クラブW杯1回戦 広島×オークランド・シティ(横浜国際)


 3年ぶりに日本開催という事で観戦したのだが、よく考えたら3年前と全く同じカードという(笑)
 この大会の開催地は2年で1セットのようで、過去2年間はモロッコで今年と来年は日本、そして17、18年のUAE開催までは決まっている。19年以降は未定だが、今回トヨタから中国のネット企業阿里巴巴(アリババ)に変わったのでおそらく中国開催を狙っているのだろうと思う。サッカーの世界で成功したい中国とその資金力を得たいFIFAの思惑が一致、て事かな。中国もA代表は早くもW杯予選敗退濃厚、ユース年代も特筆すべき実績は出ていない中でクラブサッカーだけは広州恒大がアジアトップレベルにある。このチームに更に資金投入して強化し、そして自国開催となれば南米王者を倒して決勝進出という栄誉を得られるかもしれない。実際、南米勢は過去2度準決勝で敗れており欧州勢ほど鉄板ではない。(敗れた相手はいずれもアフリカ勢。)

 それはともかくとして開幕戦だが、広島は先週のCS第2戦からスタメンを6人入れ替えてきた。チームのコンディションはCSに合わせていただろうし、この試合の次はまた13日(日)に試合――しかもCSは広島で今日は横浜、そして次は大阪と本州を大移動しながら――と言う事で、相手のとの力関係を推し量った結果、なんだろうと思う。
 そういう状況の中で、早々に先制出来たのは大きかった。3年前は後半に青山のミドルで1−0だったが、この先制点で広島はかなり楽になったと思う。ゴール直後に野津田が傷んで交代、代わりに入った柴崎も後半に負傷交代と雨の降る中満身創痍の戦いではあったが、0−0のまま後半を迎えるのとではやはり違う。後半には途中出場のドゥグラスのパスからオーバーラップした塩谷がシュートし、これが相手GKの脇をすり抜けて2点目。ほぼ試合は決した。全体を通して見ればオークランドがボールを支配する時間が長かったが、広島は決定機を作らせず危な気ない戦い。

 ベストメンバーではなく、コンディションも整って無い中での試合だったが、逆に広島の強さを観た様な気がした。このチームは躊躇わずに「試合を消す」事が出来る。このサッカーの源流であるミシャは浦和を見てもそうだが90分間相手を押し込もう、試合を支配しようとする分、後ろに隙が出来て相手が強い程そこを突かれる回数が増すのだが(そしてそれがカップ戦決勝や重要な試合を落とす一因だと思う。)、広島は意図的に引いて膠着状態を作り出し、いざとなったらカウンター1発で点を取って逃げ切るという戦いが出来る。またそういうカウンターが機能するだけの組織もあるんだな。今日もメンバーが揃わない中で最終ラインから中盤、中盤からサイドへの流れるような展開は見事だった。中2日の試合が続くが、是非次のマゼンベを越えてリーベル戦までは到達して欲しい。

 個人で目立ったのはドゥグラスや青山、塩谷、千葉らレギュラー陣ばかりだったが、スタメンに皆川がいるのを見て正直この選手が広島にいたのをすっかり忘れていた。今となっては遠い記憶だが去年のアギーレの緒戦では代表だったんだよなぁ。今日はこぼれを押し込んで先制点を決めたが、全体的にはボールを収められず苦戦するシーンが多かった。見ていて去年までガンバにいた佐藤晃大を思い出したのだが、現時点で強豪クラブの3番手FW以上では無いかな。広島のサッカーでこのタイプが生きるのは難しいとは思うが。

 スタジアムに着いたのは試合直前だったが、丁度そのタイミングで雨が降ってきて、後半開始からは雨脚が強まって一向に収まる気配が無かったので、1階上層部に避難しつつの観戦になった。後半になると体が冷えてきたのでマリノス戦でも出店している丼物屋のうどんをすすって暖を取ったのだが、ふと上を見やると店の看板の前に「FIFA Official」の名が入った幕が掛かっていた。スタジアム名だけでなくこんなところまでFIFA仕様とは。