼ながら)和也氏はあまりキックが上手くなく、94年頃の代表戦でフィールドプレーヤーゴールキックを蹴って貰ってたのは覚えているのだが、そこはさすが現代のGKというべきか今日は無難なプレーだった。

 試合はこのまま4-2でマリノス勝利。1点差なら第2戦は危うかったかなと思うが2点差を付ける事が出来た。次戦アウェイで1点取れば神戸は3点が必要になるのでこれは大きい。試合後は例によって横浜駅まで歩いたのだが、途中祭り囃子が聞こえてきたので開港記念日だからかと思っていたら、坂を下った浅間下にある神社のお祭りだった。土曜の良いお日頃で祭り囃子を聴きながら帰路に就くというのも良い気分。

メンバー予想答え合わせ+選考雑感

 一昨日最終予想を書いたが、ここでは4年越しの答え合わせを。
【参考】過去の予想&結果
2010年大会:予想 → 結果(的中率12/23)
2014年大会:予想 → 結果(的中率11/23)

4年前の予想
太字が予想的中したメンバー

GK:西川、権田、林(彰)
DF:内田、長友吉田酒井(高)酒井(宏)
   森重、塩谷、植田
MF:本田香川山口、齋藤、宇佐美
   柴崎、米本、野津田、南野
FW:岡崎大迫、久保

的中12名
まず、GKを3人とも予想外したのは我ながら酷いな(苦笑)4年前は順当に西川が正GKに昇格すると思っていたのがまさかの結果に。今回も正GKであろう川島は南ア大会で試合出場の可能性はほぼ無いベテラン枠として入った川口よりも年齢は上(35歳)。その他齋藤学か原口かで迷った末の齋藤だったり、4年後メンバー入りの可能性のある若手として大島、武藤の名を挙げていたり惜しいところもあるのだが、最終的には過去と同じく的中率は5割に収斂してしまった。

 改めて今回の選考そのものについて。何というか、監督の色では無く協会の色が出た、いや色というより無味無臭感のある選考だった。過去の所謂「サプライズ枠(選考)」というやつは監督からしたらサプライズでも何でも無くて、対戦相手の分析やチーム構成など考慮した上で必要と判断されただけだと思うのだが(98年のカズ、北澤は監督が城をFWの軸にして、3バックで戦うと決めた故の構想外だったし、02年の中山、秋田、10年の川口はベテランとしてのチームのまとめ役、06年の巻は久保が負傷でエントリーが厳しい中で高さや身体を張れるFW、14年の大久保は得点力という監督の意図があった)、今回相手云々よりも自分達のやりたいサッカーに忠実に選んだ感じ。まぁガーナ戦の選考である程度予想は付いていたが・・・。これで最年少96年生まれの井手口、三竿のどちらかを選んでくれたら将来への布石にもなったが2人とも落選してしまった。

 まぁ協会がどういうサッカーをしたいのかがよく分かるメンバーではあるな。パスを繋いでボールを支配し、相手を押し込んで綺麗な形で崩すサッカー。協会の教本にそのまま載るようなサッカーとでも言うか。逆に守って少ないチャンスをカウンターで仕留めるとか対戦相手によって臨機応変に布陣を変えて対応するようなサッカーは邪道とすら思われている節がある。そう言えば西野氏は、攻撃的なサッカーを志向する理由として、アトランタ五輪は現有戦力の中で最大限の結果を出したつもりだったのに、協会に守備的過ぎると全く評価されなかった事への反発、てな事をガンバ時代にインタビューで語っていたが、その人が今回の監督というのも何かの因縁というか皮肉というか。またハリル解任の背景にも様々な憶測があるが、こうしたサッカー観の違いというのは根本的にあったんだろうな。
 そんな感じだから、南ア大会の結果も協会としてはそこまで評価は高くなかったんだろうだろうし、リオ五輪予選で優勝した時の協会幹部(誰だったか失念)の「監督の手腕が光った」というコメントも当時少し引っ掛かったのだが、それは(カウンター中心の)サッカーそのものはそれほど評価していない事の裏返しだったか。またパスサッカー信奉者の吉武氏がU17世代では異例の3世代連続の監督になったのも頷ける。

 今更選考をどうこう言ったって変わる訳ではないのでこのメンバーで行くしかないのだが、数少ない希望を見出すとすれば、前回書いたように、コーチの森保&手倉森両名だな。“楽しいが勝てない”ミシャサッカーの守備を修正してタイトルを取った森保氏、仙台で戦力値以上の結果を残し、上で述べたように決して他国を上回っていたとは言えない戦力でリオ五輪予選で優勝した手倉森氏、この2人が実質的な共同監督レベルの影響力を出せるならばまだ望みはある。まぁ実際に影響力があるなら選考にもある程度反映されるとも言えるし、特にザック時代からのベテランを抑えられるかという懸念もあるが(苦笑)、この2人のコーチこそ頼みの綱。