引退に思う

 会社帰りに携帯サッカーサイトを見たらいきなりこのニュースが飛び込んで本当に驚いた。引退宣言したHPを見ようと思ったが、案の定アクセス集中して未だ見ていない。代表を引退するだけで、現役を退くとは思ってもいなかったし、オシムが監督になったら最初の何試合かは代表にも加わるんじゃないかとすら思っていた。本当に唐突だよな・・・。
 今考えると、おそらくドイツ大会の結果がどうであれ、大会前から現役を引退するつもりだったんじゃないかと思う。ブラジル戦の後に見せたあの姿、いやそれ以前に今大会前からそれまでからは考えられないような気合を見せていたのも、この決意が心中にあったと考えると、納得してしまう。あくまで想像の範疇ではあるが。
 思うにこの人はその存在が大きすぎて、光と影の両面があると思う。光が強ければ強い程、その影も濃くなる――そんな感覚。
 まず光の面。この10数年の日本サッカーの高度成長期の数々の場面には、殆どこの人が関わっている。代表デビューしてからちょうど10年が経ち、日本はその間3度のW杯に出場した。それ以外にも93年のU−17(初のベスト8)、95年WY(同じく初のベスト8)、五輪も2度出ているが、この栄光に匹敵する選手は日本にはいない。比較出来るとすれば小野くらいか。その選手が引退して、あーこれで1つの時代が終わったんだなとしみじみ思う。それだけにこの06年を浪費してしまった事が悔しい。もう過去10数年のような爆発的な成長は難しいだろう。選手の能力以前に90年初頭の出発点が低かったという部分も多分にあったし。だからといってもう終わりだとか分かったような事は言いたくない。目の前の大会(アジアカップ、W杯予選、本大会etc)を一つ一つ戦ってまた実績を積んでいけばいいさ。オシム就任はその第一歩だと信じたい。
 そして影の部分。これは本人に直接の責任は無いと思うが、デビュー当時からの日本人離れした言動が、本人の意図する所とは別に、“新しい日本人像”とか“既存の権威への挑戦”とかいう記号に当てはめたがる連中に利用されてしまった感がある。金○達仁、小松△美とか。特に金子■仁がサッカーライターの大御所気取りでサッカー界に対して上から見下ろすような物の書き方をしているのを見ると、これも中田という存在が産み出した副作用なのかとやるせなさに胸が詰まる。フランス大会の予選なんて完全に中田=善、特に三浦カズに代表される旧世代=悪みたいな単純な二元論に陥っていて、カズへのバッシングは本当に酷かった。確かに最終予選でノーゴールが続いていたのも一因なんだけど。

 とても感傷的になって、随分と飛躍した文になってしまったが、陰より光の面が大きいのは当然だし、これで新しい時代に何の憂い無く踏み出せるとポジティブに考えたいと思う。そして出来れば、カズ、中田に続く、サッカーだけでなく、強烈な存在感(自己)を持った日本サッカーのシンボルがまた出てきて欲しい。カズ(そう考えると未だ現役というのは本当に凄い)が67年生まれで、中田が77年生まれとすると、87年生まれ辺りに。