何とか年内に間に合った・・・2023年の最終日に年間MVPを発表。今年も周りの友人、某SNSで相互フォローしている方々に協力頂き、私を含む総勢42名による投票で決定。
【選考方法】
各投票者は今年活躍したと思う日本人選手1位~5位を選考、それを1位:5pt〜5位:1ptとポイント化しその総合計で選出。仮にポイントが並んだ場合は1位票の多い方が上位、それでも並んだ場合は順番に2位~5位票の大小で決定。順位票も並んだ場合は両者同順位とする。
【過去の受賞者】
それでは5位から発表。例年通り選考者コメントを太字で引用。
第5位
伊東 純也(スタッド・ランス):57pt
まず5位は「日本代表で今年最も存在感を示した」、「代表でもチームでも欠かせない存在」、「Sランスでも代表でも大エース」であった伊東純也。2023年はクラブで「もはやスタッド・ランスも戦術・伊東純也」、代表では「森保Japanを森保Japanたらしめる代表にとって最も重要な選手」という活躍の年だった。「世界最高の“右利き右ウイング”の選手」であり、「怪我をせず、どんな状況でも活躍できるタフさ」もまたこの人が持つ強み。
最近はプレーに凄味が増してきたというか、どんどん上手くなっている印象もある。柏で活躍して代表に入った頃はよくいる「速いけど足元の技術はあまり・・・」と思ってたのだが苦笑、欧州に行ってプレーに緩急が出るようになってスピードがより活かされるようになり、同時にトラップ、パスといった基本技術もより正確さを増した。今はもうサイドアタッカーの域を越え、ドイツ戦先制点の様に中に入ってクロスに合わせたり、カナダ戦の4点目アシストの様なオサレ浮き球パスも見せる万能のアタッカー。
ちなみに後ほど述べるが、私が1位に入れたのはこの人。
第4位
遠藤 航(シュトゥットガルト→リバプール):61pt
4位は今年から代表キャプテンとなったこの人。ブンデスのデュエル王が今夏まさかのリバプール移籍。「ついにプレミアのビッグクラブでアンカーをやる日本人が出て来たか...!と夢のような気持ち」、「まだまだミスやロストはあるけど、改善されればプレミアでも有数のアンカーになれそう」と激しいプレミアにおいて中盤の要となるポジションで試合に出る価値。移籍当初は出場機会も限られていたものの、この12月で一気に評価を上げた。面白いのはこの投票コメントにもそれが反映された事。今回は12月上旬に依頼したのだが、その時すぐ貰った回答では「移籍して出場機会は少し減ったけど、適応もできている」、「厳しいと思われた中で少しずつではあるが結果を残しつつある」とブンデス時代ほどではないがプレミアのビッグクラブなのを考えれば一定の評価というニュアンスが多かったのに対し、12月下旬になると「ステップアップしたリバプールでも試合に出てるのは凄い」、「直近のアーセナル戦では堂々したプレーぶり」、「最近は大いにフィットし欠かせない存在になりそう」、「最初は適応に時間かかったが徐々にフィットし、問題なくやれることを証明」とその活躍が反映されている。
この選手はリオ五輪代表の頃から長谷部の後継者、将来の代表キャプテンとして期待されていたように思うが、2011年大会の長谷部に続き主将としてカップを掲げる姿を見たい。
第3位
大迫 勇也(神戸):82pt
3位は今季のJの得点王&MVP。神戸をリーグ初優勝に導き「得点のみならず高いキープ力&アシスト力を発揮、未だ日本最高の万能型FWである事を証明」したシーズンとなった。「やっぱハンパないっすね。格が違う印象」、「もう1位大迫とだけ書いて送ってもいいかなと思った笑」とのコメントも寄せられたが、この投票、票が海外組に偏らず国内で活躍した選手にも票が集まるのが良いのよね、と自賛したい笑。
今年で33歳となったが「意外にドリブルでの運び・かわし、そこからのパスも気の利いたプレーができるので、対峙したDFはどうしようもなかったのでは」、「Jリーグでは反則級のポストプレーとボールキープはさすがの一言」というプレーで「逆に言うとそれを抑えきれない国内組DFは、代表に選出されないだろうという指標」でもあった。「出戻ってから短いスパンでMVPとなり一花を咲かせた彼のキャリアは日本サッカーの幅を広げたのでは」というコメントもあったが、神戸の酒井高徳や武藤、後は浦和でACL優勝を果たした酒井宏樹など、欧州から戻った選手達が日本の若手に“プレーの基準”を伝える事は非常に重要だなと。その意味では彼らは今31~33歳だが、この歳は言葉で伝えるだけでなく自身もまだ動けてプレーで示せる適齢期という気もする。
第2位
三笘 薫(ブライトン):85pt
2位は昨年のMVP。この選手のプレースタイルについて今更語る事は無いが「夜中の配信にもかかわらずプレーを観たいと思わせてくれる選手」であり「日本のみならずアジアのスターとしてPLに台頭。三笘女子なるブームも作り代表に貢献(笑)」し「日本社会においてサッカーの存在感を向上させることができる選手」。「川崎繋がりで解説のテセが楽しくなってるのが好き」という声も笑。私も現地で観たが「3月国立での代表戦(W杯後最初のホーム)、ボール持った瞬間の歓声が凄かった」。なお現地観戦組では「ブライトン現地観戦・三笘のゴールを目撃して始まった2023年」という投票者も。羨ましい。
ただ最近は負傷がちで開幕当初から調子も下降気味。デ・ゼルビの酷使など事情もあるが、この点はIJと違って小さな負傷が多いのは気掛かり。
「これからもどんどん世界のDFを抜きまくって欲しい」が「次の移籍が全て。日本人最高額を更新するのではという期待」。もし国際移籍で最高額更新すれば(現実的にはプレミアの外に出る移籍で高額移籍金となるのはバルサ、レアル、バイエルン等のクラスに限られると思うが)、川崎に入る連帯貢献金は幾らになるのかとちょっと皮算用。ただその為にもまずはコンディションを整えて欲しい。負傷の程度にもよるが、クラブで酷使されるなら一旦代表に合流して快復に努めつつアジアカップのラウンド16以降から復帰という手もあるのではと思うが。
2023年日本最優秀選手
久保 建英(R・ソシエダ):128pt
てことで今年の日本最優秀選手は久保に決定。投票者42人中32人から票を集め、22歳での受賞は最年少。
この人は何と言ってもクラブでのプレー。「リーグ上位&CL出場チームの核」であり「師匠のシルバが故障が原因で不本意な引退を強いられてもチームを牽引し」、「安定して高次元のプレーを見せて」、「マドリーに戻ってもやれるんじゃないかと思わせる」プレーで「リーガ屈指の右ウイングになってしまいました」。「毎週のように彼の好プレーのニュースを見た1年間」。「完全に選手としてのランクが一回りも二回りも上がったプレー」で、「W杯後のチームでの活躍は貫禄すら感じる」。なおソシエダ繋がりで「2000年代初頭の強いソシエダ好きでした。ニハト、コバチェビッチ、カルピン」というコメントも寄せられた。懐かしい。
代表でも今年後半にかけて徐々に存在感を増し、アシストだけでなくゴールも決めるようになってきたが代表の右サイドには伊東がおり、どちらかをベンチに置かねばならない贅沢な悩みもまたある。
「圧倒的に代わったのは、前を向いてから仕掛ける回数もだが、緩急をつけてサイドバックの上がりを引き出す動き」、「常に「見えているな」と思わせるプレー選択ができるので、対峙する相手は常に後手を踏むこととなり、結果どんな試合でも久保の間合いでプレーできるようになっている」、「自身で打開するだけでなく、立ち位置で相手を揺さぶる術も身につけている」、「スペースを作る、できたスペースに自分が入ってボールを引き出す。または味方にスペースを使わせる、特に中央での動きがより変わった」と具体的なプレーに言及するコメントが多かったのも特徴的だった。久保に限らずだが、ある一定以上のレベルに到達すると相手のリスペクトを受けられるようにも思う。最初は相手も思い切って飛び込んで来たりタックルしに来たりするものだが、あるレベルを越えると迂闊に飛び込んで来なく(来れなく)なって、結果“自分のプレー、自分の間合い”を出せる場面が増える。その究極がメッシやクリロナ。
三笘と共に「今後の日本代表人気を占う。マーケティング面でも非常に重要な選手」だが、サッカー選手としてスペイン育ちなのもあってか現地では流暢なスペイン語によるぶっちゃけトークで人気の様だし、過去の日本人トップ選手や他競技でも見られるような“過保護”感は無い。例えば代表で背番号10が与えられるとか所属事務所にコメント1つであっても管理されるとかの。その意味で三笘と同じく“次”がどこになるかが重要になるだろう。「今後のステップアップが楽しみ」だし「ビッグクラブに行くのはほぼ確実で、どういった洗濯をするのかが非常に興味深い」。
全順位は以下の画像を参照。
以下雑感を箇条書きに。
・今年の投票傾向として上位5人に票が集中して6位以下は得票少ないのだが、6位は19ptで去年と同じく冨安。「代表が好調なのも最終ラインを押し上げられる彼のお陰で前線からプレスかけられる」為であり、クラブではSBとして「最近は守備だけでなく攻撃参加時にも光るプレーが見られるサッカー界の二刀流」、「偽サイドバックできないと勝手に判断してすみませんでした。」という活躍ぶりでリーグ初ゴールも決めた。だが一方で「彼はケガさえなければ...」、「怪我がなければ。。」と良いプレー見せた後に負傷してしまうサイクルにハマりつつあり、今は三笘同様にコンディションを整えて欲しいと願うばかり。
・リーグ優勝した神戸勢は大迫筆頭に8名が得票。GK前川黛也「クロス対応、飛び出し、PKストップ、パント。どれをとっても一流でした」(ちなみに前川はGKとして唯一の得票)、MF山口螢「いつ見てもいぶし銀」などコメントもあったが、このクラブは何と言ってもオーナー三木谷氏を抜きに語る事は出来ない。「ここまでサッカーに湯水の如く金使ってくれて有難うございます!これからもお願いします!」。ここまで約20年。近年は新興企業によるクラブ買収例も増えているが、ここは年季が違うというか(頻繁な監督交代など個々の動きに全て同意する訳ではないが)タイトル獲りたければこれくらいやり切れよというメッセージにもなったのではないかと思う。
・例年通り引退選手への票も集まったが、今年は何と言っても小野伸二。「我々世代のサッカーファン、サポーターは彼に夢を見て憧れた」。1997年に日本がW杯予選を突破した際、“高校には中田よりもっと凄いのがいる”と言われたあの未知の怪物感は今でも覚えている。今でもこの人の練習での何気ない超絶技巧動画がたまに出てくるが、もしこの97年当時に今の様に高校年代のプレー動画を簡単に視れる状況だったらどうだったかと思う。後はやはり「あの怪我がなかったらいったいどこまで行けたんだろうって今でも思う。」その他「引退がここまでニュースになったのはやはりここまでの功績の大きさ」、「これで98W杯組がついにいなくなってしまった。フェイエ時代のホーイドンク、ペルシ、トマソンとの前線は激アツで、深夜にGAORAで見ていたのが懐かしい。」と惜別コメントが寄せられた。引退後は特定のチームの指導者ではなくかつてセルジオ越後氏がやってたようなサッカー教室なりイベントで全国の子供たちにその超絶技巧を披露するなどしてサッカーの楽しさを伝える役割が似合ってるのではないかと思う。
・影山優佳はもはやこの投票の常連とも言える存在だが笑、毎年投票してくれる某友人が去年予想した通り今年グループを卒業。「地頭が良いので、変なことをしなければ5年くらいはこの地位を維持すると思う」との事。自分はサッカーを通してしかこの人を知らないのだが、卒業のニュースを見た時感じたのは「チームを越える選手はいない。だが選手がそのクラブの器を越えたらもはやステップアップするしかない。」というサッカーの世界における不変の法則。
・今年はJ2以下のカテゴリ所属の人が例年より多く得票した様に思うが、1位は選手では無く現横浜FCコーチで先日の引退試合でもその左足の技を披露した「ウルトラレフティー」中村俊輔。そして選手の最多得票はPOで昇格を果たしたヴェルディの主将森田晃樹。例年通りここはヴェルディサポ某友人のコメントを全文掲載したい。「今年J1チームからのオファーも蹴り、J1に上げる男になりますと宣言したシーズン。まさに有言実行。キャプテンとしてバランスを考えたプレーは彼本位では無かったと思う。正直しんどい…と思う場面たくさんありましたが、最終的に昇格プレーオフ決勝の試合後の涙が全てでしたね。ありがとうキャプテン森田晃樹。来年もしっかり頼むぜ!」
・最年少得票者は久保・・ではなく同学年ながら3か月差で柏の細谷真大。「個人的に見ていてワクワクするFWが出て来た」、「チームが下位に低迷しても2桁得点を記録してエースに相応しい活躍」等のコメントが寄せられたが、この選手はプレースタイルが“Jユースで育った世界線の浅野琢磨”という印象。基本的なプレーはよく似ているのだが、ユース育ちらしく浅野よりもトラップ等のボール扱いは上手いという意味で。既に欧州からオファーは幾つも届いていると思うが、敢えて残留→パリ五輪予選突破、本大会を経て移籍というプランなのではと思う。まずは来年4月の五輪予選での活躍に期待。
・毎年代表未招集ながらJで活躍する選手が得票し、この投票の後を追うように翌年代表に入ったりするのだが、今年もそんな選手をピックアップ。
河原創(鳥栖)
「全試合走行距離No.1は引いてしまう。笑 この人が居なかったら鳥栖のJ1残留はあり得なかったです。彼の能力の高さを見ると近年のJ2がいかにハイレベルかが分かりますね。」(今季初挑戦のJ1で全34試合フル出場)
紺野和也(福岡)
「ルヴァン優勝はこの人の功績」(決勝で2アシストの活躍)
安居海渡(浦和)
「前線から最終ラインまで顔を出すかつての鈴木啓太みたいな気の利いた動き、スルーパスにミドルシュートもあり、長谷部誠を彷彿とさせるドリブルもある玄人好みな選手」
小森飛絢(千葉)
「決定力、トラップ、ポストプレー、90分走れるスタミナ、全てが揃った万能型CF。顔も良い。日本代表に推したい。」(大卒1年目ながらJ2で13ゴール)
・投票者で最多勢力であろうマリノスは5名が得票。最多ptは松原と喜田で「今シーズンの個人的クラブMVP。守備の落ち着きが増し、野戦病院と化した最終ラインではストッパーも務めた。若手にとっても良い兄貴分的存在」。「(渡辺と合わせて)この2人は今年マリノスにいなきゃやばかった」。3月の雨の鹿島戦でのミドルは個人的にも観戦ベストゴール候補。
・投票とは直接関係ないが、この投票をお願いしている友人は同世代が多く、コメントも例えば10年前から変化を感じるものが散見されるように。「(数年前に票を入れた選手達のその後の成長に比して)自分はあの頃から大した成長も出来てないな、と日本のトップ選手達と比較して反省」、「(遠藤航が)ヨーロッパでの日本人プレーヤーのプレゼンスを更に高めてくれたと思うし、1人の日本人・ビジネスパーソンとしてもとても勇気づけられた」、「ベテランになると無駄なことを省いて、効率的に自分の役割を果たすのは、それは社会人と一緒なのかも」
これらのコメントを見た時、自分も内心感じていた変化が可視化されたような感覚だった。やはり年齢と共に視点、視座は変わって来るものよ・・・。
・最終結果が出てから気付いたが今年は投票制導入後初めてカズへの投票が無かった。鈴鹿の後ポルトガル2部に行ったが今どういう状況なのかよく分からないというのもあるし、ある意味で一つの時代が終わったようにも。この投票はその年の日本サッカーを反映したものと言えるが、今までこの人が得票していたのは何だかんだ存在感を見せてきたからで、それが無くなったという事はつまり、と。
・最後に前回に続いて選考者別投票一覧を掲載。上から回答が来た順に並べており、回答日を自分の回答を探す目安にして頂きたい。
先ほど書いたように私の回答は一番上だが、菅原由勢をどうしても入れたくて悩んだ末に三笘を外した。地味ながらクラブでの2023年を通した安定感ではトップを争うんじゃないかと。23歳の若さでCLこそ未経験だがELとECLで既に50試合出場。代表では「内田、酒井、と続いてきた代表の右SBの穴を完全に埋め」、「定まらなかった日本代表サイドバックで、ほぼ固まりつつある信頼感がある」。また「JFAのYouTube「Team Cam」においても圧倒的な存在感。」、「TeamCamで見せるムードメーカーぶり」というキャラからも、今後代表の中心になっていく姿が見える。名古屋ユース出身のA代表選手は吉田麻也に次いで2人目だが、どちらも“リア充感”を醸し出してるのは偶然だろうか。
この投票も10年以上続いて、投票の常連も多いので段々得票者も絞られていくのかと思っていたが、去年(48人)を越える59人が票を得た。100%とは言わないがこの結果はその年の日本サッカーを反映したものと思っている。投票に協力頂いた方々には心より感謝を申し上げたい。どうにかこれを年内に書き終わった安堵感もありつつ。