年間表彰2023(前編)

 1年の最後は例年通り日本サッカー表彰を。例年通り前後編に分け、今日の前編では年間MVP以外の各賞を私が勝手に選出する。

■年間ベストマッチ
※過去の受賞試合

年間ベストマッチ(2005-2022)

1位:ドイツ戦(○4-1/2023.9.10/親善試合@ヴォルフスブルク
 今年のA代表は10戦8勝1分1敗という好成績。8連勝、5試合連続4ゴール以上など記録も残したが、相手の格やアウェイでの結果なのを踏まえればベストはやはりこの試合ということで。ドイツは去年のW杯以来の低迷期にあったとはいえ(そのW杯でGL敗退に追いやったのもまた日本なのだが)、相手のホームに乗り込んで4-1という結果は素晴らしかった。特に印象深いのは先制点で、右サイドからクロス→ゴールという、ラッキーな形でも滅多に見れないゴラッソでもなくプラン通りに攻めてその通りに点を取った、その「普通さ」が逆に日本の強さを際立たせた感があった。

■年間ワーストマッチ
※過去の「受賞」試合

年間ワーストマッチ(2008-2022)

1位:コロンビア戦(●1-2/2023.3.27/親善試合@大阪)
 先ほど述べた様に今年は僅か1敗、引分け入れても計2試合だが、その2試合も決して内容的に悪いものでは無かった。その中で敢えてということで唯一の敗戦である3月のコロンビア戦をワーストとして挙げておく。ただ強化試合としては相手の強度含め意義あるものだったし、同じ3月に対戦したウルグアイ(△1-1)もそうだが南米勢は親善試合でも強度高く臨んでくれるので強化試合としては常に良き相手。 
 
■年間ベストゴール
※過去の受賞ゴール

年間ベストゴール(2005-2022)

1位:三笘(ペルー戦2点目)
2位:伊東(ドイツ戦先制点)
3位:伊藤(敦)(トルコ戦先制ミドル)
4位:上田ミャンマー戦での自身2点目)
5位:上田(シリア戦での自身2点目)
 今年は10試合で36ゴール、1試合平均で3.6点も決めてきた訳だが、目を引くのは最多得点の上田(7点)筆頭に実に17人も得点している事。その中からベスト5を選んでいくが、1位はペルー戦で三笘が左からカットインして決めたゴール。このゴールはその前に右SB菅原が伊東のヒールパスも織り交ぜつつ右サイドを突破して中央に長いフィード、これを鎌田が上手くトラップし、タメを作って左の三笘に展開、という流れが今の代表を象徴というか、個々の高い技術とメンバー間の意思疎通、全てが詰まっていたゴラッソ。
 2位はドイツ戦の先制点だが、ゴールそのものもさることながら、右クロスに対してエリア内に入った伊東がニアで合わせてGKとポストの間を抜くという綺麗な展開かつベストマッチの項で述べたように強豪相手にあまりに普通に崩して点を取ったのも評価して。
 3位、4位は個人の技術の高さを感じたゴール。トルコ戦の伊藤敦樹のミドルは豪快だったし、ミャンマー戦の上田の2点目は引いて守る相手に対して狭いスペースを逃さず走り込み、そこに正確なパスも入って、最後は角度の無い位置から流し込む技術の高さ。
 5位は迷ったが、シリア戦の上田の2点目はゴールそのものはワンタッチで合わせるシンプルな形だったが、これもミャンマー戦と同じく引く相手に右サイドから複数人が連動して崩し切ったのが素晴らしかった。

■最優秀若手選手(U-20)
※対象は2003/1/1生まれ以降の選手
※過去の受賞者

年間最優秀U20選手(2006-2022)

1位:山根 陸(横浜M
2位:鈴木 章斗(湘南)
3位:宇野 禅斗(町田)
4位:後藤 啓介(磐田→アンデルレヒト
5位:内野 航太郎(筑波大)
 この部門はこれまでベスト3を選んできたが、選びたい人が多く選考に迷うので今年からベスト5にする。
 今年は2003年世代が出場したU20W杯もあったがクラブと代表でインパクト残した選手というのがパッと思い浮かばない。松木FC東京)はU20代表で主将、W杯で1ゴール、クラブでもレギュラー格ではあったが、ゴール数始めもっと出来たようにも思えてベスト3に入れるのは少し抵抗があるのよね。他に北野(C大阪)も前年J1デビューしての今年なのを踏まえるともっと出来たようにも思ってしまう。J2所属だと大分でレギュラーを確保したDF保田などもいるのだが、J1でプレーするU20代表という点ではマリノスの山根はクラブと代表で継続的に試合に出て、特に9月以降はマリノスに不可欠な戦力となったというのも踏まえて1位はこの選手に。
 J1での実績を見ると、U20代表ではないが鈴木章斗(湘南)はリーグ戦27試合3ゴール、公式戦通算では37試合10ゴールと二桁に乗せた。阪南大高から加入して2年目てことで思い出したが選手権で観てたわ。
barcaw.hatenablog.com
この試合で青森山田に敗れたが大会得点王を獲得。2年目で結果を出しつつある辺り、本人の資質もさることながら湘南の育成力の高さも感じる。

 3位は町田の昇格に貢献した宇野を。単純にこういった攻守に機能する中盤タイプが好きだってのはあるのだが笑、J2優勝クラブで最後はレギュラー確保したのは大きいなと。U20W杯には選ばれなかったが五輪はまだ可能性ある。4位は高校3年でJ1自動昇格したクラブで7ゴール取った後藤を。
 5位はこの表彰では2014年室屋(当時明治大)以来の大学生である内野を。U20W杯には呼ばれなかったが、追加招集されたU22のアジア大会で5試合4ゴール、その後の北米遠征でもメキシコ戦でゴールと結果を出し続けている。所属チームでも1年生で関東大学1部13試合9ゴール、得点ランク3位タイ。てっきりマリノスユースから昇格と思いきや大学に行った選手だが、3年後にマリノスに戻ってくるのかも含め今後が楽しみ&地元が昔のバイト先の近所なんで応援している笑

■最優秀監督
※過去の受賞者

年間最優秀監督(2009-2022)

1位:長谷部 茂利(福岡)
2位:森保 一(A代表
3位:吉田 孝行(神戸)
4位:黒田 剛(町田)
5位:横内 昭展(磐田)
 ここも例年以上に選考に悩んだが、戦力に対する結果を考えると福岡にカップタイトルもたらした実績で長谷部氏かなと。このblogでは以前から桐蔭で李国秀氏に教わった世代が鹿島系、広島系に続く監督の第3極になると提唱してきたのだが笑、その1期生である同氏がここまで最も実績を上げているのはなかなか興味深い。この「桐蔭系監督」は来季J1~J3の60クラブ中6名と1割を占める勢力に。(J1:長谷部[福岡]、J2:渡邊[山形]、小林[千葉]、J3:米山[讃岐]、林[鳥取]、戸田[相模原])
 2位は今年の代表の好成績で森保氏、そして3位は神戸の吉田氏かなと。今まで失礼ながら繋ぎの監督代行が多くJ2長崎でも結果を残せなかった中で、大迫、酒井ら経験豊富な選手が揃っていたとは言え、イニエスタやマタをベンチに置く決断やその上で前年13位のチームにリーグタイトルをもたらした点は評価すべき。
 そして4位、5位はJ2から。高校からJ監督に転身して1年目でJ2優勝、昇格達成した黒田氏と、補強禁止の中で就任し、2位自動昇格を成し遂げた横内氏。他にも新潟松橋氏、POを勝ち抜いて昇格果たした城福氏などもいて例年以上に悩む選考となった。

 異常が前編となる。残すは年間MVPだが、まだ投票回収&集計中につき大晦日までには・・・。