ナビスコ杯決勝 川崎×G大阪(国立)


 ナビスコの決勝観戦は今年で4年連続になるが、毎年秋晴れの良い天気。予報だと20℃を切るという話だったが、国立に着くと青空の広がる汗ばむ程の陽気で、病み上がり、いや未だ治りかけの身としてはかなり助かった。


 前半は本当にあっと言う間の45分で、両チームのハイレベルな攻防はまさに決勝という舞台に相応しかった。もう少し点の取り合いになるかと思っていたのだが、特に川崎は左ハーフに伊藤を置くなど慎重で、効果的なカウンターが少なく、準決勝や先週の試合みたくもっと人数を掛けて思い切り行けばいいのになーと思うシーンが何度かあった。
 そんな感じで後半を迎えた訳だが、後半10分頃にガンバが先制して初めて慎重だった理由が分かった気がした。先制したガンバは無理して攻めるの止め、川崎のカウンターに必要なスペースを消し、ジュニーニョに対しても複数で囲んであの飛び道具の威力を抑えにかかる。そうなると川崎としてはジュニーニョの強引な突破or中村ケンゴのセンス位しか糸口がなくなって苦しくなり、相手に主導権を渡したまま時間だけが過ぎる展開となる。
 川崎としてはどうしても先制点が必要だったんだろう。正確に言えば絶対に先制点を与えたくなかったはず。相手はベンチに家長とか播戸とか途中から入って流れを変えられる人材が揃っている一方で、川崎はその点で苦しい。川崎の必勝プランとしては何が何でも先制し、前掛りになった相手にカウンターでさらに追加点取れれば上出来、て感じだったかな。実際前半は何度かチャンスを作った訳で、プラン通りだったはずなんだが、安田のゴールがそれを全て狂わせた。


 予想が外れて1−0のスコア上は渋い試合だったけども、レベルの高い試合だった。それは間違いない。だが、まだ明るい中で表彰式が始まると、もう終わってしまったのかというある種の空虚な思いが湧き起こってきた。04、05年にPKまで縺れた時は、延長の頃には陽も傾いてアウェイスタンドの背後に西日が射し、PK〜表彰式には日も暮れて何とも言えぬ独特の雰囲気を醸し出していた。あの、まさに一日の激闘を肌で感じるような試合展開と比べてそう感じたのかもしれない。


 準優勝メダルをすぐに外した川島の姿が印象的だった。このGKはまだまだ伸びるな。



【オマケ】
もはやナビスコ決勝恒例のコレオグラフィー。こういうのは回数を重ねる毎により複雑になっていくのが面白い。ガンバは2年前より凝ったデザインだった。そういう意味では今回の川崎はシンプルな水色一色だったけど、次にまた同じ舞台に立つ時はより進化したものを見せてくれるはず。