新しい代表監督も決まった訳だが、ふと今回は五輪監督との親和性が高くなるように思った。両監督がかつて率いたオサスナと仙台はプレースタイルもリーグ内での立ち位置もよく似ているから、というのが大きいのだが。
五輪代表は五輪での成績だけでなく、何人A代表に昇格出来るか、もっと言えば五輪本大会から2年後のW杯にどれだけ選手を送り込めるか、というのが命題になるが、ここで過去の五輪代表はどうだったか調べてみた。
※A代表監督は五輪本大会時点までの人物
■1996アトランタ
監督:西野(A代表:ファルカン→加茂)
五輪世代のフランスW杯メンバー入り:6名
【五輪メンバー】:4名
伊東、中田(英)※1、服部、城
【五輪メンバー外】:2名
斉藤、小野※2
※1中田は年齢的にはシドニー世代だがアトランタ五輪に飛び級選出
※2小野も年齢はシドニー世代■2000シドニー
監督:トルシエ(A代表兼任)
五輪世代の日韓W杯メンバー入り:13名
【五輪メンバー】:7名
松田、稲本、中田(英)、柳沢、中田(浩)、宮本、明神
【五輪メンバー外】:6名
三都主※1、小野、小笠原、戸田、市川、曽ヶ端※2
※1三都主はW杯直前に帰化
※2曽ヶ端は五輪のバックアップメンバーには選出
※3その他オーバーエイジとして参加した森岡、楢崎がW杯メンバー入り■2004アテネ
監督:山本(A代表:ジーコ)
五輪世代の2年後のW杯メンバー入り:2名
【五輪メンバー】:2名
茂庭、駒野
※オーバーエイジ参加の小野もメンバー入り■2008北京
監督:反町(A代表:オシム→岡田)
五輪世代の2年後のW杯メンバー入り:5名
【五輪メンバー】:5名
長友、内田、岡崎、本田、森本
※その他飛び級で北京五輪に出た香川が予備登録メンバー■2012ロンドン
監督:関塚(A代表:ザッケローニ)
五輪世代の2年後のW杯メンバー入り:9名
【五輪メンバー】:6名
酒井(高)、清武、山口、齋藤、酒井(宏)、権田
【五輪メンバー外】:3名
香川、柿谷、大迫
※オーバーエイジ参加の吉田もメンバー入り■リオ
監督:手倉森(A代表:アギーレ)
五輪世代の2年後のW杯メンバー入り:???
まず目を引くのはシドニー→日韓時の多さ。監督が同じトルシエだったというのも大きいが、シドニー世代が79年生まれの黄金世代を始め上の世代より能力の高い選手が揃っていた事、若い分トルシエのフラット3の消化が上の世代より早かった事、等々様々な状況が重なってこの様な大量選出に繋がったのだと思う。シドニー五輪にはOAで楢崎、森岡、三浦アツが選ばれているが、殆どA代表が五輪に参戦しているようなものだった。
一方で2年後のW杯に送り込んだ数が最も少なかったのはその次のアテネ世代になるのだが、すぐ上のシドニー世代が20代半ば過ぎと選手としてピークを迎えていた面が大きいのと、ジーコが序列を重視するタイプで“新参者”がA代表定着するのは困難だったという面もある。選ばれたのは加持、三都主の控え要員だった駒野と田中誠の直前の怪我で急遽呼ばれた茂庭だけ。大久保は例外的に早くから重用され、松井も当時からフランスで活躍して代表でも結果を残しつつあったのだが、結局呼ばれなかった。ただこの世代は次の南アでは10人が選ばれ、ベスト16入りに貢献している。
意外だったのは前回のロンドン五輪メンバーがシドニーに次いで多かった事。本大会前からA代表入りしていたメンバーも多いし、志向するサッカーは多少違えど、ザッケローニと関塚の連携はそこそこ良かったんだろうな。まぁメンバー数の大小は五輪の成績との相関関係もあるのかもしれないが。
で、リオ五輪だが、前にも書いた通り、今回はロンドン五輪世代に比べてどちらかと言うと守備に人材がいる世代と思うので、特に現在A代表で手薄なCBで何人か選ばれて欲しい。植田(鹿島)、岩波(神戸)、西野(G大阪)辺り。攻撃陣では久保(ヤングボーイズ)、南野(C大阪)、後は個人的に好きなプレースタイルの野津田(広島)辺りか。もちろん4年後、いや2年後にどんな人材が台頭しているかなど分からないもので、4年前の今頃は酒井(宏)は名前すら知らなかったし、柿谷も「大成し損ねた元天才」、齋藤も伸び悩む若手の一人、という状況だった。秋のアジア大会はまた前回同様Jで出番が無い選手+大学生という編成ぽいが、そこでまた新しい選手が発掘されるのだろう。