J1第34節 横浜M×C大阪(日産)


 毎年のことだが、いつの間にか12月となり、リーグ最終節。ただいつもなら冬の観戦装備をしていく中で日中汗ばむほどで、とても12月には思えなかった。

 今日はお互い残留が(ほぼ)決まり、ACLの可能性も無い中での試合だったが、「緩さ」は適度に収まってお互いオープンに攻め合う展開になった。開始から一進一退でどちらに先制点が生まれてもおかしくなかったが、より相手GKを脅かしていた、つまり相手のゴールエリア内でシュートチャンスを作り出していたのはセレッソの方だったかな。マリノスはいつも通りサイドから仕掛けてセレッソゴールに近付きはするのだが最後のクロスの質が悪く、中央で撥ね返されたこぼれをエリア外からミドル、というパターンが多かった。
 後半は開始早々にエリア内での混戦から天野が足を伸ばしてゴールに流し込んでマリノスが先制。ただそれから10分もしない内にセレッソが右サイドを崩して最後は山村が中央で合わせて追い付き、更にその数分後にはCKから清武が押し込んで逆転した。展開的に、昨季のホームの試合のようにセレッソが僅か10分足らずで逆転した形で、その後もマリノスが追い付く為に攻め込むが、逆にセレッソが効果的にカウンターを仕掛けてマリノスゴールに近付くシーンが多々あった。去年からセレッソ戦で思うことだが、やはりソウザや山口は足下がしっかりしているからボールを落ち着かせられるし、長短のパスも繰り出せる。セレッソのカウンター時にいつもマリノスにとって嫌な場所にパスを通されゴール前まで到達されるのはこうした中盤の能力の高さあってこそ。
 終盤には中澤が久々に入ってマリノスが攻勢を強めたがそれほど決定機は作れずそのまま試合終了。シュートはそれなりにあったがいずれもGK正面で、キム・ジンヒョンにとっては難しいシーンでも無かった。

 これで今季の公式戦を全て終えた訳だが、何というかこの1年は壮大な実験に費やされたように思う。それは“マンCと同コンセプトの戦術を他チームに展開出来るか否か”というもので、この1年観てきて思うのは、「マンCの様な結果を手に入れる為には(そのリーグ内で相対的に)図抜けたタレント、特に若いタレントを各ポジションに揃えなければ難しい。」
 グァルディオラが見せるサッカーは、タレントの力に応じた戦術とでも言うか元々能力ある選手達と戦術の高度な融合によって生まれるもので、中途半端なコピーは火傷するだけなんじゃないかと。今のJでそれ(リーグ内での圧倒的覇権)を再現するなら、各ポジションに代表クラス(特に年齢の若い選手)やリーグ内で突出した外国人選手を揃えなければならない。例えば中盤やサイドに中島、堂安、CFはジョー、といった具合に。今挙げた選手はあくまで例であって、今のマリノスがそうした選手を生み出せるクラブ、買えるクラブでは無いのは承知しているがハードルは相当高い。来季から外国人5人出場可能というのはCFGのネットワークを使える今のマリノスにとっては朗報である反面、優秀な外国人選手1人獲得するだけでも年俸だけではないコストが掛かることを踏まえれば、予算との兼ね合いも考慮しないといけない。横浜という大都市を本拠としている宿命か、クラブの能力を超えた成績や数値を求められる不運はあるとは思うが。

 試合後は観戦仲間でそのまま新横浜にて打ち上げ。さすがこの時期は天気も良く(最終節がどんな結果でも)何だかんだ最後は楽しい酒が飲める。